テクニカルダイビング(Technical Diving)

テクニカルダイビング(Technical Diving)
についてのページ。

書かれていること以外にも疑問や質問もしくは、情報提供などがあれば以下まで
Technical Trimix / Nitrox Cave Wreck Sidemount Rebreather

テクニカルダイビングとは
コマーシャル(商用)ダイビングについて
環境による分類
器材による分類
コンフィグによる分類
テクニカルダイビング装備
潜水計画
どうやって始めるか?(指導団体)

Technical Diving

テクニカルダイビングとは
その前に、リクリエーショナル・ダイビング(Open Water Diving)の定義とは
教わってきたと思いますが

  • 減圧停止を必要としない範囲(減圧停止不要限界内)
  • 直接浮上が可能な開けた範囲(Open Water area)


  • にのみ活動範囲を限定し、安全性を確保した形でSCUBA器材を使用
    して潜水行為を行うものを言います。

    対して、テクニカルダイビングとは、この限界を超えて行う
    レジャーダイビングの総称ともいえます。
    直浮上できないエリアのことを、Over Head areaとよび
    そこへの進入Penetrationをも行います。

    勘違いしてはいけないのは、テクニカルダイビングもあくまで
    レジャーダイビングであり
    コマーシャル(商業的)ダイビングではありません。
    また、頭上障害物がない(オーバーヘッド環境ではない)環境だとしても減圧停止をしなければ
    浮上できないとするならば、これを仮想閉鎖環境と定義し、その場合、減圧停止をしなければ
    浮上できない深度へのダイビング行為自体も
    >オープンウォーター・ダイビング
    と呼ばないとする考え方もあります。
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    コマーシャル(商用)ダイビングについて
    ここで、ちょっとコマーシャルダイビングについて簡単に....
    文字通り、商業的ダイビングであり、方法論としては
    スクーバで行うこともありますが、そうで無い方法もありえます。
    まず、目的ありきであり、それに適した方法論を取り、
    その方法は、スクーバはもとより、送気潜水、飽和潜水などの
    システム潜水を行うこともあります。

    日本のコマーシャルダイビング業界での最大深度はDepth 400mを
    超えて行うこともありますが、減圧室や各種混合ガスなどの
    技術を駆使して行うシステム潜水になり、これはもはや装置的にも
    SCUBA(自給式)ではなく、
    多くの費用と装置が必要になるような
    システム潜水
    を行うことになり、一般のレジャーとはまったく異質な世界....
    ということになります。
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    環境による分類
    テクニカルダイビングの分野としては、まず臨む環境に応じて2つの分野に分かれます。

  • Trimix(ヘリウム, 窒素, 酸素の混合気体), Nitroix(窒素/酸素の混合気体), 酸素
    などを使い分けるMixガス潜水
  • Cave(洞穴), Wreck(沈船) などの閉鎖環境への侵入(Penetration)ダイビング


  • カリキュラムはその難易度から段階取得になっており
    一般のOpen Water Divingの認定(Advance Open Water, EANxなどを含む)を前提として
    Advanced EANx → Technical(Air Decompression) → Normoxic Trimix → (Hypoxic)Trimix
    と進む。

    一方、閉鎖環境進入系の分野は、Cave, Wreck と別れており
    Advanced EANx → Technical Wreck
    Cave では
    Cavern → Intro Cave → (Full)Cave → Advanced Cave, Technical Cave
    のように進んでいくことになる。
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    器材による分類
    呼吸器材により以下の種類が現在存在する。
  • Open Circuit(一般レギュレータ)ダイビング
  • Semi Closed Circuit Rebreather(SCCR)ダイビング(半閉鎖式再呼吸装置)

  • Closed Circuit Rebreather(CCR)ダイビング(前閉鎖式呼吸装置)

  • リブリーザは、オープンサーキット(レギュレータ)によるダイビングと違い、
    その操作方法が機種ごとに使用方法、メンテナンスなどに差異があり、別途トレーニングを受ける必要がある。
    中性浮力の取り方一つとっても違うので、オープンサーキットでどんなに経験をつんでいたとしても
    リブリーザは、ビギナー・スタートとなることが通常であり、中途半端な技術は事故のものとなので
    その当たりはわきまえて臨むべきところである
    動揺に、リブリーザーにおいても、バックマウントとサイドマウントリブリーザーでは
    その使用方法にスキルが全く違う状況にあるので改めてスキルを塗りなおす心構えが
    必要かと考えます。
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    コンフィグによる分類
    Scuba Diving においては呼吸器材(レギュレータ、リブリーザ、タンク)は不可欠であるが
    これのコンフィグ(装備構成)により、二通りの考え方がある。
  • Backmountタンク/リブリーザ本体を背中に背負う
  • Sidemountタンク/リブリーザ本体を体の横に取り外し可能な形で携帯する

  • 作業がしやすく、機敏に動けるバックマウントがベースではあるものの、
    Cave 内のような海洋に比べて大きな潮流などが、むしろ極狭環境に侵入することを考えると、
    サイドマウントスタイルの方が重宝され、その優位性から現在、Penetrationの主流は
    サイドマウントに大きくかじを取っている。


    Cenote Exploration Dive



    リブリーザでも同様なことが考えられうるが、サイドマウントはその装備の複雑性からまだ発展途上ではあるものの、
    昨今、各種製品が出そろい、私Afghan もその中で
    SF2 Sidemount eCCR
    を採用して独自のConfigurationを展開している。



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    テクニカルダイビング装備
    人は間違いを犯し、物は壊れることを前提としたテクニカルダイビングにおいては
    命に関わる器材に関しては全てバックアップ(予備)として2つ以上持つことが義務付けられています。
    Two is One, One is Nothing!(二つもってて一つの意味、一つでは持っていないのと同じこと)
    などと言われます。
    代表的な装備にダブルタンクがありますが、これはDeepやペネトレーション系ダイビングにおいて
    ガス量を多く持っていく、というだけの意味ではなく、バルブやレギュレータの故障時に
    もう一方を使えるようにするため、2系統独立して使えるような構造となっているのです。
    同様にレギュレターは1stステージから独立して各バルブに一つずつ
    浮力体も、BC + ドライスーツ
    ライトは、2つ以上, (Caveの場合は3つ以上)
    etc....

    リブリーザー使用時もベイルアウトタンクを持つことが必要になります。
    これも一部ではリブリーザー故障時のためにオープンサーキットを必ず保持する必要がある
    との説明が多くなされていて、これがリブリーザー機材の信頼性がないこと
    からと言われることも多いですがそれだけとも言えません。
    既に第3世代を終えようとしているリブリーザー時代において
    古いタイプのものはともかく最新のリブリーザー機材の信用性も上がってきています。
    テクニカルダイビングを前提とした文化で生まれたリブリーザーの
    ベイルアウト行為は、バックアップ機材なのです。
    よって、中にはOCバックアップでなく、ダブルリブリーザーとして
    ベイルアウトリブリーザーという考えも生まれてきています。

    一方、余計な器材を持ち込むこと, 使わない器材、壊れやすい器材などはトラブルを誘発する上で
    問題になり、またその器材の配置において緊急時にすく取り出せて使える位置にあることが
    十分検討されたうえでの器材配置についても気を配る必要があります。
    Keep It Super Simple(KISSの原則)という言葉に代表される言葉に集約されます。

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    潜水計画
    潜水計画は通常のレクリエーショナルダイビングでも必要なはずですが....
    テクニカルダイビングにおいては緊急時に即浮上する、という手段が取れません。
    理由は、
    減圧停止が必要になる事(減圧ダイビング)
    オーバーヘッド環境によって浮上自体が物理的にできない事(ペネトレーションダイビング)
    である。よって緊急時に至って浮上までの行為として浮上までの時間が長くなり
    その間、ダイビング行為を続けなければなりません。
    その分のガスを見込んだ分、余分にガスを持っていく必要があります。
    潜る深度、侵入距離に応じて、その量は変わるため、計画で算出していく必要があります。
    レクリエーショナルダイビングでは、即浮上であるため、緊急時のガス量は
    その場所から安全に浮上するまでのガスが確保されればイイだけになり、計算が容易です.
    ダイブコンピュータに関しても、テクニカルダイビングでは複数のmixガスを持っていく都合上
    この計算は複雑です。
    ダイビングコンピュータは、ガス交換したときの減圧時間が計算できるものでなければなりません。

    現在は、Sheawater 社のコンピュータなどでそれが実現できています。
    新たなアルゴリズムによりより安全性を持った停止方法なども提供しています。
    今後のテクノロジーの発展と共に、その方法論も随時進化しています。

    裏を返せば、リクリエーショナル・ダイビングはそういった複雑な計画を避けることで
    安全性を担保しているともとることができるのです。
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    どうやって始めるか?(指導団体)
    テクニカルダイビングをはじめるには、前提として通常のシングルタンクのリクリエーション
    ダイビングの認定が必要です。
    さらに、ディープダイビング(18m以上)の経験,
    EANx(Enriched Air Nitrox) の知識が必要です。

    上記を前提として、テクニカルダイビングを指導している機関にて講習を行っていきます。
    指導団体には、以下のものが有りますがそれぞれ特徴がありますのでご自分に合ったところを
    吟味してみたらよいでしょう。

    IANTD
    老舗でテクニカル指導団体の元祖。テクニカルダイビングというカテゴリを確立しただけあり
    その範囲は広範囲。ストレストレーニングなどあり、ちょっと厳しいです。
    TDI
    比較的何でもありで、初めてでもとっかかりやすいです。
    テキストもしっかりしていて、教材は整っています。
    GUE
    ケーブダイビングをメインにした団体。日本人のインストラクターはいません(2005.6現在)
    統制として器材やダイバーに課す義務事項は一番厳しい物となります。
    DSAT
    ダイビング指導団体最大手のPADIの研究機関がテクニカルダイビング
    コースを発表した。最後発だがPADI流の教え方でテクニカル業界にも進出か?
    IART
    機種ごとに混沌とするリブリーザーの指導に統一見解を検討すべく発足した
    (International Association of Rebreather Traners.
    OCコースも発足。

    他にもあるとは思いますが、主にはこんな感じで...


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    といったように、一般のリクリエーショナル・ダイビングの延長上にあるもののその限界を超えるためには
    高度な知識、器材、スキルが要求され、方法、手順なども一気に複雑化、そして妥協が許されない環境に
    向き合う必要が出てくるわけです。
    逆を言えば、このような複雑かつ大げさな器材を要しないようにまとめた体系として現在の
    リクリエーショナル・ダイビング
    が大成された、といっても過言では無いでしょう。