
2018年46号 第6話
【前回まで】
宿禰はエア相撲で横綱を豪快に投げ飛ばした。という事はリアルの横綱にも当然余裕で勝てる筈なのだが、刃
牙はそんなに強い宿禰を相撲中継で見た事が一度もなかった。
「宿禰さんって、仕事は何やってんの?」
「相撲取りに決まっているじゃないですか」
「番付は?」
「序二段ですね」
「おいジジイ」
刃牙は光成の横面を引っ叩いた。光成は目を閉じて何も反応しない。
「ピクルと武蔵の次が、なんで序二段のヘボ力士なの? とりあえず帰ってクソして寝ていい?」
「はい刃牙さん素人!」
宿禰は光成の横面を引っ叩いた。光成は目を閉じて何も反応しない。
「相撲って横綱が一応最高位なんだけど、横綱をクリアしたら序の口に戻って二周目が始まるんですよ」
「何を言っているのか全然わからん」
「そうなんですよ。だから例えば一周目の幕内と二周目の序の口だったら、序の口の方が全然強いんですよ」
「ふーん」
「ちなみにさっきの横綱は一周目なんで、番付的には最強でも二周目の力士から見たらゲロ弱のゴミ溜め野郎な
んですよ。二周目の力士ってマジ凄いんですよ!」
「宿禰さんは何周目?」
「一周目ですね」
「おいクソジジイ」
刃牙は光成の後頭部を引っ叩いた。光成は目を閉じて何も反応しない。
「全部なかった事にしてやるから、今すぐ二周目連れてこい!」
「とは言えですよ!」
宿禰は光成の後頭部を引っ叩いた。光成は目を閉じて何も反応しない。
「さっきの壁登りとか、一周目であれができる奴なんかほとんどいないですよ。俺もけっこう強いんですよ」
「二周目だったら?」
「全員できますね」
「クソクソジジイー!」
「刃牙よそこまでじゃ!」
光成の目が開き、刃牙のビンタをかわして両手を叩いた。物陰から一人の大男が出てきた。
「こんな事もあろうかと、本命の力士を用意しておいたぞ!」
「あんたは?」
「一周目の序の口ですね」
「こらこらジジイ」
刃牙と宿禰は光成の額を軽く叩いた。光成は目を閉じたが、口元は少し笑っていた。
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