
2018年47号 第11話
【前回まで】
オリバは宿禰の待つ東京に行くため、刑務所を脱走した。そして速攻で捕まって刑務所に戻ってきた。
「なぜ私を捕まえるんだ」
「は?」
刑務所の所長は新しく赴任したばかりで、オリバの事は何も知らなかった。
「だってお前囚人じゃん。囚人が脱走したら普通に捕まえるじゃん。お前脳みそある?」
「そうじゃなくて」
オリバは目の前の無知な所長に、自分が特別待遇を受けている事を丁寧に説明してやった。
「わかった。お前死刑」
所長が言うと巨大なギロチンが運ばれてきて、オリバは首を板にはめられた。
「そんな囚人いる訳ないじゃん。もうお前飽きたから死んでいいよバイバイ」
「国が特別待遇を認めた文書があるから読め!」
机の引き出しに、それっぽい文書が入っていた。所長は文書で鼻をかんでゴミ箱に捨てた。
「ところでお前は、なんで脱走しようと思ったの?」
「その文書はコピーだよな? 原本は別にあるんだよな?」
「ところでお前は、なんで脱走しようと思ったの?」
「日本に宿禰という力士がいて、私より強いと日本の金持ちに挑発されたので、宿禰を負かしに行くんだよ」
所長様の質問に質問で返す事は許されなかったので、オリバはしぶしぶ答えた。ギロチンからは解放されて
いる。
「お前やっぱり死刑」
所長が言うと巨大な溶鉱炉が運ばれてきて、オリバは鎖でぐるぐる巻きになって天井から吊るされた。
「宿禰って相撲の祖先なのにまだ生きてる訳ないじゃん。嘘つきと筋肉バカは死ぬルールだからバイバイ」
「それが私も気になるから東京に行って確かめたいんだっつーの! ていうか!」
オリバは自力で鎖を引きちぎって所長に詰め寄った。所長はオリバと週刊チャンピオンを交互に見ている。
「私を捕まえてギロチン板にはめて鎖でぐるぐる巻きにするって、こいつどんだけ強いの?」
オリバの背後にいる看守が、ずっとオリバを組み伏せていた。体のあらゆるサイズがオリバより大きい。
「言いたかないけど、私ずっと全力で抵抗してたよ?」
「そいつの正体が宿禰だと言ったらどうする?」
「そうなの?」
「そんな訳ねーだろ」
「だよなー!」
オリバと所長は膝を叩いて笑いあった。
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