
2004年34号 第214話
【前回まで】
「組まないか、わたしと」勝利を収めた刃牙を祝福しつつ言い寄る寂 海王。一方、烈 海王は中国連合軍2連敗という危機的状況の中、さらなる闘志を漲らせていたッッ!!
「第三試合! 烈海王、寂海王両選手、前へ!」
ぜってーやだ。烈みたいな化け物とやって勝てる訳ないつーの。お前らだっ
て本当はそう思ってんだろ? 日本から来たインチキ海王がボコボコにされる
の見て腹抱えて笑いたいだけなんだろ? 全部分かってんだよ。くっそ、中国
人マジむかつく。だいたい、お前らが海王になれなれってうるさいから仕方な
くなってやっただけなのに、大擂台賽には出ないって言ったらそんなのダメダ
メ、出ないんだったら死ね死ねって、お前ら反復魔人か。我がままもいい加減
にしてくれよホント。あー日本に帰りてえ。でも帰ったら今度は勇次郎に殺さ
れちゃうんだろーな。脱サラしてまで板ばさみかよ、ワシ。やだやだ。
ん? なんだい刃牙くん? ワシに替わって闘ってくれるの?
「寂さん、もし負けたら二万人の弟子は全員オレがぶんどっちゃうからな。は
はは」
何それ。ハッパかけてるつもりな訳? 笑えねーんだよクソガキ。ワシがど
んな思いして二万人も金ヅルかき集めたか、全然分かってないよなキミ。いい
よなー高校生は。何も考えなくても親が面倒みてくれっから。いーやウソだね、
勇次郎は間違いなく息子に甘いね。だってキミの相手、春成だっただろ。ワシ、
春成だけには勝てる自信あったのよ。だって弱そうだったじゃん。刃牙くんに
二秒で負けたから言ってるんじゃなくて。マジでマジで。それなのにさ、ワシ
がトイレに行ってる間に勇次郎が勝手に組み合わせ決めやがって。キミの相手
はウンコの春成で、ワシの相手は最強の烈。ワシも大人だから黙っていたけど
さ、キミは汚いよ。そうやって親父に守られてこれからもヌクヌクとさ、って
何すんだ! 返せって! 大事なメガネなんだから! 返せコンニャロ!
あ、なんだその目は。キミがメガネを取ったりするからだろ。軽く小突いた
だけなんだから、とりあえずその手を下ろしなさい。な。下ろさないと、ワシ
だってやる時はやるんだぞ。ワシが本気になったら、キミのような、若造なん、
か、お父さーん! アナタの息子が人を殺そうとしていますよー! お父さー
ん!
「寂海王、試合開始まで時間がありません。試合場にお急ぎ下さい」
ほら、聞こえた? ワシは急いでるからこれで。逃げるんじゃないって。ア
ナウンスさんにも迷惑かかるから行かなきゃなんないんだって。おお試合後に
でも何でもやってやろーじゃねーか。逃げる訳ねーだろ。テメーこそ親父に泣
きついたりするんじゃねーぞ! ガオー!
「待ちかねたぞ寂さん。夢にまで見た貴方との対決、存分に楽しませてもらう」
奇遇だねえ烈さん。ワシはアンタとなんかちっとも闘いたくないんだよ。銅
鑼が鳴ったら試合開始か。あの銅鑼がチーズで出来てたらなー。ネズミにかじ
られて試合中止なのになー。ちょっといい? いや触るだけだから。あ、やっ
ぱ本物の銅鑼だ。あーあ。やだなー試合。二万人も弟子がいるんだから、一人
くらい助けに来てくれたっていいのに。アイツら日本で空拳道の練習とかチマ
チマやってんだろうな。馬鹿みてえ。もー来月から授業料値上げだ値上げ。ク
ーケンドーの値上げで鼻血ブーケンドー。なんちて。烈さん、これ面白くね?
「……」
そうですかシカトですか。もうアッタマきた。こんなクソ試合ぶち壊して、
テメーに吠え面かかせてやる。烈さん大変だ! 神聖なる闘技場の天井に穴が
空いて、雨漏りをしているぞ! 今すぐ修理に行かなければ!
「そんなもの、係の人間に任せておきましょう」
雨漏りの修繕は海王の仕事って書いてあっただろ! つべこべ言わんとつい
てきなさい! はいはい、ちょっと通してね。ごめんなさいね。サイン? あ
とあと。オラどけガキ! ん? どうしたボク、足の骨折っちゃった? 大丈
夫かい? でもね、ボクが急に飛び出してきたのがいけないんだぞ。おじさん
はなーんにも悪くないからね。オーケー? よしオーケー! 烈さん、急ごう!
「なんだ、雨漏りなぞどこもしとらんではないか」
雨漏りはキサマだー!
「おわっ」
おー落ちた。こりゃ助かんねーな。ザマみろ烈! ペッ! ペペペッ! さ
て、これで刃牙を何とかすれば一件落着なんだけど、どうすっかな。あいつま
だ怒ってっかな。とりあえず一服しながら考えよ。
いい天気だなあ。そりゃ雨漏りなんてする訳ねーよなー。あれオリバさん、
どうしましたこんな所まで。おお、いーですなーいただきますよ紹興酒。酒で
も呑まないとやってられないっすよねマジで。あー日本に帰りてー。
ほんっと帰りてー。
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