挙式

　ついに挙式当日。やはり朝から緊張気味であったが、心配していたお天気もヘアメイクもまずまずで気分はマルであった。
着つけも終りヒルトンホテル内の美容室で２人でワタベのスタッフを待っていると、次から次へと花嫁さん、花婿さんが美容室を出たり入ったりしている。やはり、ベルトコンベアの噂は本当だった。

時間通りにスタッフが迎えに来てくれた。外に出るとながーいリムジンが止まっている。 リムジン乗車時間は約1分間。だから、感想もなにも無い。
1分後にセント・グレイス・バイ・ザ・シー教会につくと既にカメラマンと介添えのスタッフがいて、リムジンから降りるとブーケ、ブートニアを渡され、ビデオも録画スタートしている。

列席者のみんなはちゃんとダンドリ通り、チャペルに来てくれるか心配していたが、ぞろぞろ歩いているのが見えホッとした。
フタッフから再度式の流れを説明され、昨日の打合せの内容を確認した。

11:30分。父と私以外全員が先に入場し、いよいよスタートである。
父と腕を組みチャペルの中に入ると、「アベ・マリア」をアカペラで歌ってくれている一人の女性が見えた。その歌声があまりに見事で心にグッときた。この歌はワタベウェディングからのプレゼントであった。
私は初めその歌声に感動していたのだが、隣の父があまりにも緊張しているので父がスッ転ばないか心配で感動の涙どころではなくなった。 なんとか無事にバージンロードを歩ききり、父がカズにバトンタッチした。 無事に父の仕事のひとつが終わり、母のホッとしている顔が想像できる。

すると、カズがものすごく緊張して、大汗をかいている。 その顔を見てまた感動どころではなく、なにかやらかすのではないか心配でならなかった。
ヒヤヒヤしながら、ダンドリ通りことが運び、とうとう、父の「Yes, I do.」の時がきた。 これは牧師様の「あなたはこの結婚を認めますか？」という質問に対しての答えで、父には、とにかく牧師様が父の顔を見て何か質問したと思ったら、迷わず「Yes, I do.」と言うようにと説明していた。だが、昨日のディナーの時は酔っ払って「"イェーイ！"でいいんだよなー！」と、でかい声で「イェイ！イェイ！」を連発していたので、私はその光景を思い出し、心配で心配でこの時の父の顔を見る事もできなかった。（きっと列席者全員同じ気持ちだったと思う。）

しかし、父はそんな心配をよそに「Yes, I do.」と言ってくれた。
普通だったら「認めてくれたこと」に感動するのだが、「言えたこと」に感動してしまった。 これで、一気に緊張が溶け場が和んだ。

「I give you this ring as the symbol of my promise.」と互いに言いながらの指輪の交換も無事に済み、次に誓いのキスをすることになった。「ったく、公衆の面前で。」と思いながらもキスをした。「はぁ。終わった。終わった。」と、思っていたら、カメラマンがシャッターチャンスを逃したからもう一度してくれとリクエストが入った。「こうゆうのって儀式であって、写真の為じゃない。」と思ったのだが、回りからのヤジもあって２回もキスで誓ったのだ。

結婚証明書にサインをして、式は無事終了した。

チャペルから出ると、皆のフラワーシャワーで出迎えられハッピーであった。
式が終わると「大写真大会」になった。 カメラマンの指示であれこれポージングしチャペルの中だけでなく、外でもたくさん撮ってもらった。 新郎が新婦を抱きかかえる例の写真ももちろん撮らされた。
私の読みは当たり、12:00から挙式するカップルは無く写真大会はのんびりとできた。

父は大役をやり遂げニコニコ顔で「ビール飲も。ビール。ビール。」を連発し、みんなでそのままプールサイドの"ツリー・バー"に向かった。

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