
2014年21+22号 第11話
【前回まで】
花山は勇次郎と試合がしたいと言った。もちろん光成も大歓迎だった。
「よう言った! お主か勇次郎のどちらかが死ぬまでやるがいいか!」
「かまわん」
「決まりじゃー!」
その日のうちに試合の準備ができた。花山は地下闘技場で勇次郎を待ち構えている。
「範馬勇次郎、入場!」
「なんで死んじまったんだ親父ー!」
勇次郎の葬式会場が入場した。祭壇には勇次郎の遺影が飾られ、刃牙が棺にすがりつい
て号泣し、最後に満を持して坊主が床からせり上がってきた。花山は帰り支度を始めた。
「花山さん待ってよ! 最後に親父と闘ってやっておくれよ!」
「そういう事は死ぬ前に言え。というか勇次郎が死ぬというのがそもそも信じられん」
「よくあるパターンかもよ!」
花山はハッとして刃牙の顔をめくったが、筋繊維が出てきたので刃牙本人だった。それ
より満を持した坊主の方が怪しいのでコイツもめくったら同じ坊主の顔が出てきた。延々
とめくり続けたが、全部同じ坊主の顔だった。
「無限坊主だよ! 結婚式の二次会とか盛り上がるから呼ぶといいよ!」
「やかましい」
花山は刃牙を葬式会場ごと簀巻きにして東京湾に投げ捨てた。そして光成の頭をわしづ
かみにした。
「どう考えても貴様が一番悪いぞジジイ。なぜ勇次郎が死んだ事を隠していた」
「隠してなんぞおらん! お主と勇次郎のどちらかが死ぬまでやると言っただろうが!」
「それがどうした」
「勇次郎は死んでるので花山くんの不戦勝!」
光成は花山の腰にチャンピオンベルトを巻いて拍手した。光成の頭をつかんだ花山の手
に力がこもった。
「待て待て待てーい。だったらこのカードの中から1枚引けい!」
光成は数枚のカードを花山の前に広げた。カードに描いてある選手と戦えるらしい。
「誰が描いてあるか見せろ」
「はい見せた!」
光成は一瞬だけカードを表にしてすぐ裏にしたが、明らかにぜんぶ勇次郎だった。
「ジジイそろそろいい加減にしようか。ヤクザをなめたら国とも平気で喧嘩するぞ」
「つべこべ言わずに1枚引けーい!」
光成は決死の形相で叫んだ。花山は光成の迫力に押されてカードを引いた。カードには
勇次郎と、勇次郎に叩きのめされて脱糞する若き花山が描いてあった。
「まさか、俺が戦う相手というのは……」
「そのまさかじゃ!」
光成が手を叩くと、巨大なウンコが入場してきた。花山の手の中で光成の頭が弾けた。
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