2016年50号 第133話

【前回まで】

 武蔵に勝利した本部は、ホテルのスイートルームで勝利の美酒に酔い痴れていた。
「時代を守護るとかって、よく分かんないけどかっこいー!」
「あたしのおっぱいも守護ってー!」
「わはははは」
 本部は美女に囲まれて、我が世の春を謳歌していた。そこへ白髪の老人がやってきて、
本部の折れた右足を思い切り蹴った。足は何度も回転してソーセージみたいに捻じれた。
「言葉にできないほど痛ーい!」
 本部はソーセージを抱えて床をのたうち回った。それを老人と美女が生ゴミを見る目つ
きで見下ろしていた。
「私は烈海王の父親だ」
 老人は烈の遺影を本部の目の前に突き付けた。そして涙ながらに本部に訴えた。
「貴様は仲間を守護ると大見得を切ったが、烈の命は守護れなかった。どう償うつもりだ」
「いや、ワシは烈の事も守護ったが、烈が自ら死を選んだのでワシはあえて……」
「黙れ本部。貴様が烈を殺したも同然だ。海王の命は金では買えんが今回は金でいいぞ」
「いやいや、海王であればこそ、闘いの中で名誉ある死を遂げる事が本望なのでは……」
「現金払いか? 小切手か? 振込ならこれが私の口座だから、さあどうぞメモりたまえ」
「要は金かい」
 本部は烈の遺影を老人の手から叩き落した。口座は烈の遺影の裏に書いてあった。
「だったら、この箱のどちらかを持って帰っていいから、二度とワシの前に現れるな」
 本部は2つの大きな箱を老人の前に置いた。今回の武蔵戦には賞金がかかっており、ど
ちらかの箱に賞金が入っていた。老人は箱を2つ抱えて部屋から出た。
「どちらかでーす」
 本部は老人を部屋に引き戻した。老人はブチブチ文句を言いながら箱を2つとも開けて、
賞金が入っている箱を抱えて部屋から出た。
「中を見たらいけませーん」
 本部は老人を部屋に引き戻した。すると美女の1人が突然立ち上がって叫んだ。
「私は烈海王の母親です! 私にも賞金をよこしなさい!」
 何このメス豚と本部が思うより早く、他の美女やホテルのボーイも次々に名乗り始めた。
「私は烈海王のいとこの友人です! 私にも賞金をください!」
「私は烈海王の烈海王です! 賞金ください!」
「だったら私は烈海王の烈海王の烈海王です! 烈海王ください!」
「うるせー!」
 本部の怒りは爆発した。本部は金に目がくらんだ烈海王のなんとか共を武芸百般でタコ
殴りにして、賞金と一緒に箱に詰めて窓から投げ捨てた。そして1人残った美女が部屋の
隅でガタガタ震えているのを見つけて、聞いた。
「貴様も金が欲しいのか!」
「いえ、私はお金はいりません!」
「じゃあなぜここにいる!」
「あなたの事が、好きだからです!」
 それが、本部の恋の始まりだった。


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