
2014年23号 第12話
【前回まで】
光成には霊媒師の姉がいた。光成は姉に研究所まできてもらった。
「元気ですかー!」
姉はくるなりホナー博士をビンタで吹っ飛ばした。姉はプロレスラーの猪狩完至に顔も
声も体格もそっくりだった。
「オレはこいつを起こせばいいのかー!」
姉はのびているホナー博士の脳天に避雷針を突き立てて、アゴがしゃくれる程の大声で
呪文を唱えた。ホナー博士の頭上に暗雲が立ち込めた。
「それは姉者が吹っ飛ばしたヤツな。武蔵はこっち」
光成は姉を武蔵のクローンのところに連れていった。まだ目覚める気配はない。
「でけーチンコだなー!」
姉は武蔵のチンコを引き抜いて、ホナー博士の脳天に突き立てて呪文を唱えた。暗雲は
ますます群がり、雷の音が近くなった。そろそろ落ちる。
「だから武蔵はこっちじゃってば」
光成は武蔵のチンコを所定の位置に戻して、姉に依頼内容を説明した。姉はまばたき一
つせずに笑顔で聞いている。本当に聞いているかどうかは知らない。その間、ホナー博士
は極めて胡散臭そうな目で姉を見ている。
「霊媒だか何だか知らんが、オカルトで武蔵が目覚める訳はないだろう」
「そんなお前にこの技を捧げるー!」
姉は強烈なバックドロップでホナー博士を地中に埋めた。そして謎のレーダーとアンテ
ナを研究所のコンピューターに接続して、キーボードを叩き始めた。
「武蔵の霊魂をモニターに映すぞー!」
しばらくしてモニターの映像にさざ波が立ち、武蔵の顔が映った。クローンの武蔵と同
じ顔のようで何かが違う。
「オレは猪狩だー!」
姉なので猪狩ではないが、とりあえず武蔵に呼びかけた。
「話は聞いていた。拙者の肉体が復活したのであれば、現世で遊ぶのもよかろう」
実にもの分かりのいい武蔵だった。姉はクローンの武蔵の頭にヘルメットをかぶせて、
ケーブルでコンピューターにつないだ。姉がスイッチを押すと武蔵の霊魂がクローンの肉
体に乗り移る。
「スイッチオンだコノヤロー!」
「ぶえーっくしょい!」
その時、光成がくしゃみをした拍子で武蔵の頭からヘルメットを脱がし、間違えて姉の
頭にヘルメットをかぶせてしまった。そしてスイッチが押された。
「オレは猪狩で武蔵だー!」
姉の肉体に武蔵と猪狩が同時に宿った。姉の精神は一体どこに!?
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