
2004年20号
【ウソバレ的・前回まで】
中国連合軍VS日米連合軍第一試合。オリバは龍書文を相手に首尾よく先制したものの、龍の猛反撃を受けて逆に土俵際に追い込まれた。アンチェインの称号をかけた激闘に、オリバは……!?
日米軍はたまらずタイムアウトを要求した。レフェリーの鎖から解き放たれ
てベンチに戻ってきたオリバを交えて、緊急ミーティングが始まった。
よもやの劣勢にがっくりと肩を落とすオリバを、寂は優しく慰めた。
「あんな雑魚相手にザマねーな、おい」
「どーもゴメンナサイ」
「おまけに鎖分銅にも成す術なし。お前全然アンチェインじゃないのな」
「どーもゴメンナサイ」
オリバは素直に謝った。実際に胸のワッペンは残り一枚なのだから、反論の
材料など何一つない。
「で、どーすんのよ? もし負けたらハムにして豚に食わせちゃうよ?」
刃牙の力強い励ましに笑顔で応えて、オリバは胸をドンと叩いた。
「大丈夫、私にいい考えがある。任せておきなさい」
オリバはレフェリーの控え室に乗り込んだ。畳の上で熱い茶をすするレフェ
リーの正面にあぐらをかき、単刀直入に切り出した。
「私と結婚してくれ」
「なに?」
レフェリーの目がキラリと光った。レフェリーは男である。
「あなたのレフェリーとしての腕前に、私は惚れた。だから私と結婚してくれ」
「そういう訳にもいかんだろう」
予想通りの返事がかえってきた。オリバは内心ほくそ笑みつつも、怒りの形
相でレフェリーに食ってかかった。
「それがイヤなら、私のワッペンを三枚に戻したまえ! さあどうする!」
レフェリーはオリバの恫喝には答えず、湯呑みを置いて懐に手をやった。
「それはそうと、龍くんからこんなものを預かっている」
懐からビデオテープを取り出して、ビデオデッキにセットして再生ボタンを
押した。テレビに映ったヨボヨボの老人が、カメラに向かって一礼した。
「こんばんは、スペックです」
スペックは頭を上げて、咳払いをはさんで話を続けた。
「本日は特別ゲストをお招きしております。お入りください」
画面の右手から、これまた年季の入った老人が歩いてきた。オリバの父親だ。
スペックは老人を抱きしめて、厳かに言った。
「ワタクシ、この老人と結婚することになりました。な」
老人は頬を染めてコクリとうなずいた。
「そういう訳だからオリバ君、今日から私は君の母親だ! さあ、私のことを
マミーと呼んでおくれ!」
「呼べるかー!」
オリバはブラウン管を叩き壊した。テレビから腕を引き抜いて、狂ったよう
にレフェリーに襲いかかった!
「貴様もグルか! 死ね!」
「むん!」
レフェリーの右手から一条の鎖がたばしった。渦を描いて飛んでくる漆黒の
鎖を、オリバは体をひねって回避した。
「同じ手が二度も通用するか! バカめ!」
「ぬん!」
レフェリーは天井から伸びたヒモを引っ張った。オリバの頭上から自由の女
神が落ちてきた。
「すっげー直撃したー!」
オリバは女神の下敷きになった。レフェリーの手がオリバの胸元に伸びて、
最後のワッペンをむしり取った!
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