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好牌ダイアリー

 映画を見に行った。チケットを買ってエレベーターで地下の映画館に降りて、カウンターを抜けてロビーを突っ切って扉をくぐって席についたところで気がついた。チケットを誰にも見せていない。
 カウンターに受付のお姉さんが一人いるが、ニコニコ笑っているだけでチケットにはあまり興味がないようだ。他にスタッフらしき人間は見当たらず、まるで神の大いなる意思がチケットのもぎりを拒んでいるかのようだった。
 拒まれても困る。もぎりもしないチケットを買ってしまったこちらの身にもなってほしい。お姉さんを捕まえてチケットをもぎれとどやしつけたら、お姉さんはハイーと言ってチケットをもぎってくれた。今度からちゃんともぎれと叱ったら、デヘーと笑って寝てしまった。客は五人くらいしかいなかった。映画もクソつまらなかった。見ているこっちがよっぽど逆境だった。

 貧すれば鈍す、という言葉がある。ゆきすぎた貧乏や不景気は、人のやる気をこの世の果てまで吹っ飛ばす。むかーしむかしの秋葉原で電器屋に入ったら、客が一人もいなかった。店員に聞きたいことがあったのでスンマセーンと呼んだが、店員も一人もいなかった。コラーと強めに呼んでも出てこない。頭にきたので棚からフロッピーディスクをひったくって、来ないと万引きするぞーと叫んだら遠くからどうぞーと返事がかえってきた。結局万引きはしなかったが、店はすぐに潰れた。
 取引先の会社に行って見積もりを出したら、担当がもの凄い勢いでねぎってきた。双方一歩もゆずらず交渉した結果、なんか知らんが見積もり額の倍の数字で契約できた。いいんですかと一応聞いたら、担当はいいんじゃねーのと鼻をほじって笑っていた。笑っている間に会社は潰れた。

 かくいう自分も鈍している。相撲の勝敗予想がさんざんの出来である。上位で予想した力士がことごとくケガで休場して、代替のブタマン力士どもが面白いように負けてくれる。すっかりやる気がなくなって、パンツをはくのも面倒くさい。
 それでも仲間内ではトップらしいのでビックリした。みんなやる気を失って、パンツをはくのを面倒くさがっている。ノーパン軍団結成の日は近い。
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