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多牌ダイアリー

 一富士二鷹三茄子、という言葉がある。発祥は駒込という町で、今でもカラスの群に混じって鷹がハンガーで巣を作っていて、道端のあちこちに茄子や富士山が生えている。その駒込に軒を構えるビストロ・○○○という店に行ってきた。
 出迎えてくれたマスターにこの店はイタリア料理の店ですかそれともフランス料理ですか、と聞いたらはいここはフランス料理の店です、とにこやかに答えてくれた。なのでワインを注文した。
 シャトー・リューセックとかいう名前だったような気がする。要はおすすめメニューの一番左上に載ってたアレである。ワインの味なんかわっかんねえので実にウマかった。
 あとはよく覚えていない。刺身とかジャガイモの煮っころがしとか焼き魚とかニワトリとかが雪崩のようにベベベベベと出てきて、気がついたらデザートを食っていた。デザートは明治乳業のヨーグルトで、場所は自分の部屋だった。財布の中身が16,000円ほど消え失せていた。夢のような一日だった。

 しょせん自分には、フランス料理の味なんてかけらもわっかんねかった。多分もう行かないけど、フランスと聞いただけで股間が隆起する皆さんにはきっといいお店なんだと思う。
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暴牌ダイアリー

 10年間購読してきた雑誌を買い逃した。GW直前号の発売が4月27日の水曜日で、合併号とばかり思っていたら、5月6日の金曜日にひっそりと次号が発売されていた。最新号は通常通りの5月11日水曜日の発売。図で表すとこうなる。



 発売間隔が伸びたり縮んだりで、企業としての焦りが見える。その煽りを購読者がもろに受けている訳で、チンパンジーも怒っている。こんな変則的な日程を組むぐらいなら、いさぎよくズバっと合併号にして休みをとって、家で塩豆でも食っていてほしかった。自分は実際そうしていた。
 バックナンバーの保管が途切れたので、以後は立ち読みでのお付き合いになる。
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珍牌ダイアリー

 ラトゥールという絵描きの展覧会に行ってきた。チン毛の一本も見落とすまいと食い入るように鑑賞してふと横のキャプションに目をやると「模作」。つまりニセモノ。隣の絵のキャプションにも「模作」。隣も模作で隣も模作。ようやく模作じゃない絵があって、キャプションには「作者:ジャック・カロ」。お前は誰だ。模作模作本人模作模作カロ模作。ラトゥール本人の絵はほんの二割程度で、あとは模作が四割にカロが二割、残りの二割は壁と天井と床だった。こんな混ぜ物だらけのスカスカ展覧会はじめて見た。入館十五分でやることがなくなったので帰る。
 この感動を一刻も早く伝えたくなった。ちょうど地元にすっごいそこそこウマイ中華料理屋があるので、そこで食事会をしましょうと友人連に電話をかける。人数も確保して集合時間も指定して、さあ予約すっぞとガーっと携帯を出してウオーっとボタンを押してウヒョーっと意味なく叫んで電話をしたらお店はお休み。食事会、座礁!
 そういう訳で、今は冷凍ピザをかじりながらこの日記を書いています。
 あーあ、どん兵衛くいてえ。
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