
2017年05号 第139話
【前回まで】
武蔵は刀を持って戦に出かけた。そこへたまたま園田警視正が通りがかった。園田はた
またまバズーカを持っていた。
「私の名前は園田盛男ですー!」
園田のバズーカが武蔵目がけて火を噴いた。武蔵は肉塊となって血の海に沈んだ。
「きーさまはむーさしになーにをするんじゃー!」
徳川が絶叫したが、園田は悠然と辺りを見回している。
「武蔵なぞ、どこにもいませんなあ」
園田はズボンの中に手を突っ込んで座薬を挿入した。そして抜いた手の匂いを嗅いだ。
「ご老公も嗅ぎますか?」
「いらん! 武蔵なら貴様の足元におるではないか!」
「いやいやいやいや。これは「もと武蔵であったもの」で、武蔵ではないです」
徳川の怒りは急速に萎んで、代わりに底冷えのする恐怖が沸き上がってきた。そこへた
またま刃牙が通りがかった。
「やあ園田さん。今日も元気に座薬型のシャブやってる?」
「やってるやってる。ご老公、例えばこれは「いま刃牙であるもの」ですが、バズーカで
撃つ事で……」
「ほんともうマジでやめて」
徳川は泣きそうな声で園田からバズーカを奪って、砲弾をすべて便所に流した。
「園田お前、いつからそんなにサイコになった? 座薬型のシャブのせい?」
「あれは冗談で、普通の痔の薬ですよ。ほら」
園田は尻から座薬を抜いて、徳川に見せた。見たところでなんの判断もつかなかった。
「という訳で、この生き地獄から抜け出すにはあの男の力を借りるしかないです」
園田は徳川を連れて、プロレスラーの猪狩完至の自宅にやってきた。
「そんなもんは俺には効かんぞー!」
猪狩はバズーカを見るなり、嬉しそうにシャツを脱いで鍛えた肉体をさらけ出した。
「砲弾だろうが座薬だろうが、この腹筋で弾き返してやるぜー!」
そう言えば挨拶を忘れていた。
「元気ですかー!」
猪狩は徳川を全力のビンタで吹っ飛ばした。徳川は床や壁を何度も跳ね回って、バズー
カの銃口に頭から突っ込んだ。
「猪狩だったら、バズーカで撃っても死ななそうでしょ?」
園田は徳川に言ったが、徳川の返事はない。
「返事がないのは元気な証拠ー!」
園田は猪狩目がけてバズーカを撃った。銃口に詰まっていた徳川が発射された。
「だらっしゃー!」
猪狩は徳川を抱きとめて、延髄斬りで空に向かってかっ飛ばした。徳川は冬の大気を切
り裂くメルティラブとなった。
「何もかも解決したんで呑むかー!」
園田と猪狩が銀座のクラブに向かったその頃、武蔵の遺体の隣に着弾した徳川を、たま
たま通りがかった坊主が武蔵もろとも回収した。徳川と武蔵の合同葬儀が、いま始まる!
次号
前号
TOPへ