所持金ゼロでグアムへ行く

　「流星渋滞」があったせいでいつもの朝より車の量はあったもののスムーズに横浜新道、横羽線、首都高を走り抜け、京葉道路に入りサービスエリアで休憩することにした。

みんなそれぞれ車から降りてなんとなく集まった。
その時、私の父がやけに愛想よく歩いてたなぁと思ったら、開口一番
「オレ、財布忘れてきちゃったよ−。エヘヘッ。」と、ほざいた。
「えーーーっ！！！うそでしょ！！でもカードはあるんでしょ！？」と聞くと
「無い。全部家に置いてきた。。。トホホ。」

小田原チームはニコニコしながら 「大丈夫よぉ！パスポートがあればっ！」などと、なぐさめの言葉をかけてくれていた。
が、細江家（特に母）のその時の顔は怒るのを通り越して、まさにあきれ顔だった。
私は一生母のその顔は忘れることはないだろう。

父は横羽線のベイ・ブリッチを超え、鶴見・つばさ橋あたりで、自分のカバンをごそごそとやりだしたらしい。
その「ごそごそ」はしばらく続き、車を運転していたゆうちゃんの婚約者のチョロさんはバックミラーで後ろの父をチラチラ見て、
「何を忘れたんだろう。ここまで来ちゃったら引き返す時間も無いし。」と、ゆうちゃんと目で合図しながら考えていたらしい。

母も当然「何か忘れたな。」とは思っていた。が、あえて父に何も聞かなかった。（母はそうゆう人なのです。）
そこで登場したのが私の祖母（父の母）。
「何か忘れたのっ！？」
父：「さ、サイフ。。。」
祖母：「はい！これっ！ったく。よくそんなんで一人で海外出張行ってるわねっ！！」とぶつぶつ言いながら数万円を渡した。
実は前日、祖母は「初海外旅行」に向けて、銀行でかなりの額をおろしてきていた。
祖母はその全額を持っていこうとしていたのだが、私の母に「この半分でいいんじゃないの？」と諭されていた。
が、結局持ってきていて、それが幸を呼んだのだ。

もちろん父は車のなかで「針のむしろ」状態であったはずで、サービスエリアについてやっと呼吸ができたのだ。
だからあんなに愛想がよかったのか。。。

普通何か忘れ物をしても「パスポートとお金（カード）さえあればなんとかなる。」と言うがその「お金（カード）」を忘れる人はあまりいないと思う。

結局父は「所持金０でも海外旅行はできる。」ということを証明してきたことになる。

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