北泉ガ岳(1253m)きたいずみがたけ |
概 要 | 泉ガ岳より約2km北西に位置し、81m高い。仙台から見ると泉と北泉は双子の山のようだ。表の泉ガ岳の賑わいに比べ、行程も長く体力も要す北泉ガ岳は、人が少なく静かな山歩きができるが、その分危険も多い。残雪期は要注意。北泉ヶ岳 |
場 所 交 通 |
泉ガ岳スキー場を経て、大平桑沼林道を北に行くと泉高原スプリングバレースキー場がある。そこからさらに3km程進むと、林道が二股に分かれており、その中央に桑沼登山口の駐車場がある。残雪期はこの林道の途中に雪があり、車の通行ができず、登山口までは徒歩となる。 |
注 意 事 項 |
今年(2006年)のように雪が多い年は、GWでも林道に残雪がある。ガイドブックには、5月から登山適期となっているが、雪上歩行に慣れた人でないと難路となる。 殊に桑沼への下りは稜線直下は雪壁となっており、二足歩行は困難で、非常に危険。斜度45度の急坂の下りには設置ロープがあるが、これを見失うと崖で下れない。無雪期でも、下山路には不適だと思う。 また、大倉山手前からの縄文遊歩道への下山路も、赤布などは無く、残雪期は北東側なので、雪が多く残っており、道が雪に隠れてはっきりしない。 |
コ ー ス タ イ ム |
仙台南部→(車90分)→大平桑沼林道、桑沼手前2km付近→(歩65分内道迷い歩30分)→桑沼駐車場→(歩3分)→桑沼入口→(歩80分)→大倉尾根稜線出合→(歩15分)→船形山分岐→(歩20分)→北泉ガ岳→(歩25分)→大倉尾根稜線出合・桑沼下山路→(道迷い歩60分)→大倉尾根稜線出合→(歩25分)→大倉山→(歩5分)→大倉山東下山路分岐→(歩15分)→縄文遊歩道標識→(歩15分)→桑沼入口→(歩3分)→駐車場→(歩35分)→林道→(車90分)→仙台南部 ※徒歩所要時間4時間5分: ★桑沼手前からの林道歩き往復70分と道迷い時間90分も含まず ★実際は8時15分〜15時10分で、休憩含み7時間かかった ※女性単独 |
ガ イ ド ブ ッ ク |
「新・宮城県の山」山と渓谷社 地図:「升沢」、「定義」1/25000図 ※大倉山の下山路は地図に掲載なし (北泉ヶ岳) |
今年は残雪が多く、GW連休前半に全国で事故が多発していた。朝日新聞で どなたかが、遭難は計画段階で起こっているとお書きになっていた。 なるほど、と思ったが、自分への検証は甘かった。雪が踏みたかったので、 近場で、短時間で登れる残雪がある山・・・と考えて選んだのが、北泉ガ岳でした。 |
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←泉ガ岳 (泉ヶ岳) 前夜に来客があり、深夜の就寝。5時間睡眠で、7時前に出発。 眠い目にも、青空と泉ガ岳がすがすがしく映った。後方の船形付近は、真っ白だが、泉ガ岳は山頂付近にちょっと雪があるだけのようだ。 |
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←泉高原 スプリングバレースキー場 泉ガ岳スキー場を過ぎ、さらに北に林道を走っていくと、スプリングバレースキー場が右手に見える。ゲレンデに、残雪少々。オフィスは閉まっていて、自動販売機が並んでいたが、トイレが探せなかった。 |
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←林道を塞ぐ雪 地図では、Sバレースキー場から、4km位なので、10分余りで登山口の桑沼湖畔駐車場に着く予定だった。しかし、思わぬ雪が林道をふさいでいた。北斜面の一部分だが、4駆でないと無理。路肩のスペースに車が2台停まっていたので、私もここに停めて、歩き出した。8時15分。 |
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←雪解け直後の路肩に キクザキイチゲが咲いていた。フキノトウと競争するように、雪解け直後に咲くようだ。 林道は舗装されていない砂利道で、大平桑沼林道と道路地図には書かれている。残雪でふさがっている箇所は一部で、Sバレースキー場から半分位の2km以上が徒歩となった。 |
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←分岐あり 数分で、林道が右にカーブしていて、左に入って行けそうな所に出た。 (※このまま右に進んで下さい) |
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←赤布、白布のある分岐 赤布、白布が、賑やかに木につけてあるので、ここが桑沼への近道か?と思って、10m位入ってみるが、笹藪が茂って踏み跡が無いので、引き返す。紛らわしい赤布だ。 |
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←桑沼遊歩道看板付近 上の右カーブから10分弱歩くと、路肩に車が一台停まっていた。先程の林道の雪道を越えてきた果敢な車だ。連休で天気もいいので、北泉でも、けっこう入山者は居るのだ。左手に道標があった。 |
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←桑沼遊歩道の道標 左手は、桑沼遊歩道0.6kmとの表示。車も停まっているし、道標もあるので、てっきりここが登山口だと思い、道に入っていく。ガイドブックには、駐車15台となっていたので、2〜3台しか置けない、おかしいなあとは思ったが・・・。 |
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←スゴイ藪 最初の100mを過ぎると、背丈を越える笹薮となる。踏み跡も200mで途切れるが、途切れた辺りに赤布があったので、さらに藪を漕ぐが、桑沼は見えない。 藪を見ると漕ぎたくなる性質が災いする。そういえば、ガイドブックにはよく整備された遊歩道と書いてあった。まさか数年でこんなに荒れるはずは無いと判断し、引き返す。 道標と赤布も紛らわしいが、最初に地図で現在地を確認しないで歩き出したのが間違い。30分ロスする。 |
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←駐車場手前 道標に文句をつけながら、林道に戻り歩き出す。北泉から派生する尾根は見えているので、桑沼はもうすぐ近くのはず・・・。 例年なら歩かずとも、車ですんなり駐車場に着けたのだ。今年は林道にまだ残雪があるので、登山口に着かないうちに道に迷うとは。とほほ。 |
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←やっと見えた駐車場 駐車場が見えました。林道はY字に別れ、真ん中が駐車場です。右が種沢林道で吉田から吉岡方面へ。左が升沢林道で、氾濫原方面に行く道。正面の山は大倉山から延びる尾根です。 |
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←登山口の道標 桑沼からの北泉ガ岳への登山口。急坂だが、最短のルートで、案内板では、稜線まで60分、稜線から三峰分岐まで15分となっている。氾濫原をまわって、4時間20分で戻る(ガイドブックと同じ)コースの予定でいたが、既に9時半。2時には下山したかったので、同じ道を帰って来ようと思った。 |
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←登山口の水 看板の近くに、飲み水があったが、水は持参しており、急いでいたので、そのまま歩き始めた。正しい道は広くて、整備されており、藪は無い。(あんな藪に分け入る方がどうかしてると反省する) |
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←静寂の桑沼 しばらく、桑沼を右手に見ながらの遊歩道を歩く。植物観察だけに来ても、素晴らしい所だと思う。 |
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←カタクリ この季節に定番のカタクリ。花も食べられるそうだが、開花するまで7年もかかると聞いては、とても手が出ません。 |
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←ブナと残雪 ここはブナが多い。ブナの実も沢山落ちていたが、中身はからっぽでした。 急登の前に5分休憩し、水分をとる。朝食はパンを食べてきたので、何も食べずに先を急ぐ。 写真を撮りながらなので、割と時間がかかる。 |
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←ロープ登場 登山道には、木に赤い印と、ロープが設置されていた。登山道は雪解け直後のせいもあり、あまりはっきりしない。 |
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←雪に隠れたロープ 急坂の連続になり、ロープも多くなる。残雪でロープが隠れ、ルートを捜すのが大変になってきた。登山口から45分歩いたが、息が切れる割に、稜線はまだまだという感じだった。 |
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←桑沼を俯瞰する 後ろを振り向くと、桑沼が優しく光っていた。無風晴天。木々の隙間から、遠くに薬来山も見え始めた。幾分ホッとするも、時間が無いので先を急ぐ。 久々に本格的な残雪期の登山となり、嬉々とする。雪は気温が高いので凍っておらず、適度な締りがあり、歩き易かった。 下から2名登ってくるのを確認。 |
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←ロープが頼りの急登 後半は凄い急登で、ロープが頼りとなるが、そのロープが、この写真を最後に見えなくなってしまう。ピッケルが無いので、ストックのホールドを雪に刺し、キックステップで足場を確保しながら登る。約10分位は、前の人の足跡を頼りに登る。ブッシュもあるので、それも手ががりに利用した。 |
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←やっと出た稜線 ブッシュ帯を抜けると、雪庇のある壁の下に出た。北泉ガ岳の稜線だ。どこに取り付くのが楽か壁を見回す。庇の低い所を狙って歩き出す。斜度が大きく、もはや2足歩行は困難。蹴り込んだ足場が崩れれば、バランスを崩して、谷底へ滑落するので、3点確保で慎重に登る。 |
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←45度の雪の斜面 写真では45度だが、実際には壁のように感じた。ピッケルやアイゼン無しで、こんな壁を登るのは、初めて。でも、ここまで来たらひるんではいられない。最初に取り付いた箇所がハングが大きくて越せない。一度降りて息を整え、少し右にトラバースして急だが庇の無い部分を狙った。 |
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←乗り越えた雪壁の上から だいぶ気温も上がり、日にされされているせいか、雪が締り無く、足場もズブズブと頼りなかった。ストックを雪に刺し、体重を持ち上げ、壁を乗り越える最後の瞬間に、自分が空腹である事に気づく。 やっとのり越えた。 |
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←稜線で休憩 雪の壁の上は藪になっていて、藪を分け入ってさらに登ると、平坦な稜線に出た。道は間違っておらず、藪から飛び出た所は、道標のすぐそばだった。 |
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←大倉尾根稜線の道標 道標で休憩する。雪壁を越える最後の踏ん張りが効かないのは、空腹のせいだったのだ。11時10分前。急いで、おにぎりと菓子パンをコーヒーで流し込む。空腹で命取りに成る事もあるのだなあ、と思った。行動食はこまめに摂っておくべきだと痛感。 コースタイム60分の所を80分もかかってしまった。 |
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←ヒノキ?のトンネル 5分休憩して、すぐ北泉ガ岳の大倉尾根の登りにかかる。 分岐からすぐ近くに、ヒノキらしき針葉樹があり、そこでリスのようなしっぽの長い小動物が駆け上っていくのが見えた。 |
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←大倉尾根稜線の赤布 登山道は広い尾根の東側についていて、日が当たっている所には雪がない。 でも、東側の急斜面には、まだ雪がべったりついていた。赤布もあった。 |
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←船形山への分岐 15分ほどで、船形山への分岐に出る。道標があるが、この季節は雪に道が隠れているので、広い尾根を船形まで、道を違わずに歩くのは難しいと感じた。 |
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←ブナ林帯を登る 北泉ガ岳への道は、人が多く入っており、雪に足跡が多くついていた。天気もよく、見通しもいいので、頂上の影も見える。足跡をたどって、先を急ぐ。 |
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←気持ちのいい雪の登り 天候に恵まれ、大変気分の良い山歩きだ。残雪期の登山の魅力はここにある。 |
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←カモシカ?の糞 たぶんカモシカ。足跡を捜しかったが時間が無いので、そのまま登ります。 桑沼から登ってきた2名が、尾根に居るのが見えました。船形山も樹間から見え隠れしています。 |
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←北泉ガ岳山頂 船形分岐から20分余りで、頂上に到着。もう12時近い。麓では携帯が圏外だったので、早速夫に電話。単独なので、心配していると思ったが、そうでもなかった。予定帰宅の3時に、少し遅れるとだけ伝えた。 先程の教訓を生かし、お腹は常に満たしておくことにする。 |
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←山頂で展望を楽しむ人々 頂上には20人位の人が休憩していました。泉ガ岳から足を延ばした方々で、若い人はまばらで年配者が多い。でも、地図も見ないで、あそこが、栗駒、虎毛山、神室山と指差す姿は、さすが熟達者と頼もしくお見受けしました。 |
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←頂上からの展望 北の方角ばかり見て、泉ガ岳を見るのを忘れました。というのも、時間が押していたので、どのコースを戻るか迷っていたのです。地図とガイドブックのコピーで、帰路の時間を確認。大倉山から氾濫原を廻ると3時間はかかる。あの雪の急坂を下れるか迷ったが、結局時間短縮の為、同じ道を引き返すことにした。2時には下山できると思った。 |
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←白い!船形山 頂上直下で、船形山がきれいに見えた。まだ船形は雪山だった。 桑沼へ下る分岐まで、30分かかった。なだらかだが、距離は1.5km位ある。 |
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←稜線の雪壁上部 桑沼への最短下山分岐に到着。登ってきた道だが、上部は道が雪に埋もれている。この稜線直下の壁さえクリアすれば下れる、と楽観したのが間違いでした。 |
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←桑沼直登コースの詰めを登る人 この写真直下が正規の道だと思うが、雪庇が大きくて下れない。下から登ってくる人にも、「そこはダメ」というように手で合図される。登ってきたやや北側に移動する。登ってきた時には気がつかなかった、雪の割れ目があったので、そこから出たら簡単に下れた。 下から男女混合5人位のグループが登ってきたので、「ここが登り易いですよ」などど余裕のレクチャー。人を案内している場合じゃないのに。ここから後が本番だったのだ。 |
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←青が登り、赤が下り 登った道より谷側を下ったため、コースを外し、設置ロープが見つからない。雪の斜面をそのまま下ったら岩崖に出て、進退窮まる。 やっとの思いで登り返し、雪庇を超え、また稜線に出た。ここで1時間ロスをする。 ※詳細は後述。 |
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←うるんだ瞳のような桑沼 時間はかかっても、生きて帰宅しようと思い、遠回りのコースを下ることにする 気分は最悪だった。自己嫌悪。 |
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←大倉尾根を下る 下ってきているので、標高は低くなっているが、まだ雪の部分もある。なだらかな下りなので、こちらは天国のように歩きやすい。 本来なら、気分のいい稜線歩きとなるはずだが、まだ暗い谷底にいるようだった。 |
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←大倉山も間近 稜線も広く平坦になってきた。大倉山も間近で、道脇に倒れた道標(大倉山0.1km表示)もあった。 |
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←大倉山と氾濫原の分岐の道標 右が大倉山東屋となっている。氾濫原には西に下って、大倉山の山裾を回りこむようにして、林道を経て桑沼に戻る。 |
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←大倉山の東屋 頂上は樹木が邪魔をして、眺望はよくない。りっぱな東屋は、展望台にもなっているようだったが、割愛する。 |
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←案内板の地図 大倉山の道標の脇に案内板があった。よく見ると、大倉山の手前に林道に下るコースがある。氾濫原を廻るよりずっと早い。30度の傾斜となっているが、雪が少ないので何とか下れそうだ。 先行の登山者2名がいたので、急遽コースを変え、その後をついて下る事にする。 |
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←30度傾斜の下り 稜線から直下の数百mが急で、危険な箇所にはロープがあった。このロープが雪に埋もれていれば、難儀をするだろうが、土が見えていたので、普通に下れた。 先ほどの桑沼直登コースも、雪さえなければロープ伝いに何とか下れたはずだ。残雪期の怖さをつくづく思い知った。 |
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←傾斜も緩やかに 5分程下ると、傾斜もゆるやかになってきた。登山道は雪で隠れて全く見えないが、東に下れば、いつか林道に突き当たると思った。先行の人の姿が見えているし、足跡もあったので、安心感はあったが、ガスっていれば、道迷いにもつながる。 |
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←平坦な場所に 植林帯が見えてきた。平坦になったが、まだ雪があり、道は無い。杉林の中に入ると、足跡も消えて心細くなるが、低い方へ降りていく。このコースも広くて赤布等の目印がないので、残雪期はおすすめではないと思う。 |
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←升沢林道(左手はカラマツ林か) 稜線から15分程下って、升沢林道に出ました。このコースを知っていれば、無理して急坂を下り、怖い思いをすることもなかったのです。ただ、ガイドブックには載っていましたが、二万五千図には記載がないので、頭に入れておかず、登山口の案内板もよく見なかったのも失策でした。 |
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←升沢林道脇の道標 林道に出て、桑沼方向に歩いて2分程で道標に到着。升沢方向に道を外していた。やはり、雪道は怖いです。 升沢は、この林道を7〜8kmほど北に走った所で、旗坂キャンプ場があり、船形山の登山口です。 |
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←升沢林道 雪が解けた直後に、フキノトウが顔を出しています。急いで採って、お土産にします。我が家では、茹でて刻み、ホウレンソウのおひたしと混ぜて食べます。 |
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←升沢林道 桑沼に近い林道でも、こんなに雪に埋もれている部分もありました。車は通った形跡はありません。 |
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←青三色の桑沼 桑沼が見えてきました。林道は約15分歩きました。 |
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←桑沼の遊歩道入口 やっと戻ってきました。大倉山の稜線分岐からわずか30分でした。ロスタイム1時間がなければ、北泉ガ岳からは1時間30分で下ってきたことになります。急がば廻れです。 ロスが多かった割りに、まだ午後2時半でした。登山口の駐車場で湧き水を飲んで、やっと生きた心地がしました。 |
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←大平桑沼林道 写真は、藪で歩けない遊歩道の道標のある所です。 桑沼駐車場からこの林道を30分歩き、やっと自分の車のある箇所に戻りました。 そもそも、この残雪を予想できずに、北泉ガ岳に一人で登ったことが、一番の失敗でした。 |
北泉ガ岳に関する補遺 ●事前の準備不足・判断ミスが命取り 単独の危険性と残雪の山の怖さを思い知りました 反省@単独で登山した・・・自分を過信し、客観的判断ができない 反省A残雪期なのに初めてのコースを選んだ・・・雪で道に迷いやすい 反省B急坂なのに登れたから下れると判断した・・・登れても下れない事もある 反省C事前のコース研究不足・・・エスケープルートなどの無知が危険を呼ぶ 反省D余裕の無い計画をたてた・・・帰宅時間を急いだ為、無理な行動をとった ※以上、全てにおいて”計画段階で、既に遭難していた”と言える ★死にそうになった詳細記 (北泉ヶ岳) ・・・・時間短縮のため、登ってきた桑沼の急坂を下山路に決めた。道標直下の藪を降りてみると、男性1名が雪の壁を登っている所だった。すんなり下れそうな気がして降り口を捜していると、下から男性に「そこは危ない、ダメ」と言われたので、引き返した。思えば雪庇の上に立っていたのだ。
今度は道標から数m北側に降りてみると、男性が壁を越え、笹藪をかき分けていた。私も笹薮を分けて下ると、下りやすい雪の割れ目を見つけた。そこから雪壁に出ると、5人くらいの男女混合チームが登ってきた。一丁前に、ここの割れ目が登り易いと教える。先程はもっと南を登ってきたが、最初から下る道を外していたのだ。人に教えている場合ではなかったのに・・・。 急なので、下る時も後ろ向きの3点確保で下っており、下山のルートの確認を怠った。雪の部分を行けば安全に下れるとばかり考えて、登ってきたルートを、つまり足跡をたどる事を、忘れていたのだった。 ・・・・ルートは雪のほうが下りやすく快適で、体の疲労が少なかった。登ってくる時は、最後はブッシュが多かったのに、雪の多い箇所を下っていた。雪につられて北の谷側に下っていたのだった。斜度は増し、時折ブッシュがあった。10m位の雪斜面を二つ下ったところで、急に行き詰った。足を蹴り込むと雪の下に岩が当たるようになった。
よく見ると雪斜面の先にブッシュがあり、その下は、下が見えないほどの崖になっていた。この崖を降りれば、傾斜がゆるくなって前向きで歩いて行けそうだった。しかし、下までの落差は15mはあった(アパートの4階位)。行けるか?いやいや、ここをクライムダウンする技術は到底ない。もし落ちたら、命は・・・。 崖の上は岩が雪で浮いており、手がかりもあまりない状態だった。下がどうなっているかもわからない。今ここの足元さえも危うい。足が滑れば、まっさかさま。たまたまつかんだブッシュが枯れ枝で、これには青くなった。 先程までのスリルを楽しむ余裕が消えうせ、急に立っていることも怖くなった。ことにブッシュ内の腐葉土は始末が悪く、足を置くと極端に滑った。進退窮まる、とはこの事だと思った。そもそも、なぜ私は、こんな斜面に張り付いて居るのだろう。 どんなに遅くなろうとも、無事で生きて帰ることが大事なのに、なんという無茶な判断をしたのだろう。自らこんな危険な場所に来てしまった!心から悔やんだ。果たして、家に帰ることができるだろうか。何としても帰らねば。こんなバカな死に方をしたくない!死にたくないと思った。何としてもここから脱出しなくては。 まずは、落ち着こう。足場を確保し、息を整えた。かなり腕力を消耗していた。 あたりを見回す。登ったロープで下る以外に、下る道は無いのだと、この時初めて判った。雪道はどこでも下れると思ったのが大間違い。急だからロープがあるのだ。ロープのある場所には、ブッシュ帯を10mも横に這っていけば、行き着くはずだが、そんな体力はなかった。枯れ枝も多く危険だ。登り返すのが安全だった。どんなに時間がかかろうとも、登り返して平和な平坦な道を時間を掛けて生きて帰るのだ、と思った。 さて、足元が危ない。足元とつかむ枝には細心の注意を払い、下って来た自分の足跡を忠実にたどって登っていく。違う道を登れば、またそこが安全かどうか判らない。浮石に乗るかもしれないのだ。その点だけは適切な判断をしたと思う。 しかし、途中のブッシュが背中のザックに絡み、バランスを崩し、一瞬ヒヤッとした。落ち着いて、と自分に諭す。慎重に登る。幸いまだブッシュをつかんで体重を移動したり、トラバースする気力と体力が残っていた。空腹では、こんな芸当はできない。自分の足跡も、希望と安堵感をもたらした。あと少しだ。高い雪の壁が見えてきた。 進退窮まった場所は、思ったより上部で、さほど下ってはいなかったので、集中力も稜線まで枯渇する事は無かった。ただもう、ロープを捜しながら正しい道を下る体力は無かった。崖を下るのはごりごりだ。稜線に戻ろう。雪の壁は2回目なので、さほど難なく越えることができた。笹藪をかき分け、本日3度目の稜線分岐に立った。 休憩。心から安堵した。生きていた。あそこでは死の一歩手前だった。暗い谷底が目に浮かび、また吸い込まれそうで、気分が悪くなった。 一時間あれば、桑沼に着くだろう、早く帰りたい、との思いで、ピストンを決めてしまった。その時には、なぜか登りの時の困難さは、頭から消えていた。ロープを外したらダメだという思いもなかった。ロスした60分は狂気の時間だった。登った道なら下れると思うのは大間違い。判断を誤った末に道に迷い、 枯れ枝にしがみついているおばさんの姿は滑稽だった。北泉ガ岳で遭難などしたら、それこそ笑いものだった。
丸木に腰掛けて、また無糖のコーヒーを飲む。味がない。甘くないと、活力が沸かない。山では砂糖を入れるべきだと、窮地に陥ってやっとわかる。装備、食料、計画、あれもこれも失敗だらけ。遭難するはずだわ〜。でも、落ち込んでばかりも居られない。生きて帰宅するまでは、安心できない。お団子を食べて、糖分補給し、振り出しに戻ってザックを背負い直し、大倉山に向かった。 手放しで二足歩行できる稜線の道は、当然ながら安全だった。歩きながら、自分は残雪期の山を単独で登る力はないのだ、と悟った。 |