直線上に配置

猪倉山(245m)いのくらやま

2007.2.18(日)の記録
 概   要  宮城県岩沼市と柴田町の境にあり、登山道も未整備眺望も全く無い山。良い所は短時間で登れること、道もはっきりしないので探検気分になれる事だろうか。登って良かったわ〜と言える山でないことは確か。山渓「宮城の山」には掲載されていないが、深野稔生さんのご本に紹介されているので、里山マニアが密かに登っていると思われる。
 麓の蕎麦屋と溜池の風情が、また登山口の民家のたたずまいと手入れされた畑の畝の美しさが、この藪山を引き立ている。
 場   所
 交   通
 県道仙台岩沼線と岩沼蔵王線の交差点を、村田(西)方向に入っていく。志賀沢川を左に見て、川沿いに1.4km程走った橋の手前に、蕎麦屋「花いかだ」の看板が見える。左折して橋を渡り、山間の砂利道交じりの舗装道を1.5km位行くと右手に「花いかだ」駐車場の看板がある。
 看板の手前の狭い舗装道を入り、蕎麦屋を右に見ながら更に奥に数百m進んで行くと溜池がある。池の手前の路肩に、駐車スペース(車3台位)があるが、先客の釣り人がいれば、Uターンも出来ない狭さ。下のお蕎麦屋さんにお願いして駐車場をお借りするしかなさそう。歩いても登山口まで600m位です。
 注   意
 事   項
 登山道は、かなり迷いやすいと思って下さい。草が枯れた季節以外は踏み跡を捜すのに苦労すると思います。赤布があり人が入った形跡はありますが、夏場は草に隠れる可能性大です。特に山頂直下は倒木が多く踏み跡も途切れています。短い距離ですが、尾根を外さないように谷に入らないように注意。
 また、登山口が民家の敷地内であるため、本来ならお断りして入山する所だが、仕事の手を休ませてしまうのではと思い、私はこっそり入山してしまった。山でゴミは捨てませんし、動植物も採集しませんし、植林や農作物の妨げになるような行為はしませんので、どうかお許しを。
 コ ー ス
 タ イ ム
 仙台最南部→(車35分)→溜池路肩駐車場→(歩6分)→猪倉山登山口民家の裏手→(歩10分)→枯松の尾根→(歩8分)→猪倉山の肩の辺りで尾根のカーブ付近→(歩9分)→猪倉山→(歩15分)→民家の裏手→(歩6分)→溜池路肩→(車1分)→「花いかだ」駐車場→(車35分)→仙台南部
 ※溜池から猪倉山往復:所要時間(歩行54分)
 ※女性単独。休憩や写真を撮る時間を除いたタイムです
 ガ イ ド
 ブ ッ ク
「宮城・山遊び山語り 蔵王・二口編」深野稔生著
地図:「岩沼」1/25000図

※カシミール3D使用  ※地図をクリックすると拡大します

忙しい年末年始をやり過ごしていると、暖冬だった冬が終わりかけている。
里山の探索の季節もあと僅か。苦手な蛇が出る前に登らなくてはならない。
この日は朝から小雨もようだったが、短時間なら大丈夫と判断。いざ出発!
→「花いかだ」看板

県道蔵王岩沼線を西進。大師温泉の
3km位手前(新幹線の高架よりも1.4km手前を、柴田町方向に左折。
「花いかだ」という蕎麦屋さんの看板が目印。志賀沢川に架かる橋を渡ります。
→山間の道を右折
 途中で未舗装の道路もあるが構わずに山間の道を進むと、また「花いかだ」の看板が。ここを右折です。
 私は間違えてこの道をまっすぐ行ってしまったら、峠道を下り溜池が見えてきた。そこまで行ったらかなり行き過ぎですので、引き返して下さい。
→細い道へ

 「花いかだ」の看板のある所は広い駐車場になっています。その手前に細い道があり、そこを入って行きます。車のすれ違いも方向転換も出来ない程狭い道ですが、舗装されています。蕎麦屋を右手に見ながら400m程で溜池が見えます。
→溜め池のほとり

 池のほとりの路肩に2〜3台車が置けそうなので駐車。ここより先はUターンできず、民家のお庭先をお借りする事になる。ご迷惑なのでここまでが限界。もしここが満車であれば、下の蕎麦屋にお願いして道路脇の広い駐車場をお借りするしかない。

         ↑池の様子    車を降りて右の道を歩き始める。
→一軒目の民家

 池のほとりの道を歩いていくと、数分で一軒目の民家が見える。まっすぐ進みます。
→二軒目の民家

 さらに進むと2件目の民家が見えてくる。この民家の裏手が登山口になっています。
→舗装道の終点を右折

 おそらく私有地だと思います。すみません、お断りもしないで通らせていただきます。ごめんなさい。舗装道はここで終わりです。
→民家の屋根が

 綺麗に下草刈りをしてある民家の裏手を歩かせて頂き、50m程登ったら左折し山に登っていきます。
→倒木を越えて

 両脇はスギとヒノキの植林帯で、薄暗い中を登って行きます。ここからは、踏み跡をたよりに進みます。探検の始まり〜。
 夏場は、草生してかなり往生しそう。こういう藪山の探索は冬場に限りおすすめです。
→浅い沢に出ます

 「沢にスギ」とはよく言ったもので、
スギが植えられていました。
→沢から左へ

 沢を直進しないで、道は左にとり尾根を北に登るようになります。赤布がありますが、冬場は見えても夏場は草に紛れてしまうかもしれません。
 
→松食い虫の防御シート

 尾根に上がると今度は雑木の中に松が見えます。「峰に松」だわ〜。松は乾燥に強いのね。
 ところが可愛そうに松は枯れています。伐採して薫蒸処理をしたのか白いシートも見えます。
→伐採された松

 ひどいのは海岸部の松だけかと思ったら、ここも深刻な状態です。見える範囲は皆枯れかかっています。他に飛び火しないように必死で食い止めようと伐採をしているようです。作業で道が踏まれて、ここだけは明瞭に道ができています。
→尾根が右カーブ

 松枯れを見ながらさらに登っていくと
尾根が右(東)にカーブして行きます。この辺りから枯松に混じっていた広葉樹の雑木が多くなってきます。
→猪倉山の肩に

 丁度猪倉山の肩のあたりに出ました。かろうじて踏み跡があり、だんだん傾斜が増してきます。広葉樹の尾根道です。
→枯れた松の大木

 尾根の途中に大きな枯松が道を塞ぐように立っています。
 この辺りは倒木が多く、踏み跡もうっすらとまばらなので、歩きやすい所を自分で探して登っていきます。
→頂上直下

 倒木を避けながら、足を取られて歩きにくい急坂を登ります。急坂は数分なので、ゆっくり登っても大丈夫。あわてないで、かすかな踏み跡をたどりましょう。
→山頂は針葉樹

 雑木の急坂の尾根登りが終わり、平坦になるとそこは頂上の一角。針葉樹に覆われていました。
→両脇にスギとヒノキが

 山頂部は東西に細長く平らになっています。両脇にスギとヒノキが植林されており、その間が道になっています。見晴らしのない山頂部をさらに数m進むと・・・。
→三角点が

 薄暗い林の中に、頂上を示す三角点と測量の杭のようなものがありました。ここが猪倉山の頂上のようです。
→猪倉山のプリント絵馬

 三角点の脇の木に、プリントされた絵馬が防水シートに守られ貼り付けられてありました。
 平成19年1月1日の日付があり、今年が亥年であるのを記念して登った記録だと思われます。
→もう一つ絵馬
 こちらは小さな木製絵馬が、別な木の枝に掛けられてありました。
 ところでなぜ猪倉山と名づけられたのでしょうか。山頂部が平坦でイノシシの背中に似てるから?でもイノシシは短足なので阿武隈川を渡れずに昔は生息していなかったという話も聞きましたが・・・。
→山頂から北の景色
 山頂は針葉樹に覆われ薄暗くて眺望は全く無いのですが、三角点から数m東に行った北側が、わずかに雑木のみの箇所があり、そこから名取市愛島台の町並みが見えました。
 クリ、ホオ、ケヤキ、アオキ等がありました。森閑としていい気分です。
→頂上下の雑木と枯松

 頂上で木の観察をゆっくりしてから、登ってきた道を下山します。小雨も上がり少し明るくなってきました。写真では見えませんが、正面に愛宕山?の鉄塔らしきものが見えました。
 山頂から肩のあたりまでの稜線は、枯松の倒木で道がはっきりしない所です。かすかに踏み跡がありますから、稜線を外さなければ、はっきりした踏み跡が出てきます。
→枯松無惨

 大木ですが、瀕死の状態で斜面に立ち、救いを求めるように天に枝を広げています。
 岩沼の里山にも松枯れ被害が広がっていたとは、ショックでした。
→折れた枯松と絡むツル

 たぶんアケビだと思いますが、絡んだ松を真っ二つに折っています。絡んで枯れたのか、枯れたので絡んだのか・・・それにしてもツルの威力おそるべし。
 アカマツやコナラ、カエデ類などの雑木の尾根を下ると、また暗い植林の谷になります。
→植林帯に戻って振り返る

 谷に下ってきて山を振り返った景色です。この尾根も山頂から派生している尾根です。登山道は正面の尾根のもう一つ左手の尾根についています。
→スギとヒノキが交互に植林

 もうすぐ民家というあたりの植林帯です。スギとヒノキの樹皮は似ていて、私にはまた判別がつきませんが、葉っぱをみてやっと、右がスギ、左がヒノキとわかります。
 この林は手入れされているように思います。
→登山口に戻って

 民家の裏に戻ってきました。私有地に浸入しているので、お邪魔にならぬよう早々に立ち去ります。本来はお庭先を通らせてください、とお願いしなくてはならないので、心が痛みます。
→日本の山里

 山間の谷に、ごみ一つ無く整然と畠が耕されていました。ここに暮らす方の気品を感じます。日本の正しい山里の景色です。
→2件の民家の通用道

 ため池の北縁にある民家の通用道を、往復歩かせて頂きました。車一台しか通れない狭い道ですが、舗装されています。
→あぶない!!の看板

 池のほとりの看板は岩沼市になっていますがここは、柴田町だったはず・・・。この池は猪倉溜池と道路地図には記載されています。山が浅いので、このあたりは水不足だったのでしょう。富沢地区には地図に沢山の溜池があり、近くの愛宕山の麓には雨乞いのイチョウの標示もあります。
→ため池の土手に渡る橋

 ため池の入口まで戻ってきました。路肩に停めた車も見えます。ため池の土手からは猪倉山が見えるらしいのですが、今回は見るのを忘れました。
 ここで登山は終了です。誰にも会わずに山で遊ばせて頂き満足。いい時間でした。
→駐車スペースあり
 朝到着時には、車が停まっていました。池で釣りをする人用の駐車スペースのようです。2〜3台位しか停められないと思います。
 前方のカーブを右に下って行くと、左手すぐにお蕎麦屋さんが見えます。昼時だったので蕎麦を食べること決め、一旦広い道路まで下り、広い駐車場に駐車します。
→蕎麦屋の庭の散策路
 駐車場から、散策路を通ってお店に歩いて行きます。運良く庭にいらした蕎麦屋のご主人にお会いしました。原野だったこの地を開墾して開業。散策路や庭の滝などもご自分で作られたそうです。俳優の篠田三郎さんをさわやかにしたような印象の方。イケメンです。
→花いかだのお蕎麦

 寒かったので、暖かい蕎麦を注文。つるつるっとして細打ちで私好みのイケメン。830円也の記憶。明るいお座敷には、ネイチャークラフトが愛らしく飾られ、トイレにはロウバイとツバキが生けてありました。
→道路から見た猪倉山

 「花いかだ」の駐車場入口から見た猪倉山です。蕎麦屋のご主人はまだ登られていないとか。地元の人も行かないような、とりえの無い山ってことかな。
→帰路の猪倉山遠望

 天気が良い日には、猪倉山の奥に同じ形をした愛宕山が見え、更に奥には、蔵王が見えます。岩沼市と名取市の境付近の田んぼから西を見た景色。猪倉の溜池の水もこの志賀沢川に流れ込んでいます。
→正面の猪倉山と蔵王

 上の写真の位置から東に4km程の
位置から別な日に撮った写真。今まで
蔵王にばかり気を取られていましたが、
前景の猪倉山も245mにしては、ちゃん
と写真中央に存在感あり。おみそれし
ました。


           猪倉山に関する補遺  ●HPの功罪


 山岳ガイドブックの功罪と同様に、HPの功罪も少なからずあると思う。功はさておき、罪は出来るなら避けたいと思っています。
 猪倉山は、ガイドブックには掲載されていない山なので、HPに載せたことで登る人が増え、山域がゴミやちり紙の山になる可能性も。また登山口が民家の敷地内なので色々な迷惑が及ぶ。その上道が狭いのでハイカーの無断駐車があれば、家から出られず許しがたい事態に・・・。それらがとても心配です。
 山は荒れた藪山ですが、ふもとは手入れされた山林に囲まれとてものどかで素敵な山里です。地元の人の努力で守られた美しい里が、通行人の手で汚されることがないよう祈っています。

※ 記載事項に関して、一切の責任は取りかねますので、ご了承下さい。
また誤りがあれば、どうぞ
MAILにてご指摘お願いします。

※目次のフレームを表示したい時はここをクリック



直線上に配置