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字牌ダイアリー

 もうずいぶん昔の話になる。ジジイ、つまり自分の祖父がくたばって以来、シングルライフを満喫していたババアが突然ぶっ倒れた。脳卒中。助かる見込みは殆どないとの医師の言葉に、病院にかけつけた親族一同はババアのやせた手を握り締めて哀惜の涙を流すのであった。

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 手術は成功し、ババアは一命を取り留めた。オツムがちょっぴり弱くなって時々放火をするようになったが、退院後は家族と共に平穏無事な日々を送っていた。
 数年後、再度の悲劇がババアを襲った。遺産の総取りを目論むバカいとこがババアの口に大量のかりんとうを投入、深刻な便秘を引き起こしたのち大腸破裂で病院に担ぎ込まれた。「あ、こりゃダメだ」と医師は即座にのたまって、しかし親族一同は涙をこらえてババアを見た。後遺症と闘い続けたババアの壮烈な魂に、偉いぞババア、よく頑張ったババアと、ねぎらいの拍手を送るのであった。

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 手術は奇跡的に成功し、ババアは土壇場でこの世の糸をたぐりよせた。最新鋭の人工肛門を装着して、自宅に戻るその日を夢見て一所懸命に生き続けた。
 そして今日。土俵際で踏ん張っていたババアの命脈も、ついに尽きる時がやってきた。早朝、実家に病院から連絡があり、「ババアが危篤状態に陥った。あと二時間もつかどうか」。三たび病院に集いし親族一同の顔に、もはや憂いの色はなかった。生の苦しみから解放されるババアに手向けて極上のワインの栓を開け、ババアへの想いと一緒に渇いた胃袋へ流し込むのであった。もういいババア。召されろババア。地上に残るオレ達を、ババアは天から見守ってくれ。

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 なんかノドにタンが詰まっただけだった。タンを吸い取ったら治った。

本日の結論:

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