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男と女のダイアリー 〜番外〜

 ずいぶん長いこと営業の仕事をやっている。出先の店員さんともすっかり顔なじみになり、家族同然のお付き合いをさせてもらっている。今日も店につくなり、カバンをおろしてパジャマに着替えておやつも食べずに爆睡した。

 眼が覚めたらおやつがあった。私はカバンの上に転がっていた一粒のハイチュウを手に取って、店長を手招きして呼んだ。
「ご用でございますかお嬢様ー!」
「チェストー!」
 大あわてで飛んできた店長の眉間に、思いっきりハイチュウを投げつけた。店長は上体を後ろにぐらつかせながらも、必死で踏ん張ってもちこたえた。ハイチュウは店長の眉間のシワにすっぽりと収まっていた。
「捨ててこーい!」
「ひゃ、ひゃい!」
 店長は死にかけのアシカみたいな声で返事をして走っていった。誰が落としたか分からない野良ハイチュウなんぞ、怖くて食えたものではない。ゴミを処分してもう一眠りしようとした時、携帯電話にメールが届いた。モロに私好みの男の店員さんからだった。
「姫蔵さん、いつもお仕事お疲れ様です。姫蔵さんが好きだと言っていた
ハイチュウ、カバンの上に置いておきました。よければ食べて下さいね」
「捨ててきましたお嬢様ー!」
 店長が戻ってきた。大仕事をやり遂げた充実感で、はちきれんばかりの笑顔だった。
「拾ってこーい!」
 笑顔目がけてヒールの踵をぶちこんだ。店長の笑顔は星くずとなり、赤い血の彗星が店内いっぱいに尾を引いた。
「ひゃ、ひゃーい!」
 店長は捨てたハイチュウを奪還すべく旅立った。本当に忙しそうな店長さんだ。少しは休めばいいのに。

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 結局こっちのブログに書くことになった。バカ。アホ。酒やめろ。
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