反時計回りに、のび太、セワシ、ドラえもん、ドラミの順に卓についた。ド
ラえもんの起家で東一局がスタートした。
「それじゃ、手軽な役からいこうか。まずは門前清自摸(メンゼンツモ)から
な。ドラえもんからちょこっと説明があったけど、覚えてるか?」
三巡目、を切り飛ばしたセワシがのび太に問いかけた。
「うん、確かメンゼンの時に限って、役がなくてもツモれば上がれる、とかそ
ういう事だったよね」
「その通り。例えばこんな手のことだ。ツモ!」
四巡目、ツモった牌を卓のへりに叩きつけ、セワシは手牌を開いた。
←ツモ
「この手、もう少し粘ると色々な役がついて点数も跳ね上がるんだけど、それ
じゃあメンゼンツモの説明にならないからな。この時点ではメンゼンツモ以外
の役は何もない。がドラだから、ツモドラ1ということになる。ドラを持っ
ててもそれだけじゃ役にはならないから、ドラ1のみでロンすることはできな
い。ついでに覚えておけ。ツモドラ1の点数は親が1,000点、子が500点。おら、
全員さっさと点棒よこせ」
「つまり親である僕は、子に比べて500点も余計に払わなくちゃいけないんだ。
ひどいなぁセワシくん」
ドラえもんは千点棒をセワシに渡した。ぶちぶち言ってはいるが、すこぶる
和やかな口調である。のび太も500点を支払い、セワシのアガリ手を指差して
尋ねた。
「この手は、ツモでないと上がれないんだよね。ロンをするためには、もっと
たくさんツモって役をつくらないといけないの?」
「いい質問だ。うってつけの手がきたら、その時に教えてやろう」
セワシは手牌を崩して、洗牌に取りかかった。他の三人も山を崩して牌をか
き混ぜる。
東二局、ドラミの親。のび太がドラミに7,700点の振込み。自分の捨てた牌
を他者にロンされてしまうことを、放銃(ホウジュウ)あるいは振込みという。
東二局一本場、ドラミがドラえもんに1,300点の振込み。
東三局、のび太の親。のび太がドラえもんに8,000点の振込み。
東四局、セワシの親。のび太がセワシに7,700点の振込み。
東四局一本場、ドラミのツモあがり。親1,400点、子800点の支払い。
東場終了の時点で、トップはドラミの33,900点。以下、セワシ33,300点、ド
ラえもん32,500点、のび太300点。
「僕の点棒、もう三本しかないんだけど。僕って死んだほうがマシなのかなぁ」
半ベソかいて失禁寸前ののび太に、ドラミがハッパをかける。
「なに弱気なこと言ってるのよ! 勝負はまだまだ始まったばかりじゃない。
南場は私がのび太さんの手を見てあげるから、一緒に頑張りましょ。絶対にア
ガらせてあげるんだから!」
続く
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