直線上に配置

位牌岳(1457m)いはいだけ

2005.12.31(土)の記録
※記録が古いので他の最新情報もご確認下さい
 概   要  沼津市街から富士山を眺めると、首から上しか見えない。その美しい胸から裾野を隠しているのが、前衛にそびえる愛鷹(あしたか)山塊である。南から北へ愛鷹山、袴腰山、位牌岳、越前岳と連なり、白い富士を際立たせるどっしりとした景観をみせている。ことに田子ノ浦から眺めた、鋸岳付近の急峻な山ひだには、今も胸がときめく。
 この愛鷹の麓で育ち、20年余りを過ごした私にとって、愛鷹山は懐かしい想い出のあふれる山だ。今回は、沼津から、第2の主峰位牌岳に登ってみた。昔は気にも留めなかったが、ブナの自然林があるという。
 場   所
 交   通
 車で沼津市街から、金岡へ。国道1号パイパスとリコー通りの交差点の江原公園から山へ上がる。愛鷹総合運動公園を右に回り込むように上ると、沼津国際カントリークラブ(ゴルフ場)がある。ゴルフ場を抜けさらに狭い舗装道を行くと、愛鷹山の中腹を巻くようについた愛鷹林道に出る。林道の右手を下った谷底に水神社がある。水神社の駐車場に車を停め、ここから林道を歩いて、位牌岳の登山口に向かう。
 注   意
 事   項
 登山道はよく整備されており、道標も完備されているが、平成16年に、位牌岳の下山途中に迷って救助要請も出ているらしいので、用心にこしたことは無い。つるべ落としの滝から、沢をそのまま下っている人に出会ったが、かなり岩がごろごろしているし、滝がある位だから落差があって危険だと思った。整備された道を歩くのが無難。
 コ ー ス
 タ イ ム
 水神社駐車場→(歩30分)→位牌岳登山口→(歩45分)→つるべ落としの滝→(歩70分)→池ノ平分岐→(歩8分)→愛鷹主稜線→(歩15分)→位牌岳→(歩120分)→位牌岳登山口→(歩15分)→水神社駐車場
 ※水神から位牌岳往復:所要時間5時間5分
 ※女性単独
 地   図 地図:「愛鷹山」1/25000図→登山路は地図には掲載なし

※カシミール3D使用  ※地図をクリックすると拡大します

 5月以来山に行けず、もはや山恋の念を押さえ切れなくなった。年明け早々
荒天の予報だったので、年越しそばやおせちの準備は30日に済ませ、無理
やり31日を登山日にした。大晦日に一人で山に登るなんて暴挙は初めて。
日本の正しい婦女子はきっとしないでしょう。
←水神社への看板

 沼津市江原公園から、ゴルフ場を経て、水神社をめざす。
 ゴルフ場は昔からあり、そこまで一本道だったが、愛鷹山麓は開発が進んでいた。案の定、ハイカラになった運動公園を誤って左に行き、別荘地のような住宅街に入り込んでしまった。運動公園を右に回りこんで、ゴルフ場からやっとここに到着。
←水神社入口

 愛鷹山の水の守り神。地元では「すいじんさん」と呼んでいる。ここから数分、歩いて沢に下ると有人の神社がある。昔、麓の小学校の遠足で来た。
←水神社駐車場

 神社の入口には駐車場があり、15台位は駐車できると思う。 
 位牌岳、愛鷹山へは、山に向かって駐車場の左手の林道を歩いて行く。
←池ノ平への分岐

 駐車場から20分林道を歩くと、車止めが見える。池の平へは、カーブミラーを右に上っていくが、私は車止めの脇を通ってまっすぐに行きます。
←位牌岳登山口

 車止めから林道をさらに7分程で、砂利のある広場に出る。橋の手前に位牌岳の登山道の案内看板がある。
 看板の所から木の階段があり、ここが位牌岳の登山口となっている。水神社からは林道を約30分歩きました。
←沢に降りる

 今は冬枯れている小さな沢に木の橋が掛けられている。
 位牌岳を直登するこのルートは、20年前は一般ルートになかったように記憶している。新しく整備されたようだ。
←道標完備

 沢に降りると対岸の左手に道標があり、さらに登山道を登っていく。
 
←板状節理の看板

 「溶岩が冷却・・・・により板状に割れ目の入ったもの」と記されている。登山口から25分の所。
 沢を右下に見ながら、登っていきます。
←倒れたスギ

 スギ(だったと思う)が根こそぎ登山道に倒れているが、くぐれるので問題なし。
 倒木によって生じたギャップから光がさし込み、新たな草木が生え更生が始まるのだから、自然の撹乱は悪いことばかりでもないと思う。
←木の階段

 道標も数多く、よく整備された道だ。階段は一段15000〜30000円かかるとか聞いたことがある。
←つるべ落としの滝入口

 登山道の右手に、「滝の入口」の道標があり、枝道を下っていく。このあたりで、下山の男性1名と会う。
←下る途中の滝の全景

 断崖になっているあそこが滝かなあ。水が無いけど。
 滝つぼに降りる細い枝道は危険ではありませんが、高度はあります。足元に注意しながら、慎重に下っていきます。
 
←つるべ落としの滝

 滝は枯れていた。落差は10mはありそうだが、水があればそこそこの景観になるのでは。
 長泉町のHPには、落差20m、幻の滝と記載されている。
←滝から下の沢のようす 

 桃沢川の源流です。狩野川に合流し、駿河湾に至ります。
←雪が積もった階段

 滝を見た後、雪が出てきた。位牌岳へのルートは、南向きなので雪が少ないが、日陰には雪があった。
 ランニングシューズで来てしまったので、下山時が不安になるが、行ける所まで行ってみることにする。
←少し開けてきました

 下山のご夫婦1組と出会う。「上の方の雪はどうですか?」と尋ねると、大丈夫とのこと。気温も高いのか、雪が凍っていないので助かった。
←笹に針葉樹

 ヒノキやスギの植林帯以外の天然木の針葉樹が見えてきた。モミのような感じだが、私には特定できません。
←稜線が見えてきた

 このあたりでシカが池ノ平の尾根に登っていくのを見ました。イノシシやクマもいるそうですが、シカは多く生息しているそうです。
←ありがたい道標

 滝から30分程の付近。登山口から登り始めて1時間20分、水神社駐車場から約2時間経過した所です。
←初めてのブナのプレート

 きゃあ〜〜!ブナだよ〜〜ん。心の中で思わず歓声を上げる。
 伊豆ハイキングクラブの調査木のようです。滝から35分の場所。
←ブナが沢山!

 ブナは北国の樹木だと思っていたが、温暖な静岡にもあったのねえ。
 20年前には、全く気にも留めなかった。当時はただ頂上のみめざし、きれいな景色と足元の目立つ花しか見えませんでした。
←滝から50分のところ

  登りの傾斜もやや緩くなり、辺りが開けてきた感じがします。
←ヒメシャラ

 つるりっとした木肌の高木が、ブナに混じって生えている。箱根以西によく見られるという。ナツツバキに似た、白い花を咲かすそうだ。
←岩も多い

 太古には、愛鷹山も富士山のような円錐状の火山だったそうです。
←ブナの純木帯

 何とも素敵な光景。好きだわ〜〜ここ。日当たりのいい緩斜面にブナがのびのびと育っている。
←空を覆うブナの枝

 なんと雄雄しき姿。ずっと元気でここに居てね。
←群落する馬酔木

 高木もあるが、1m位の低い丈のものもある。アセビはツツジ科で、2月下旬〜5月に、白い壺形の花を穂のように吊り下げるそうだ。
←馬酔木(アセビ・アシビ)

 馬酔木とも書き、馬が葉を食べると酔ったようになるのが由来するそうだ。有毒。つやのある葉と赤い葉柄が目立つ。
←池の平からの分岐

 ブナを愛でながら登っていくと、分岐に出ました。もう頂上の肩まで来た。登山口から約2時間かかりました。
 ここから右に下ると、池の平です。位牌岳の頂上は、左に登っていきます。
←素敵なブナ林を行く

 さらにブナ林帯を登山道は登っていく。沼津市街から見える、位牌岳の稜線を柔らかく縁取っているのが、このブナたちだったのだ。
 昔もここに来たことがあるが、こんなに感動しなかった。歳を重ねるのも悪くないかも。
←稜線の道標が見えた

 池ノ平分岐から、約8分で主稜線に出ました。右に登ると位牌岳。左は袴腰岳を経て愛鷹山へ。昔よく歩いた道です。
←稜線からの南アルプス

 3000m峰が白く輝いています。風も無く、大晦日とは思えぬ穏やかな日です。
←稜線の木々

 何だろう、この木々は。アシタカツツジが咲くらしいが・・・・。
←位牌岳までもう少し

 頂上が見えてきた。足取りも軽やかになる。来てよかった〜。
←駿河湾

 頂上直下に見晴らしのいいところがあり、そこから愛鷹山と、沼津市街、伊豆半島、駿河湾が見える。
←位牌岳山頂到着!

 だれもいませんが、山頂には足跡が沢山ありました。看板の奥から富士山が見えます。水神社から約3時間。思ったより早く着きました。
←北側に富士山

 富士の高嶺に雪はわずか。今年の富士山は積雪はあっても、風が強いので、着雪が少ないと聞きました。
 手前左が主峰、越前岳1504m。木々に隠れて見えませんが、位牌から越前の間に、鋸岳の難所があります。
 
←見晴らしの悪い山頂

 1457mの位牌岳山頂は平坦な広場で、木々に覆われ、眺望はありません。宮城では1400m以上は高山帯になり、高い樹木はないのですが。
 午後1時。3時までに下山の予定なので、休憩なしで山頂をあとにします。
←帰り道

 池の平を経ても下れるが、最短で安全を考えて、帰りは往路を引き返す。位牌岳で位牌になってしまわないように。
 落ち葉の写真を撮りながら下りました。
←帰り道の雪

 北斜面には雪があるが、凍っていないので、さほど危ない所もなく、下ってきた。午後3時の下山予定時刻にも、林道を走って間に合った。
 故郷の山に登りて、言うことなし。大満足の一人旅でした。
 
出会った葉っぱたち
    (標高の低い→高い順に)

←登山口に近い付近。
コナラ、シイのような葉が見える。



←掌状に分裂して、葉柄が長いのはハリギリ?
←ギザギザが大きい葉は、葉柄がないので、ミズナラではないかと思います。
←細長いギザギザの葉はクヌギのような感じもするが、不明。
←この葉は沢山あった。チドリノキにも似ているが不明。
←ブナが混じりはじめました。おそらく標高800m付近。
←葉柄が長くて、冬でも鮮やかな赤や、紫の色を残している。心形で鋸歯がある。残念ながら不明。
←折れて登山道に落ちていた枝。葉先はとがって痛い。カヤか?モミか?
←ブナ、チドリノキ?ハリギリ?イタヤカエデ?
←カエデ類に混じって、ホオノキが出てきました。
←ブナ、?モミジ、ミズナラ、ハリギリなど
←ホオノキ、イタヤカエデ、ブナなど
←シカの糞(フン)?だと思う

 カモシカの糞も似ているので?先ほど、見たのはシカだったと思う。
 落ち葉は、イタヤカエデ、ブナ、ヤマボウシ?
←ブナの根と落ち葉

 ブナの落ち葉は、他の落葉樹よりも腐葉土になるのに時間がかかるそうです。
←稜線のブナ

 風に当たるのに、まだ丈が低いからか、葉が落ちずについています。
←頂上の樹木 不明
←頂上の樹木 不明

 対生なので、ハコネウツギ?ニシキウツギ?のような感じもするが不明。

※もっと鮮明な画像でないと、ダメですね。


参考文献:「紅葉と落ち葉」山と渓谷社、「葉で見わける樹木」小学館、
「葉 実 樹皮で確実にわかる樹木図鑑」鈴木庸夫

※ 記載事項に関して、一切の責任は取りかねますので、ご了承下さい。
また誤りがあれば、どうぞ
MAILにてご指摘お願いします。


                位牌岳に関する補遺


            ハイキングのお供にミカンはいかが?

 ●寿太郎みかん(じゅたろう)
 
  沼津市西浦地区の特産みかん。西浦の寿太郎さんという方が品種改良してつくったそうだ。甘いだけでなく酸味があり、大変味が濃いのが特徴。伊豆の西海岸では、今や人気絶頂。栽培面積がまだ少ないので、地元でもなかなか手に入らないそうです。


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