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男と女のダイアリー 〜錯綜〜

 自分の彼女はシャンプーにとてもうるさい、というか飽きっぽい。以前のシャンプーがまだ残っているのに別のシャンプーを買ってきて、これがワシの髪に合うんじゃーと言って新しい方を使い出す。ほんでやっぱり合わないんじゃーと言って元のシャンプーに戻す。こんなことばっかりやってるので、使いかけのシャンプーが川底のヘドロのように溜まっていく。捨ててしまうのももったいないので、自分が最後まで使い切って成仏させてやっている。
 今年に入って三種類のシャンプーを使った。使用順に紹介する。

「ハーバルエッセンス」
 オーガニックハーブの香りと美しいパッケージが売りのシャンプー。狂った外人の女が髪を振り乱してイエスイエス叫ぶCMが話題になった。髪質に合わせた三種類のラインナップがあって、自分の使ったナチュラルスムースはキレイなハチミツ色だった。味は女の涙に似ていた。
「快感シャンプー体験」が謳い文句で、スイッチを入れると容器の先端部分がウネウネ動く。

「ヴィダルサスーン」
 VとSだけのシンプルなロゴの癖に一筆書きのできないシャンプー。しかし最近、こうすれば一筆書きができることに気がついた。

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 嬉々として発売元にメールを送ったが、返事はまだない。
 ヴィダルサスーンというのは人の名前で、ご本人はまだ健在らしい。自分の名前を商品名に冠するほどの目立ちたがり屋なのに、どうして自分の似顔絵をロゴにしないのだろうか。不思議でしょうがない。

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「リラージュ」
 豚の生き血以外のあらゆるハーブをぶち込んだ贅沢なシャンプー。寝ぼけた頭をスッキリさせて、かつリラックスさせる働きがあるらしい。似たような効能の薬を渋谷あたりのニーチャンが売っているのだが、それはおそらく入っていないと思う。
 発売元のシービックはクレアラシルやコパトーンなどを扱っているデカそうな会社なのだが、その割にはリラージュを置いている店が少ない。営業が面倒くさくなって箱ごと地面に埋めたのだとしたら、いつか芽が出て立派なリラージュの木になるだろう。がんばれリラージュ。

 いずれも天然なんとかやナチュラルかんとかを配合した植物性のナイスガイで、花王とライオンが世界のすべてだった自分には刺激的な体験であった。ついでに髪の毛にも刺激的で、コンディショナーを使わなかったので頭髪がガビガビのギシギシになった。リンスぐらい混ぜとけコンニャロウ。
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