
2004年02+03号
第193話
【前回まで】
100年に1度開催される中国最大の武術大会・大擂台賽。毒手の使い手・李 海王を倒し、毒を克服する。試合後、痩せ衰えたバキに烈が差し出したのは15キロにも達する、砂糖水であった。飲み干したバキの体からは………!?
ぽこん、ぽこんと刃牙の体が膨らんで、あっという間に元通りになりました。
どうもありがとうとお礼を言って、刃牙と梢江は仲良く日本に帰りました。
烈海王の用意した砂糖水は、もう一壷残っています。せっかく作った砂糖水
を誰かに飲んでもらいたくて、烈は会場内を壷を持って歩き回りました。
闘技場にやって来ました。折しも目の前では、楊海王と毛海王が激闘中です。
「お前らの出番じゃねっつってんだよ」という審判の制止もきかず、二人とも
一生懸命手足を振り回しています。
烈はピーンとひらめきました。そうだ、試合で疲れたこの二人に、砂糖水を
飲んでもらいまショー!
嬉しそうに駆け出して、美しい闘いの汗を流す二人の前に壷を差し出して、
「楊さん毛さん、この砂糖水を飲んで、ますます元気になって下さいな」
と言いました。楊海王がちょっと考えて、申し訳なさそうに
「悪いんだけど烈くん、ボクは甘いものが苦手なんだよね」
と答えたすぐ横で、毛海王がウンウンと頷いて
「そうだよ烈くん、ボクはもっとお腹の足しになるものが食べたいな」
と、お腹をさすって烈に催促しました。
烈は床に壷を置いて、もと来た入場口に走っていきました。怒ったのかなと
思いきや、すぐに別の壷を抱えて戻ってきました。壷の中には、出来立てホヤ
ホヤのチャーシューメンが山盛りです。壷は二つになりました。
「楊さん毛さん、このチャーシューメンを食べて下さいな。食後に砂糖水を飲
めば、闘いの疲れなんかいっぺんに吹っ飛ぶよ!」
目を輝かして壷を突きつける烈ですが、楊と毛はまだちょっとだけ不満です。
「烈くん、チャーシューメンはいいとして、冷たい砂糖水は体に毒だよ。もっ
と温かいものが飲みたいな」
「そうだよ烈くん。今は冬なんだから、ビールより熱燗の方が嬉しいなぁ」
烈は嫌な顔一つせず、またまた通路の奥に消えました。新しい壷を持ってき
て、二つの壷の隣にドカンと置きました。壷の中身は、赤々と燃えた石炭です。
壷は三つになりました。
「楊さん毛さん、この石炭で砂糖水を温めて下さいな。体もポカポカ、力もモ
リモリ。大擂台賽優勝、間違いないよ!」
烈の勧めには応えずに、この時楊海王がポンと手を叩いて
「それより烈くん、これで壷が三つになったよ。ボクと毛くんと烈くんで一壷
ずつ分ければいいと思わないかい?」
と言いました。楊の画期的なアイデアに、毛も大きく頷いて、
「そうだよ烈くん。ボクも楊くんも烈くんも元気になって、三人仲良く大擂台
賽で優勝しようよ!」
「それはいい考えだね! 楊さん毛さん、ボクのことまでちゃんと考えてくれ
て、本当にどうもありがとう!」
感謝感激の烈に微笑みかけて、毛はチャーシューメンの壷を取りました。楊
は砂糖水の壷を石炭にかざして温めて、烈は残った石炭の壷を手に持ちました。
「カンパーイ!」
ゴクゴクゴクと喉を鳴らして、三人は一気に壷の中身を飲み干しました。
「こはぁー!!」
烈が苦悶の叫びをあげた! 熱い! 俺の体が、燃えるように熱い!
これは一体? 烈の身に、一体何が!?
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