直線上に配置

笹倉山(507m)ささくらやま

2007.4.1(日)の記録  2007.4.29の記録
 概   要  七ツ森の親方的存在。杉の植林帯が多いが、ゆっくり歩けば登山道脇にも花も多く見られる。仙台からも近く短時間で登れるのが魅力的。
 場   所
 交   通
 車で仙台から国道457号を大和町方面にへ向かう。宮床の町並みに入る手前にダミーのパトカーがある角を左折。宮床川を渡るとすぐ道が分かれるが左手に進む。比較的新しいこの舗装道は、笹倉の北東の山裾をなぞりながら七ツ森湖(南川ダム)に至る。457号から約2.5km程登った左手に広場がある所が御門杉登山口だ。
 複数車で行ったので、一台を下山する難波コース登山口に置くことにする。難波口は、七ツ森方向へ1.5km程入った所。
 注   意
 事   項
 登山道は御門杉コースはよく整備されており、迷うことは無いが、難波コースを下る場合は山頂の道標からの下山路が踏跡多数で不明瞭。我々は観察に熱中するあまり一部登山道を外れてしまったので、ご注意下さい。正しい下山路は神社の倉庫の後ろからついていますがこれも伐採木に隠され判りにくい。
 コ ー ス
 タ イ ム
 仙台南部→(車70分)→御門杉登山口駐車場→(歩30分)→笹倉山山頂→(歩45分)→難波口登山口→(車5分)→御門杉登山口駐車場→(車70分)→仙台南部
 ※御門杉から難波コース:
        所要時間3時間30分(観察時間含む)
 ※女性5名
別コース 難波口から山頂往復     難波コース詳細ここをクリック
 所要時間:2時間 ※女性単独
 ガ イ ド
 ブ ッ ク
「新・宮城県の山」山と渓谷社
地図:「根白石」1/25000図→下山路は地図に掲載なし

※カシミール3D使用  ※地図をクリックすると拡大します

 植物観察が主目的の登山。普通なら登り下り1時間半の里山ですが、
たっぷり半日かけて、スプリングエフェメラル(春のはかなきものたち)との
対話を楽しみました。
→登山口駐車場

 国道457号を折れて、舗装道をほぼ登りきると、道脇左手に広い駐車スペースが見える。駐車場の手前が登山口。
→登山口駐車場

 国道457号を折れて、舗装道をほぼ登りきると、道脇左手に広い駐車スペースが見える。駐車場の手前が登山口。
→御門杉登山口

 道路から垂直に杉林の中を登山道が付いています。
→登山口の石段

 登山口は道標や防火の旗などで賑やか。石の御門が石段の脇に見えます。うっそうとした杉林を登っていきます。道標には山頂まで1200mと書いてあります。
→苔に覆われた石

 苔むした石がごろごろした湿っぽい谷間に出ました。メンバーの一人によると「屋久島もこんな感じ」だそうです。
→休憩のベンチ

 観察しながら登山口から30分登ってきました。杉林の中に丸太のベンチがあります。
→姥坂の標示

 ベンチのそばに山頂まで800mの姥坂標示がありました。ここから姥坂の急な登りになります。
→柵(さく)

 坂の左手が切れているので転落防止の柵が作られています。登り切るとT字路で両方向に道がついています。
→眺子ノ石展望台

 T字路から右に石の多い道を数分登ると、眺子ノ口(チョウシノクチ)展望台です。あいにくこの日は黄砂が舞い、七ツ森湖がぼんやりと見えました。
→分岐から山頂を仰ぐ

 展望台からT字路に戻り、今度は気持ちのいい尾根道を登って行きます。
 T字路から数分で、亀の子石に到着。
→亀ノ子石

 ガイドブックには亀が2匹とありますが、2と4も入れて4匹に見えました。案内板の由来には、古川恭介(宮床薬研坂の人・1846〜1938)は戊辰の役の東北戦争に出陣祈願の甲斐あって無事生還。よって自らここに亀の子・・・と刻してありますが後半は読めません。
→尾根道の途中

 観察しながらなので、ゆっくりとしたペース。体脂肪を燃やしたいNさんは牽引役ですが、鋭い観察眼でアレコレ見つけるので、皆なかなか前進しません。
→笹の登り道

 いよいよ笹倉の腹の部分に取り付き、ジグザグに山腹を登っていきます。各々、道すがら見つけた春の野草の観察に余念がありません。
→国見崎展望台

 つづら折を数回登ると、笹倉山の肩の部分に出ます。肩の先が展望台になっていて手前にはあずま屋があります。あずまや付近は突端で風があったため、少し手前で休憩をしました。
→国見崎からの眺め

 展望台から、黄砂のスクリーンにぼんやりと浮かぶ七ツ森。左にやや離れて鎌倉山、遂倉山、たがら森があるはずですがここからは見えませんでした。
→ブナ?とご対面

 展望台から道はなだらかになり、ブナが見られます。未熟なので木肌からはイヌブナかブナかは判定できませんが、、ブナの落ち葉は多くありました。
→山頂まであとわずか

 神社の赤屋根が見えました。山頂までもうすぐです。
→薬師堂

 山頂には物置小屋?のような建物とお社がありました。宮床が生んだ歌人原阿佐緒が奉納した石塔が写真右下に見えます。
  原阿佐緒と笹倉山←ここをクリック
→ブナ

 神社の西側には大きなブナの大木もありみごとです。山頂付近は平らな台地状になっていますが、樹木にさえぎられ展望はありません。

→神社を後に
 神社をあとにして下山にかかります。あらかじめ車を回してある、難波コースを下ることにします。 ※実際は神社の倉庫の北裏の下山道が分かりやすい。

 神社から西に道標があり、そこから北に下りました。近くには国土調査の標がありました。   ↓ 
  
→下りにかかるが・・・

 この付近はまだ踏み跡があったのですが、次第に不明瞭になってきました。でもとても気持ちのいい雑木林です。
 ※ここからは間違った道の写真です。
 本来は神社の真裏(北)から下山する
のが正しいルートです。
→急な下り、大丈夫か?

 頂上付近はなだらかですが、肩の部分から下は急な下りとなります。道が無くてもでも、北に下れば道に出そうなので、あまり気にせずに下って行きます。
→道が無い!

 あれれ?道を外したようです。地図には道がなく、山渓ガイドブックの案内図が頼りです。一旦方向を確認してしばし藪をかき分けると右手上からの登山道にひょっこり出ました。ちょうど雑木と杉林の際の付近を道が通っていました。ほっとしました。
→観察熱心 ※正しい道に戻る

 日陰や日なたに住み分けている植物があちこち顔を出しています。つい2週間前に下見に行ったリーダーの話によると、雪道にテンの足跡があったそうです。
→暗い杉林

 杉林の中にも、沢沿いには春の妖精たちが顔をみせており、一同歓喜。今回は花ポイントを嗅ぎ分ける達人が居たのでラッキーでした。
→難波登山口に下る

 大森山薬師如来難波御門登山口と書いてあります。
→駐車スペース

 難波登山口手前に数台の駐車スペースがあり、そこで昼食。付近の山菜を食べる分だけ摘み、少し時間があったのでてんぷらを揚げて食べることになりました。
→てんぷら揚げ

 空き缶でフキノトウ、ヨモギ、カタクリ
の葉を揚げている所。箸は笹を切って
作ります。山での楽しみ方を知って
いる人がいると登山は一層楽しくなり
ます。
       ●以上報告終わり

●出合った植物

↑カタクリだと思う
↑イワウチワだと思う

↑イヌブナだそうです
↑ツチグリか???

↑ミズナラだそうです
↑対生なのでチドリノキ???

↑ネジキだそうです
↑アオハダでは?

↑カンスゲ???
↑ミヤマカタバミ???

↑シデ系かな?
↑朱色のきのこ

↑???難波口下山途中
↑ツル系??

↑ハナイカダ???
↑??杉を這い上がるツル

↑ネコノメソウ系か???
↑セリバオウレンと思う


↑キクザキイチゲ(紫と白)
     だと思う



←アズマイチゲだと思う



※ 記載事項に関して、一切の責任は取りかねますので、ご了承下さい。
また誤りがあれば、どうぞ
MAILにてご指摘お願いします。



難波口から山頂まで往復
2007.4.29の記録

 前回、笹倉山頂から難波口に下山する際に、道に迷ったので、正しい道
を確かめたくて、難波口から山頂を往復してみることにしました。

→難波口登山口駐車場反対側
 御門杉登山口から更に1km程西へ。舗装道が峠を下り始める頃に左に分ける林道があり、そこを250m程進むと、道脇左に3〜4台の駐車スペースがある。向かい側の土手に林業の石碑がある。駐車場の筋向いに荒れた道もある(←写真)が地図では、七ツ森湖畔に至る県道に合流している。登山口は写真の反対側で道標がある。
→杉林の登り

 道標に導かれて、暗い林の中の
登山道を行く。右下に小さな沢があり、
沢を横切って笹倉の山裾をジグザグ
に登っていく。日陰を好むスミレ等が
咲いており楽しい道だ。
→雑木の道

 杉林を抜けると雑木林になり、明るい
道になる。右手(西)には木々の間から
泉ガ岳と北泉ガ岳が見える。
   →正面に笹倉山山頂が見える

 正面が笹倉山。見覚えのある場所に
きました。実は4週間前に、笹倉山頂の
西側の道標から難波口下山中に、
道を見失ったのです。
 写真右下の谷に下りそうになったので
北に藪を漕ぎながら這い登ると、
この辺りにひょっこりと出たのでした。
 今回は山頂からの正しい下山路を
確かめるための確認の登山です。
→途中に藪有り

 ガイドブックに「藪っぽい」と書かれた
辺りだと思う。昨年刈り払いされたのか
背丈を超える藪も足元は道がついて
いる。まだ春なのでいいが、夏場は
草生しているかも。
→平坦な場所を右へカーブ
 藪を過ぎると中腹に平坦な踊り場が
あり、登山道は東向きから南に方向を
変えながら、笹倉山の北斜面を登って
行きます。
 かつてはこの左下にも平行に道が
ついていたようですが、確認を忘れまし
た。
→登山道に倒木が

 だんだんと登りが急になり始めた頃、
道を塞ぐカエデ系の倒木があります。
→カタクリの斜面

 山頂まで急な登りに息が上がります
が、雑木林の北斜面は一面に咲くのは
カタクリ。大群落です。このコースは
あまり利用されないのが幸いしてか、
こんなに身近な里山では有難い事だと
思います。いつまでも守りたいですね。
→山頂の肩の付近が見えた

 カタクリやキクザキイチゲに癒され
ながら登っていくと、山頂の杉が見え、
頂上が間近なことを知らせてくれます。
道は急斜面にうっすらとジグザグに
ついています。
→薬師堂の赤屋根と緑の倉庫

 薬師堂の屋根が見えました。ほぼ
神社の北側に道は登っていました。
難波口の下山路は神社倉庫の裏手
から始まっていたのでした。
 薬師堂西側の道標から下りると、
道が途中で消えるので注意が必要
です。
→薬師堂の北側

 賽銭箱の右手奥にお地蔵さんがある。
下山路はお地蔵さんが目印です。
矢印は薬師堂と倉庫の間に道がある
事を示している。
 
→山頂のようす

 山頂はこんな感じ。薬師堂の手前に
ある石の献燈の右手の小さい方に、
原浅尾(阿佐緒)と刻まれている。
→山頂の三等三角点

 山頂広場入口の北側に三角点が
あります。
※ここから下山路の写真です

→下り道を塞ぐ丸太

 杉を伐採して玉切りにしてあるが、
下山道が隠れてしまっているので、
注意してください。これを越えると、
ジグザグに下る道が出てきます。
→光る七ツ森湖

 木々の僅かな隙間から、南川ダムと
七ツ森湖が見えます。
→急な下り

 急な斜面にジグザクに道がうっすらと
ついています。薬師堂の西側の道標
からまっすぐ下ってしまうと、この正規の
道には合流しないので注意。もし、道標
から下るのであれば、右にトラバース
気味に下るとこの道に出ます。
→左手斜面に笹藪

 しばらくすると笹藪に出ます。ここまで
来ると傾斜も緩くなり、道も判りやすい。
ともかく難波口を下山路する際は、
薬師堂と倉庫のすぐ裏手の北斜面を
下るのが迷いにくいと思います。
→倒木も目印

 倒木が道を塞いでいます。
→平坦な踊り場を左折した所

 ここまで来れば迷うことはありません。
杉林と雑木の境を尾根にそって下り、
また北向きに暗い杉の林を下ると、
道標のある難波口に出ます。
 写真上部には西側の泉ガ岳方面の
山がうっすらと見えます。

       大和町もみじが丘ハーモニータウンから見た笹倉山

↑カタクリ ↑スミレ科 マルバスミレ???
↑ヒトリシズカ だと思う ↑カンスゲ???
↑エンレイソウ??? ↑イヌドウナ だと思う
↑キクザキイチゲとカタクリ ↑スミレ科? HELP!

参考文献:「野草図鑑春編」北隆館


                笹倉山に関する補遺


 ●原阿佐緒と笹倉山
 
 深野稔生さんの「宮城の山ガイド」で笹倉山頂に、原阿佐緒(本名浅尾)が奉納した石燈篭がある事を知った。写真では不鮮明だが、肉眼では認識できる。歌集から笹倉山を読み込んだ歌を捜してみた。

・笹倉の高嶺の霧の明りつつ晴れゆくなべに淋しあさあけ
   歌集「白木槿」大正5年(29歳)

・笹倉の秀嶺たまゆら明らみて時雨来たれば空に虹見ゆ
   歌集「死をみつめて」大正10年(34歳)
 
 阿佐緒が固有名詞で詠んでいる笹倉山。献燈もしているので、きっと特別な
想いがあったのではないでしょうか。他に目に留まった歌・・・

・捨てられて山にかくれて歌よみて泣きて子とのみ生くるわれはも 「涙痕」
・児の手とりかたくりの花今日も摘むみちのくの山は春日かなしき 「白木槿」
・あきらめよ都のぼりをあきらめよとて降るごとしみちのくの雪 「白木槿」
・山に来てひとり鉈振る自らのさびしきふりもいまは嘆かぬ 「死をみつめて」
 
                     参考文献:「原阿佐緒全歌集」小野勝美編



※ 記載事項に関して、一切の責任は取りかねますので、ご了承下さい。
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