坊平樹氷原(1545m)ぼうだいらじゅひょうげん |
概 要 | 山形蔵王に仙台駅からバスで行き、山岳ガイドの案内で蔵王坊平の樹氷原を歩く日帰りツアーに参加しました。 |
場 所 交 通 |
山交バスの蔵王号に乗車。仙台駅西口発、東北道村田ジャンクションから山形道へ。山形市内から蔵王温泉を経て蔵王坊平ライザワールドスキー場到着。 |
注 意 事 項 |
今回はプロガイドが同行だったので、ルートは気にせずについて行くだけの大変気楽なものでした。しかし雪原は広くなだらかで、特に避難小屋周辺はガスれば前後左右上下が判別しにくい。たまにある頼りのポールも天候が良ければ捜せるものの、自力では到底歩けないコースだと感じました。下りの樹林帯も起伏なく単調で吹雪かれると方向を違えそうな感じ。ツアーでもモタモタしているとついていけなくなるので要注意。吹雪の樹氷原で迷子になったらおしまいだと思いました。 服装はスキーウエアと同等以上の厳冬期(3/18でも−7℃)の寒さに耐えうるものが望ましい。帽子は耳まで隠れるタイプで、吹雪の際にはネックウォーマーやゴーグルが欲しい。手袋も防水の厚手タイプでないと凍えて手が痛くなる。足元はスパッツで雪の侵入を防ぐ。ストック2本は必携。このツアーでレンタルできるのは輪かんじきのみ。 ※ツアーの詳細 |
コ ー ス タ イ ム |
仙台西口→(バス1時間50分・休憩含)→坊平ライザスキー場駐車場→(歩2分)→ライザレストラン→(リフト2基約10分)→リフト終点→(歩30分)→避難小屋→(歩20分)→ブナ林帯40分→(歩25分)→ライザゲレンデ途中→(歩20分)→ライザレストラン→(歩2分)→駐車場→(バス3時間・休憩含)→仙台駅西口 ※ライザスキー場リフト終点から避難小屋間で登り、 小屋からレストハウスまで下る(往復別ルート約3.5q) 所要時間3時間(歩行2時間、休憩1時間) ※女性2人、男性ガイド1人 |
地 図 | 地図:「蔵王山」1/25000図 |
今年は春のような冬と、冬のような早春。3月中旬で樹氷は諦めていたが 急に冬型になり期待がふくらむ。坊平ライザスキー場は気温マイナス7℃。 その上この日はツアーといっても我々2名にガイドが1名。幸運にも プライベートレッスンとなる。 ご近所のA子さんとは久々の山。昨年体調不良の彼女はみごと復帰し、 いきなり厳冬の雪山にデビューした。 行程も短いしガイドさんも優しそうな方だから大丈夫。 |
|
→リフトから降りて リフトは2基乗り継いで標高1446mまで楽して登りました。歩き出して5分足らずで中丸山が見えてきました。この時点では風は弱く時折青空が現れ日が射します。景色は望めないものの、吹雪でないのはラッキーです。 |
|
→なだらかな登り 急登は無くなだらかな登りです。輪かんじきは手に持つようにとのご指示。この辺りは風当たりが強く深い雪でも沈まないのをガイドさんは経験でご存知なのです。かんじきを履かずに歩いて行きます。 |
|
→樹氷です〜! スマートなアイスモンスターです。どの位太ると樹氷と言うのか厳密にはわかりませんが、樹氷としておきましょう。冷たい霧粒がアオモリトドマツに衝突して凍結、風上に積み重なって雪と一緒に発達していくそうです。例年3月末に崩壊するそう。 |
|
→樹氷原の様相に 歩き始めて7分です。今朝降った雪に団体で刈田岳に登った人達の足跡がうっすらありました。でも天候が急変すれば数分で跡形もなくなるんですね。硬い雪だったので、足跡もはっきりしません。 |
|
→案内のポール 歩き始めて10分です。ポールは5mあるそうですが、上2m位が出ています。 |
|
→中丸山が下?に見える 左手上に見えた中丸山1562mと互角の高さまで登ってきました。 |
|
→エコーラインを横切る 「あれが道ですよ」と説明するガイドさん。地図ではリフト終点から避難小屋まで3回エコーラインの道路を横断していますが、雪の下になって全く分からずに登ってきました。 |
|
→ガードレール発見! 歩き始めて20分で、初めて認識したガードレールです。たぶん避難小屋に一番近い箇所(1530m)では??と想像します。 |
|
↑樹氷原の様子(木の無い所は道路) |
|
→刈田神社(東方向) 見晴らしのよい雪原に出ました。 正面に刈田岳の神社の屋根が、 指差す方向には杉ヶ峰が見えました。 天気はこの時点で一番晴れており、 360度が見渡せた瞬間でした。 |
|
→あれが杉ヶ峰(南西方向) 屏風岳は雲の中ですが前山と杉ヶ峰が見えました。ここは弁天平と言うそうです。この時までは風もなく寒さは感じませんでした。 |
|
→北西方向 後ろを振り返ると朝日連峰の裾がかすかに見えました。月山は写真右手の中丸山に隠れて見えません。晴れていれば左手には飯豊連峰が見えるそうです。 |
|
→北東方向の様子 雲に紛れそうにうっすらと熊野岳が見えました。天候に恵まれてガイドに案内されれば手が届きそうな感じすらします。でも雪の怖さは身にしみているので我慢。 |
|
→避難小屋 リフトの終点から歩き始めて30分で到着。登りもなだらかで息を切らすこともなく、美しい景色に歓声を上げているうちに着いてしまいました。11時半です。 |
|
→よっこらしょ 雪の多い年は小屋が埋まってしまうこともあるそうです。この日は南側1階の窓から入ります。中に先客が居なかったので、気兼ね無く呑気に昼ごはんの支度ができました。 |
|
→小屋の内部 2階建で、1階は6畳間程で半分吹き抜け。窓が1階2階に2つずつで計4窓あります。雪で埋まってしまった時には2階から入るからでしょうか。 2階部は内部のハシゴから登り、建坪の半分が居住スペースになっています。 |
|
→ストーブとガイドのA氏 ガイドのAさんがストーブに点火。ライザレストラン製の豚汁を暖める。コーヒーやおむすびも美味しく、Aさんのカナダ遠征のお話を伺っているうちに60分経過。そこへ刈田岳から鼻水を凍らせた登山者が10名程小屋に到着しましたので、我々は素早く片付け小屋を出て席を譲りました。 |
|
→天候急変!ガスと風が 小屋の前で履き方を教わって 輪かんを付けてさあ出発! 先程の青空は無く、風も強くガスも 濃い。天候急変です。ゴーグルをして 帽子をかぶり直します。どちらに歩き 出したのか判らずガイドさんが頼りです。 |
|
→小屋が見えました 時折風が弱まるとガスが晴れ、 振り返ると避難小屋が見えました。 もと来た道でなく、小屋から 南方向に歩き出したようです。 |
|
→杉ヶ峰を見ながら なだらかに下りはじめました。熱い豚汁も食べて温まったはずなのに、頬に当たる風の冷たいこと。フェイスマスクもネックウォーマーもザックの中。雪山登山中にザックカバーを直していて仲間とはぐれて遭難した例を思い出し、我慢してひたすら付いて行きます。 |
|
→雪庇のある小さな谷に 小屋から歩き出して5分経過。狭い谷に出ました。ガイドさんは「雪庇だよ」と言いながら、足でガンガン雪面を踏み鳴らしています。危ない!と思ったら、ドンと鈍い音がして、雪庇が谷に崩れ落ちました。 |
|
→雪庇を崩して下る 音にびっくりしていると、ガイドさんは崩れたブロックと一緒に谷に降りて行きます。さほど深い谷でなく安全だから、下から雪庇を見においで、という事のようです。 |
|
→下から見た雪庇(せっぴ) ガイドさんの粋な計らいに素直に従い下から雪庇を観察しました。 この浅い谷間は沢となり次第に谷を削って一枚石沢となり、最上川に流れ込んでいます。 |
|
→雪庇を乗り越える 一度降りた雪庇のある斜面を登り返します。レンタルの輪かんじきには爪がないので、蹴り込まないとズルッと足元の雪が崩れます。 |
|
→1510m付近の台地 頬を刺し襟元に入り込む風が徐々に体を冷やします。寒くなってきました。標高1510m付近と思われます。ここは木が無いのでエコーラインの道路かもしれません。 |
|
→斜面を滑る 小屋から15分経過。地図では1500m付近がちょっと等高線が狭くなっていて、そこを下っているところ。 ガイドさんは尻セードがお好きで、自ら率先してお手本を示し、我々に滑るよう促します。素直な我らもノリノリで滑ります。 |
|
→樹氷を縫って 樹氷の間を縫って歩いていきます。足跡も無い樹林帯を方向を違えずに先導するガイドさん。尊敬します。 |
|
→手が凍る! ポールがある場所に出ました。この頃から寒さで右の指先が痛くなってきました。右手だけ手袋を二重にしていたので締め付けられて血行が悪くなったようです。凍傷になっては一大事!懸命に指先を動かすと10分位してやっと手の感覚が戻りました。油断禁物です。 |
|
→エコーライン標識 小屋から35分の所でカーブの道路標識がありました。エコーラインをかすめて下っているのが分かります。1450m付近と思われます。 |
|
→広葉樹がちらほら アオモリトドマツの中に葉を落としたナナカマドが見え始めました。ガイドさんは樹木にも詳しく、もちろんナナカマドは教えて頂いたのでした。 |
|
→ブナ林帯へ 小屋から40分でブナ林帯に入りました。標高が高いせいか背の小さなブナが多く、下っていくにつれだんだん背丈が高くなっていきます。雪の重さでしなって埋もれている幼木もありました。 |
|
→ブナが占有して純林に近い 大木のブナも見え始めました。ほぼブナが占有しているので、「ブナだけですねえ」と言うと、ガイドさんは目を凝らしてたま〜にあるコシアブラやカエデ類を捜しては、我々に教えて下さるのでした。 |
|
→スキーの滑走跡 ライザスキー場のマイクの音が右手に聞こえてきました。ボード競技大会のようです。リフトの終点からゲレンデを外れてブナ林をスキーで下る人の姿も見えます。 |
|
→ブナ林を快適に下る 今朝雪が降ったそうですので、夜間に行動する動物の足跡は残念ながら見れませんでした。 |
|
→ブナ林からゲレンデへ 小屋から65分でゲレンデに出てきました。我々が下ってきたブナ林にはクロスカントリーのコースもありうさぎコースと名づけられています。 |
|
→ライザスキー場ゲレンデ ゲレンデを横切りますが、スキーヤーやボーダーはまばらで、お邪魔にはならなかったと思います。 ゲレンデの途中から下のレストランを見ています ↓ |
|
→リフトをくぐる レストラン前から最初に乗ってきた4人乗りのリフトの下をくぐります。 |
|
→再びブナ林へ 小屋から1時間10分。ゲレンデの中にあるお清水の森に再び入って下ります。スキー場を下るよりは、樹林の中の方が気持ちいいです。おしずの森と読むらしく、森の中に広場があってそこから山形県内でも有名な?名水が湧いているそうです。 |
|
→滑るA子さんを見守るガイド ガイドさんは安全な急斜面を見つけると必ず率先してお尻で滑ります。我らも童心に戻って滑り、楽しませて頂きました。キャホー! |
|
→杉の大木が現れる ブナに杉の木が混じってきました。植林された杉だそうです。珍しい大木の「ねじれ杉」がありましたが、最近折れてしまったそうです。 |
|
→この建物はハテナ? ガイドさんによると、坊平は蔵王の信仰登山口で修験者の宿坊が並び、ここからの上は女人禁制だったそうです。そういえば参道のように杉が並んでいます。上山市のHPによると、湧き水やねじれ杉の他に三十三観音石仏郡などもあるそうです。お清水の森が終わるとゲレンデに出ます。 |
|
→ゲレンデに戻る 天気もまずまずで安心で楽しいツアーでした。今回のガイドさんは上山市山岳会の方で、熟練ガイド。(最高齢ガイドは75歳だそう)1545mの樹氷原に案内して頂き、冬山の厳しい寒さと楽しさを体感できました。ガイドさんに感謝。 |
|
→ライザレストラン前で 小屋から1時間20分で到着しました。避難小屋で見かけた団体ツアーの人たちも下ってきたようです。 到着は午後2時でした。お疲れさま〜。 |
|
→レンタル輪かんじきを脱ぐ 約3時間の雪山ハイキングツアーの終了です。ワカンが脱げることもなく無事戻り、ホッとしながら紐を解きます。余談ですが山でトイレには行かずに済みました。 |
|
→山交バス「蔵王号」 ライザを午後3時に出発、6時仙台到着。途中に蔵王スキー場でチェーンの着脱と休憩がある以外ノンストップ。蔵王号は車体の樹氷の写真が目印です。 ●以上ツアー報告終了● |
ア オ モ リ ト ド マ ツ |
↑標高1450m付近 | ↑標高1500m付近 |
コ シ ア ブ ラ |
↑枝が末端まで太い | ↑コシアブラの冬芽 |
ブ ナ |
↑1400m付近 | ↑1350m付近 |
ス ギ |
↑うろができた杉 | ↑上で折れています(ピンボケ) |
●ライザスキー場直行日帰りバスツアー 山交バス樹氷号で行く樹氷原 輪かんじきトレッキング ★蔵王坊平ライザプラン★ 料金6300円 大人(中学生以上) ※樹氷号バス料金、ガイド料、かんじきレンタル料、リフト代、 おにぎり・豚汁・ソフトドリンク付き、保険料込み ※2月〜3月の土日祝運行、要予約 ※仙台駅西口バスプール8:15集合8:30出発、仙台18:10帰着 ※山交バス仙台観光営業所 TEL022-221-7616 WEB予約フォーム有 ☆上記は2007年3月の情報ですので、事前にご確認下さい |
|
●ライザスキー場の レンタル輪かんじきの履き方 クロモジ製の手作りで爪なしの輪かんじき。靴の土踏まず部分に2行平行に紐が渡してあるのは一般の輪かんじきと同じ形状。違うのは、前の固定紐が2本ゆるめに渡してあり、そこにつま先を入れて、下の固定紐とはさむ「サンダル型」になっている事。 装着用の紐は8mm程のPPロープ使用。ふわっとして柔らかで見かけより締りが良い紐でした。前を固定紐ではさんであるので、装着紐は靴の甲から踵を固定する為に縛る。 |
|
@最初につま先を前の固定紐の間に差し込む。 A足の甲の部分から紐を後部の固定紐の下をくぐり上にもってくる |
|
B前で交差させて踵に持ってきて又交差。 | |
C踵で交差した紐を前に持ってきて Dつま先を通した固定紐の上から下にくぐし |
|
→C前で蝶結びにして完成。 (これでいいのか怪しいなあ) 教わった通り結んだつもりですが、間違っているかもしれないのでガイドさんによく聞いてくださいね。一応一度も緩みませんでした。 |