2014年20号 第10話

【前回まで】

 培養カプセルの底が開いて、宮本武蔵のクローンが床に落ちた。そこへ無数のミサイル
が飛んできてすべて武蔵に命中した。武蔵は砕け散った。
「ミスター徳川ー!」
 ホナー博士は血相を変えて徳川光成の胸倉をつかんだ。武蔵にミサイルを撃ったのは光
成だった。
「アンタに武蔵作れって言われたから作ったのに、なんで瞬殺したの!?」
「だって武蔵って雑魚じゃん」
 光成はミサイルランチャーの銃口をホナー博士の鼻に突っ込みながら言った。ホナー博
士は無言で光成からランチャーをぶんどって放り捨てた。
「まずは雑魚でクローンの実験をして、うまくいったらもっとすごい奴で本気のクローン
を作るの。すごいでしょ」
「瞬殺したらうまくいったかどうか分からんだろうが!」
「武蔵こーい!」
 光成が呼ぶと、10人の武蔵が部屋に入ってきた。こんな事もあろうかと、前もって武
蔵のクローンは大量に作ってあった。
「すでに実験は成功してたの。だから博士には次のステップに進んでほしいのにいつまで
武蔵作ってんの。バカじゃん」
「だから武蔵作れって言ったのはアンタだろーが!」
「発射ー!」
 光成はホナー博士の無礼な突っ込みを神の慈悲でシカトして、10人の武蔵にミサイル
を撃って殲滅した。後には10本の背骨が残った。
「さっき博士が作った背骨と合わせて、これで10本の背骨が集まった。これを合成して
10倍の強さの武蔵を作るのが、博士の役目なのじゃ!」
「俺のを合わせたら11本だろうが」
「なんじゃと!」
 光成が目を見開いたその時、1本の背骨が淡い光を放って宙に浮かんだ。残りの10本
も宙に浮かんで、すべてが発光して壁に映像を映した。10人の武蔵が渋谷の街にいて、
女を片っ端から拉致してホテルに連れ込む映像だった。
「我らの肉体は滅んだが、我らの種は残した。生命をもてあそばれた恨み、我らの子が必
ず晴らしてくれよう」
「どうせ全員堕ろすから大丈夫でーす!」
 光成は連射可能なハイパーミサイルランチャーでうるさい背骨どもを完全に粉砕した。
「そんで俺はどうしたらいいの?」
「とりあえず呑むかー!」
 光成とホナー博士は笑いながら行きつけのクラブに向かった。どうする刃牙!


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