←チー ←ポン

「これがのび太くんの手牌で、対面がを切ったとする。カンと発声して、
対面のと手持ちの、合わせて四枚を表に返して右隅に移動させる。これ
を大明槓(ダイミンカン)というんだ。要するに、ポンの枚数が四枚になった
と思えばいい。ポンと一緒で、誰の捨て牌でも鳴けるしね。ところでのび太く
ん、これは何本に見える?」
 そう言って、お徳用パスタ1000グラムの袋を開けて中身を取り出すと、のび
太の前で広げてみせた。
「数え切れる訳ねーだろ!」
「あはははは。なんだのび太くん、酔っ払ってないじゃん。大明槓の説明に戻
るけど、鳴いた後はポンとは少し異なる。いらない牌を捨てる前に、一枚ツモ
らなくちゃいけないんだ。四枚鳴いてる以上、ツモらないと牌が足りなくなる
からね。さらに、ツモる場所も通常と違う。ここまでツモってきた山の続きで
はなくて、王牌からツモることになるんだ。王牌とはどの牌だったかな?」
「これだー!」
 のび太はポケットから何かをつかみ取り、出木杉に投げつけた。ダイヤル式
の鍵で、首相官邸と書いてあった。
「それ、あげちゃう!」
「あはははは。これ、首相官邸の鍵なの? すごいねぇ。王牌ってのはドラ表
示牌を含めた14牌の山のこと。この山の、左端の上下四枚を嶺上牌(リンシャ
ンハイ)
っていうんだけど、この嶺上牌を一枚ツモるんだ。ツモったら、ドラ
表示牌の右隣の牌を一枚めくる。ツモるんじゃなくて、めくるだけだからね。
例えばめくった牌がだとすると、が新しいドラになる。つまりカンをす
るごとにドラが増えていくんだ! 素晴らしいよね!」
「素晴らしい! 素晴らしい! 実に素晴らしいぞドラえもん!」
 のび太は出木杉をシカトして、ドラえもんに向かってスバラシイを連発する。
ベッド脇のテレビでエロDVDを鑑賞中のドラえもんが、邪険に手を振ってシッ
シッをする。
「この時点で、王牌はこんな感じになってるはずだよ」



「赤い牌は、ドラ表示牌。カンは基本的に、一局につき四回しかできないから
ね。一人四回じゃなくて、四人合わせて四回までだから気をつけよう。ドラを
増やしたら、手牌から一枚捨てる。これでようやく作業完了。ツモった牌をそ
のまま切ったとして、のび太くんの手はこんな風になってる」

 ←チー ←ポン
←カン

「この状態で、のび太くんがをツモったとする。のび太くんはをポンし
ているから、四枚目のということになる。こういう場合、つまり自分でポ
ンした牌の残り一枚をツモってきた時、このツモってきた牌をくっつけて槓子
にすることができるんだ。これを加槓(チャカン)という。次のような手順に
なる」

 ←ツモ ←チー ←ポン
←カン

「まずカンと発声して、ポンしたの隣にツモったを表に返して
くっつける。こうなるね」

 ←チー ←カン
←カン

「これで、は槓子になった。あとは大明槓と同じ要領で、嶺上牌から一枚
ツモり、ドラ表示牌の右隣の牌をめくって新たなドラを増やして手の中から一
枚捨てる。この場合は二回目のカンだから、元々のドラ表示牌を含めて、三枚
が表を向いていることになる。そうそう、最後には絶対14牌を残さなくちゃい
けないからね。カンを二回したとしたら、正規の山の最後の二牌がツモれなく
なる。覚えておくように」

  →  

「さて、ここで一旦手牌を元に戻すよ」



「一回も鳴いていない状態、つまりメンゼンだ。このメンゼンの状態で
ツモってきたとする。三枚を暗刻で持っているところに、同じ牌をさらに一枚
ツモってきた時にもカンができる。このカンを暗槓(アンカン)というんだ。
今までのカンとはちょっと違うから、よく見てね」

 ←カン

「揃った四枚を卓の右隅に移動させるんだけど、両端の二枚は裏返しのままに
しておくんだ。何故かというと、暗槓は正確には鳴きではないから。暗槓をし
てもメンゼンの状態が保持されるって寸法さ。だから、暗槓をしても作れる役
の数は減らないし、もらえる点数も安くならない。むしろ暗槓することによっ
て点数がアップする。ただし、暗槓の他にポンやチー、大明槓をしている場合
は、もちろんメンゼンではないからね」

メンゼン
 ←カン

メンゼンではない
 ←ポン ←カン

「後の手順は大明槓や加槓と同じ。嶺上牌からツモって、ドラを増やして一枚
切る。はい、これでカンの説明は終了。のび太くん、ちゃんと聞いてたかな?
のび太くーん!」


続く
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