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船形山(1500m)ふながたやま★升沢コース

2004.10.24(日)の記録
※記録が古いので他の最新情報をご確認下さい
 概   要  船形山は、蔵王・栗駒と並んで宮城を代表する秀峰で、東北100名山にもその名を連ねている。宮城ではふながたやま、山形では御所山(ごしょさん)と呼び名が異なる。
 宮城県側からは、短時間で登れる色麻コースもあるが、今回は長い升沢コースだ。
 このコースは、ブナ林の森林浴、三光ノ宮の眺望、升沢小屋からの沢歩き、頂上のパノラマ、蛇ヶ岳の池塘など、変化に富んだ山歩きが楽しめる。行程が長いので、時間や体力にも余裕を持って行かないと厳しい。山頂付近の紅葉は9月末からだそう。10月末には山麓のブナの紅葉がみごと。
 場   所
 交   通
 仙台中心部から、早朝なら車で約70分で登山口に着ける。大和町吉岡から県道147号線を船形山目指して西に進む。道路は駐車場の手前まで舗装されており道は悪くない。駐車場は林道の脇に2ヶ所有り、無料。スペースは広いが、シーズン中は入山者が多いので、後続の車のことも念頭において駐車すべきだ。
 注   意
 事   項
 升沢コースは、所要時間が、8時間15分と長い。秋は日没時間から、下山時間を逆算して行動しないと、懐中電灯のお世話になる可能性もある。上りも下りも、急坂はなく、道や道標は完備されているが、行程が長いので、健脚向き。
 コ ー ス
 タ イ ム
 仙台中心部→(車70分)→旗坂駐車場→(歩2分)→登山口→(歩25分)一群平→(歩75分)→三光ノ宮→(歩40分)→升沢小屋→(歩60分)→升沢分岐稜線→(歩15分)→船形山頂→(歩55分)→蛇ヶ岳→(歩30分)→蛇ヶ岳分岐→(歩125分)→旗坂駐車場→車で帰宅  ※升沢から蛇ヶ岳経由コース 
 ※休憩含み9時間(昼食40分、休憩70分))
 ※男性3名、女性4名(7:30登山開始、16:30下山)
 ガ イ ド
 ブ ッ ク
「宮城県の山」山と渓谷社
地図:「船形山」、「升沢」1/25000図

※カシミール3D使用  ※地図をクリックすると拡大します
※地図を見た後はプラウザの(戻る)で戻って下さい
 お天気の神様から長らく見放されていたメンバーだったが、この日は抜けるような秋晴れ。絶好の登山日和となった。
 しかし歩行距離15Km余り。休憩なしで、予定所要時間8時間強。秋の夕暮れは早いので、遅くとも12時半には、下山開始しなければならない。皆、山頂を踏みたいので、早起きも何のその。私自身にとっても、船形山は初登山だ。憧れの山を前に、靴紐を締める手にも力が入る。
→駐車場
 
 朝4時に起き、外を見ると満天の星空。すばらしい日の出を、車中で見ながら、大和町吉岡から約30分。駐車場近くまで舗装道だ。
 7時に到着。隣の駐車場とあわせて、もう既に25台余りの車がある。
→駐車場脇のトイレ 

 りっぱなトイレで、水洗、ペーパー有り。(※でも、帰りに入った時はもう、紙はなかったです。)鏡は無し。右側が御婦人用。駐車場の左脇の山の斜面で、小川を渡り、階段を登った所に建っている。登山届けのポストも駐車場の左脇にある。
→登山口(30番のプレート)

 駐車場の右手の砂利道を数分登っていくと、左手に登山口の道標が有ります。赤丸のプレートに白で30と表記されている。船形山頂がで、登りで約10分ごとに、設置してあるそうです。
→26番のプレート

 ブナ樹林の尾根を登る、歩き易い広い道です。約30分登った付近。予測より早いペースで登ってきています。プレートが雪で埋もれてしまうからでしょうか。木の幹の上の方に取り付けてあります。
→一群平(ひとむれだいら)

 26番から6分程で、一群平だ。全山このように、道標が完備されている。登山口へ1.5km、山頂へ6km、旗坂平まで0.7km、三光ノ宮まで2.4kmと書いてある。
→燃えるブナの紅葉

 標高800m付近で、ブナの紅葉が盛り。青空に透かした木々の葉は、まさに燃えるようだ。
→鳴清水(なるしみず)

 沢の音だけが聞こえるので、その名がついたとか。地図をみると、尾根の右手に小荒沢の源流が迫っている。登山口まで2.7km、山頂へ至る4.8km、一群平まで1.2km、三光宮まで1.2kmとの表示。
 
→20番プレート

 登山口から、約1時間20分。平均年齢?!歳のメンバーにしては、いいペースだと思います。皆さん現役のマラソンランナーならではの健脚ぶりです。※23番で10分休憩しています。
→17番プレート

 登山口から1時間40分で到着。標高1100mあたりか。この辺りまで登ると、落ち葉が多くなる。
→三光の宮入口

 約2時間で、三光宮入口に到着。入口からは、3分ほど登るだけなので、行って見ます。とてもいい所だと、ご推薦通り、すばらしい景色が広がっていました。
→三光の宮からの眺望(東)

 左の尾根を登ってきたのですが、反対側の北丸松保沢の谷間が眼下に。見ごろの紅葉で埋まった谷のむこうには、北泉ヶ岳が見えます。ずっと眺望のない樹林帯だったので、ここが初めての展望台です。
→三光ノ宮石碑

 日・月・星・の三つの光を祀るお宮さん。

 
→三光ノ宮から船形遠望

 東側は開けているが、反対の西側はヒメコマツ(ガイドブックによる)が。それでも、樹間からは、初めて船形山の小屋が見えました。
 三光ノ宮をあとにし、登山道にもどる。数分で、大滝コースの分岐を右手に見てさらに登る。
→蛇ヶ岳分岐

 三光ノ宮からは、なだらかに山腹を巻くような道で、約30分で蛇ヶ岳の分岐に到着。左方向が蛇ヶ岳に至る(草原コース)です。我々は、まっすぐ升沢小屋に行き、帰りに蛇ヶ岳を経て、この分岐に戻ります。
→升沢小屋

 蛇ヶ岳分岐から、なだらかな道を15分弱歩くと到着。
 老朽化していると聞いていたが、コンクリートでできているので、まだまだ健在だ。プレートはGになっている。
→升沢小屋内部

 きれいとは言えないが、目が慣れたら青い寝袋も一つ横たわっており、実際に使われている。雨風は充分しのげる。窓無し。中は真っ暗。中央の薪ストーブをコの字型に板の間が囲んでいる。8人位寝られる。無人。無料。
→升沢小屋上部の沢

 小屋からは、保野川の源流の沢を登る道となる。沢の中の石を慎重に選びながら、リズミカルに進みます。
→沢が小さくなる

 数回、沢の両岸を渡り返します。ここは6月中旬まで、残雪があるそうです。
→水がなくなる

 小屋から20分程歩くと、沢の水が枯れてくる。標高1300m付近。
→升沢源流上部

 ゴルジェと言えば大げさだが、そんな雰囲気もあり、何だかウキウキしてしまう。変化に富んだいいコースだ。
→升沢上部からの眺め

 沢の源頭を登りきると、あとはひたすら主稜線に突き上げる道である。振り返ると、眺望も開け、奥に北泉、三峰山、手前に蛇ヶ岳が見えている。プレートはCになっており、小屋から約40分が経過していた。
→階段状に整備された道

 コースは全て整備されており、道標も、プレートもある。又、このルートには小屋が2つあり、登山者には有りがたい山だ。船形の自然を愛し守っている人々の思いが感じられる。
 
→もうひと登りだ!

 稜線に出る少し手前。あの高みの向こうに山頂が見えるはず。天候に恵まれず、ずっとどんよりとした空ばかり見てきたので、気持ちがスカッ〜とする。船形で見た本当の空だ。
→Aから山頂小屋を望む

 お〜い、小屋が見えたぞ〜〜。稜線に出たぞ〜〜。
 写真は、展望台から、北方向の船形山頂を写している。左手、西の方向は、下記の写真です。
 
→Aから蔵王方向の眺め

 写真では見えないが、大東の向こうに、うっすらと雁戸山、又屏風の下に、青麻山(いずれも双耳峰)が見えたのには、感激。登った山が見えると単純に嬉しい。

        ↑すばらしい眺め           
はるばる東北に嫁いだ甲斐があった。苦節20年!(笑) 
→観音寺コースの分岐

 展望台から10分ほどで、左に下る観音寺コースが見える。
 山頂まではあと5分、すぐそこに見えてます。
→山頂の神社

 ついに、山頂に到着。山頂に居た登山者は、ざっと数えて70名余。途中、数パーティーしか会わないので、人が多いのに驚く。でも、頂上は平らで、広々としているので、混雑している印象はない。懐の大きい山だ。
→山頂の標柱

 一番高そうな所に、木製の標柱が立っている。船形山は1500mちょうどの標高なので、覚え易い。
→山頂の小屋

 標柱を、升沢寄りに100m弱下った所に、モダンな山小屋がある。山小屋というよりは、最近の住宅展示場の案内所といったふぜい。2階建。40収容可能だそうだ。無人。無料。ゴールの@のプレートがあります。
→小屋の利用の心得

 船形山頂小屋は、数市町村の管轄らしい。
 仙台市(泉区・青葉区)、大和町、小野田町、色麻町、尾花沢市、東根市等、の連絡先が記載されている。室内の気温は、10度。
→小屋の内部

 まだ、新しく清潔だ。ストーブがあり、写真なども飾られている。窓からの景色も良い。小屋の中にトイレが1つある。順番待ちの列ができている。紙あり。浄化槽のトイレだそう。
→山頂小屋からの眺め

 南東方向の眺望。我々が行く蛇ヶ岳までは、まだかなりある。所要時間は1時間だ。
 12時に頂上到着なので、昼食タイムは30分。
 
→山頂から北西の眺め

 昼食を食べながらの景色。眼下には、裾野に錦をまとった荒神山、1270mが見える。そのはるか向こうの雲上にその頭をのぞかせているのが、おそらく鳥海山。方向的に間違いない。
→山頂直下の下り

 12時半を過ぎ、下山を開始。
 写真でよく見る、山頂付近の紅葉は終わっていた。この翌週には、泉ヶ岳の初冠雪があり、我々は秋の最終ギリギリの登山だった。
→蛇ヶ岳への分岐

 珍しく、若い男女に会う。どちらに行こうか迷っている様子。我々は、登ってきた、写真左の升沢小屋コースではなく、ちょっと遠回りになるが、蛇ヶ岳を回って、旗坂へ下山するコースを選択。新刊の「宮城県の山」もこのルートを紹介している。
 
→蛇ヶ岳への山なみ

 蛇ヶ岳へは、分岐から約45分。なだらかな稜線をあまりアップダウンなく歩くコース。分岐からの下りでは写真のような見晴らしも得られるが、その他は、木に遮られて展望は良くない。
→飛行機雲

 午後1時をまわる。飛行機雲が一筋。天気が下り坂の時にできるらしいが、この日は、ひねもす穏やかな秋びよりでした。
→蛇ヶ岳からの船形山(北西)

 船形山から、55分で蛇ヶ岳に到着。振り返ると、船形山。左が「艫ノ峰」か。とものみねと読ませているので、艫(ろ)は、船の後部の意味なのだろう。
→蛇ヶ岳からの眺め(西)

 西方向は、奥にうっすら月山が。山形県側から船形山に登る、層雲峡コース、観音寺コースは、こちらの方向になります。仙台カゴ、最上カゴの突起も魅力的です。
→蛇ヶ岳からの眺め(南東)
 
三峰を超えると、北泉ヶ岳、泉ヶ岳へ。後白髪山を下ると、定義温泉です。
→北泉ヶ岳への分岐

 蛇ヶ岳山頂のすぐ脇が、升沢コースへの下山路と、北泉ヶ岳へ続く稜線の分岐になっています。
 道標から2分下ると、樹間から草原の中の池塘が見えます。何年ぶりだろうか。はやる心を抑え下ります。
→池塘あり!

 分岐から、約5分で、池塘に到着。空の青を水面に映している。平らな湿原には、木道が整備されて植物を守っている。
 船形山は、宮城の三名山に数えられているだけあり、素晴しい。特にこのコースは、変化があり秀逸。
→草もみじ

 まさに、草原の輝き。黄金色だ。まだ午後2時をまわったばかりなのに、秋の日差しは、既に傾き、人々の影もなが〜く伸びている。
→分岐に戻りました

 蛇ヶ岳から25分で、升沢コースの分岐に出る。ここからは、もと来た道を、旗坂駐車場まで忠実に下ればよい。
 ここから約20分下ると、左手に、大滝キャンプ場への分岐が見えます。
→19番プレート付近

 蛇ヶ岳分岐から、約40分下った付近。Rのプレートに、トラロープが張られている。
 さらに20分下ると、鳴清水。鳴清水から約1時間で、駐車場だ。
→ブナの紅葉をあとに

 荒天の登山は、ありのままの自然を感じられて、それもよしと思っていました。でも、晴れが一番。今回は素直にそう思いました。憧れの船形デビューが快晴で、幸せな一日でした。
 駐車場には、日没前の4時半に到着。セーフ! ●報告終わり
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参考文献 : 「宮城県の山」早川輝雄著・山と渓谷社、
「宮城の名山」柴崎徹著・河北新報社、「東北の山小屋」福島キャノンの会編、
「深野稔生の山遊び山語り・栗駒 船形編」無明舎出版

※ 記載事項に関して、一切の責任は取りかねますので、ご了承下さい。
また誤りがあれば、どうぞ
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                船形山に関する補遺


●船形山のターザン

 深野稔生さんの「山遊び山語り・栗駒 船形編」(無明舎出版)を、今回の登山の後に図書館から借りて拝読した。船形山の名前の由来の新説なども、興味深かったが、一番心に残ったのが、「野生児になれなかった男」だった。
 深野さんの調査によると、昭和の初めから20年代に船形山には、野人伝説があったそうだ。その人は、ヨシゾウさんといい、悲惨な境遇から逃れ、山暮らしに入った、実在の人間だった。若い頃は物乞いはせず、自給自足を貫いていたが、老齢になってそれも叶わず、登山者に発見され、まもなく亡くなったという。悲しいお話だが、伝説のターザンを、深野さんが、よくそこまで突き止めたものだなあ、と感慨深く読み終えた。
 

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