????年??号

 刃牙のいぬ間に家屋を取り壊し、跡地に『神の国・ドッポリア』を建設中の
愚地独歩。しかしその表情は今ひとつ冴えない。
 何かが足りない。いや、敷地面積が足りないのはモチロンなのだが、刃牙に
そんな甲斐性がないのは百も承知なので、これは妥協するしかない。
 大聖堂の建立に必要不可欠な若い処女の血が、どうしても手に入らないのだ。
夏恵も一応処女なのだが、ちとトウが立ち過ぎている。


『処女の生き血求む。当方プロ志望』
 新聞雑誌広告、電柱や電話ボックスにビラを撒いて募集を続けるが、ただの
一人も寄りつかない。『当方プロ志望』を削除して初心者を取り込む作戦も不
調に終わった。やらせろと言ってる訳じゃあるまいし、別に血ぐらいいーじゃ
ねーか。処女のケチ。
 強引だが、こうなったら拉致するしかない。巨大なザルにつっかえ棒、その
下に草刈正雄のブロマイドを置くという完全偽装のトラップを仕掛けて処女の
生け捕りを狙ったのだが、烈海王が16回引っかかっただけで肝心の処女には見
事に罠を見破られた。
 万策尽き果てた。悩みに悩んだ挙句、自称『歩く媚薬』の本部に助言を仰い
だところ、
「押さば退け、退かば押せ」
という、実に含蓄ぶかいお言葉を頂戴した。何度も何度も反芻し、心に刻み付
ける。
「寄らば斬れ、斬らねば斬られる。か」
 間違ってるよ、独歩ちゃん。しかし、もはや彼を止めることはできない。


 鍛え上げた手刀が鈍い光を放つ。その手をペロリと舐め上げる。
 今宵の右手は血に飢えておる。処女だろうが梅毒だろうが包茎だろうが斬っ
て斬って斬りまくる!
 あとついでに、若い女と二人で高原のバカンスを満喫している刃牙がすげー
ムカつく。
「あの野郎、叩っ斬ってやる!」
 嗚呼、ドッポリアに、血の雨が降る……。


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