
2005年32号 第258話
【前回まで】
ジャックに敗れ、渋川に敗れたアライJr.の前に愚地独歩が再び現れて……!?
雪辱に燃える愚地独歩に、手加減しようという気配はみじんもない。ケガ人
のミスターは独歩の再戦を受ける代わりに条件を提示した。
「アンタも指を折りなさい」
「なんでよ」
独歩はキョトンとした顔で聞き返した。ミスターは説明してやった。
「私は指を骨折してるでしょ。だからアンタも指を折ってケガ人になりなさい」
独歩は通行人の鼻の穴に指を突っ込んで逆に曲げた。十本全部の指を折った。
「どうだ、これで文句ねーだろ」
ミスターは自分の舌を独歩に見せた。縫合したばかりの舌の傷跡が痛々しい。
「ベロもケガしなくちゃ、決闘なんかしてやんない」
独歩は舌を万力ではさんでむしり取った。ミスターはそれでも納得しない。
「最後にこれで頭をケガしなさい」
独歩はミスターから受け取ったピストルで頭を撃ってぶっ倒れた。ミスター
は独歩の挑戦を退けた。
「アタシ強いんだ星人だーい好き!」
ファミレスに戻ったら梢江が抱きついてきた。ミスターは有頂天になった。
「じゃあ結婚して下さい!」
ミスターが求婚したら、梢江は首を振って口の中のコーヒーを撒き散らした。
「いや! 他の強い人にもみーんな勝たなきゃ結婚してあげない!」
「勝ったら結婚してくれますか!」
「結婚する! ついでにお腹の子供のパパにもなって!」
誰の子供か分からないが、結婚できるなら何でもいい。幸い独歩との闘いで、
格闘家という人種の扱い方が分かった。ミスターはファミレスを飛び出した。
「ミスター渋川の合気は世界一ですか」
「おう! ワシの合気は宇宙一じゃ!」
そっくり返って答えた渋川に、ミスターは尋ねた。
「暴走トラックにも勝てますか」
「見てみい!」
渋川は車道の真ん中で両手を広げた。暴走トラックは渋川の合気を辛くも耐
えて、渋川を空の彼方にふっ飛ばして走り去った。
「ミスタージャックはステロイドが好きですか」
「ああ、オレはステロイドが大好きだ」
「でもこの新型ステロイドは飲めないでしょう」
ミスターは溶けた銀を満たした壷をジャックに渡した。
「飲めるとも!」
ジャックは熱泥のような銀を飲み干して、体中の穴から銀を噴いて卒倒した。
「でやー!」
烈海王は崖から飛び降りた。ゴムひもの先はどこにもくくりつけていなかっ
た。どっきりバンジーで強敵の烈をも葬って、残るは勇次郎と刃牙だけとなっ
た。さて、どちらから仕留めようか。
「オレが闘う!」
「いーやオレだ!」
どちらもバカなので両方呼んだ。案の定、ミスターへの挑戦権をめぐってケ
ンカを始めた。勇次郎と刃牙は激闘の末に相打ちとなって倒れた。
「これで結婚だー!」
ファミレスに戻ろうとしたミスターを、不思議な歌声が釘付けにした。
「うるわーしーきー」
曲がり角からジャックが現れた。背中に鬼の貌が浮かんでいる。
「おにのーかーおー」
ジャックの後ろには烈海王がいた。やはり背中に鬼の貌が浮かんでいる。
「てんかーむてきーのー」
渋川と独歩もやってきた。二人とも背中に鬼の貌が浮かんでいる。勇次郎と
刃牙を囲んだ四人の鬼の貌が一斉に光って、輪の中心にも光の柱が立った。
「はんまーのーちー」
光の奔流の中から、二つの鬼の貌が立ち上がった。範馬親子、大復活!
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