
2005年01号 第231話
【前回まで】
思いもよらぬ方法で、郭の「消力」を破った勇次郎。だが郭は勇次郎に「命拾いした」と言い放ち…!?
中国編
郭海皇によると、勇次郎は郭のパンチで危うく死ぬところだったらしい。も
ちろん勇次郎はそんなことは信じない。
「やれるもんならやってみろやー!」
勇次郎は凄みのある顔で一発吠えて、キックで壁に穴を開けて郭を威嚇した。
「ここでは無理じゃー!」
郭も本気の頭突きで太い柱を真っ二つに折った。もう消力などととろくさい
事は言っていられない。
「なぜだー!」
勇次郎はスタンドに押し入って、手近の椅子を山ほど抱えて観客ごと投げ飛
ばした。難を逃れた老人客が恐怖で小便を漏らして、数珠をおし揉んで念仏を
唱えている。勇次郎は老人客のオシメを取り替えてやった。
「客の前で人殺しをしたらワシ逮捕じゃー!」
郭は床にチョップを叩き込み、できた亀裂に両手をねじ込んで左右に思い切
り引っ張った。闘技場の床石が全て剥がれて、下から一面のスイカ畑が現れた。
「場所の移動じゃー!」
勇次郎と郭はもぎたてのスイカをうまそうに食べ終えて、ウオーと叫びなが
ら闘技場を飛び出した。二人の行き先は一体?
火星編
「こんなものいらんわー!」
勇次郎と郭は宇宙服を脱いで火星の空に放り投げた。空気がなくても全然平
気な無敵の二人は試合を再開した。そこへ火星人がやってきた。見た目は地球
人のオッサンと変わりがない。サツマイモを二つ持っている。
「おめだづ、こんでも食って力つけっぺや」
「ん?」
サツマイモを目にした二人はすぐにピンときた。イモを食って屁をこいて、
空を飛んで地球へトンボ帰りになる。これは火星人の罠に違いない。
「うっさいボケ。そんなにイモを食わせたきゃてめーがイモになれ」
まったくとりつくシマがない。今度は水着姿の女性が駆けてきた。地球でも
滅多にお目にかかれないめんこい娘さんだ。筒のようなものを二つ持っている。
「おじさんたちー! これ、おケツにぶっ挿してー!」
「よし! ぶすっと挿してくれい!」
自らズボンを下ろした二人の尻に、娘は筒を挿入して先端のヒモに火をつけ
た。筒は派手に爆発して、勇次郎と郭は尻から白い煙を吐いて飛んでいった。
地球編
太平洋上に二つの隕石が墜落した。隕石は水中深く沈んで、そして急浮上し
て海面に顔を出した。
「どらー!」
隕石は勇次郎と郭だった。二人とも下半身にサメが食いついている。人魚と
化した二匹が激突する瞬間、通りがかったクルーザーに捕獲された。
「大擂台賽をほったらかしてどこ行ってたんだよ、オヤジ」
クルーザーには刃牙が乗っていた。勇次郎と郭を冷たい目で見下ろしている。
勇次郎と郭は尾ビレをビチビチいわせながら答えた。
「火星」
「ウソつけバカ」
刃牙はまるで信じようとしない。さすがの二人もカチンときた。
「だったらその目で確かめてこーい!」
勇次郎と郭はサメをバットにして、刃牙を大空にかっ飛ばした。
めぐりあい宇宙編
星の瞬き一つなかった。刃牙は膝を抱えて宇宙空間を漂っている。
「あーあ。一度でいいから中出ししたかったなあ」
漆黒の闇に小さな光の点が灯った。点はどんどん大きくなって、女性の姿に
なって刃牙の前に立った。
「刃牙よ、私が誰だか分かりますね?」
それは火星で勇次郎と郭が出逢った娘だった。刃牙は初対面だが、その声に
は聞き覚えがあった。遠い昔、幼い刃牙に子守歌を歌ってくれた声だった。
娘は目映い光に包まれた。光が消えると、そこにいたのは娘ではなかった。
「烈さん!」
娘の正体は烈海王だった。烈は優しく刃牙に語りかけた。
「さあ刃牙くん、私と一緒に新しい世界へ行こうじゃないか」
「うん!」
刃牙と烈は手を取り合って歩き出した。刃牙よ烈よ、永遠なれ!
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