第6章「黒き剣」
栄光を賭けた闘い(仮
The fight to have risked glory
第6章「黒き刃」
―テルトを後に、彼等はまた、道を歩く…はずだったのだが…。
「ここから城下町は近かったはずなんだけど…。」
「そりゃ、こんなに魔物がいちゃぁねぇ…。」
―ファル達は魔物に囲まれていた。
「僕は比較的強そうな奴から倒してく。君は、弱そうな奴から倒してって。いい?」
「了解了解、ところで…何処で落ち合うの?」
「…全滅した次第そっちに行く!それじゃ!」
―そう言うと、ファルは剣を構え、魔物の群れに突っ込んで行った。そこに取り残されたスレイルは…
「さて…私はどうしようかしら?」
「ガゥ…!」
「おっとと…危ないじゃない!」
―早速、一匹の狼が飛びかかってきた。その牙を軽々と避け、射落とした。
「…こう言う事は好きじゃないけど」
「ガァッ!?」
―そう呟くと、大きな熊のような魔物を斬り裂いた。魔物は、脳天から真っ二つに斬り落とされた。
「キィッ!?」
「おまけ付き…か。さて…君達の相手にも少し…少しだけ疲れて来たから…。クロスカッター!!」
―そう言うと、腰の鞄から二つの折り畳み式ダガーを取り出すと、ブーメランのように両方とも投げた。
孤を描いて飛ぶダガーは魔物を次々と斬り裂いて行った。
「さて、結構数が減ってきたから…頑張ろうか。」
―一方。
「…。」
―崖の上から見る青年がいた。ファル達は戦いの最中だった為、彼には気付かなかった。
「…仕事…か」
―そう言うと、青年は崖を駆け降りた。魔物の群れの方向へと…。
「うっ!」
「グルゥ…。」
「く…参ったなぁこんなに囲まれちゃ、やられるのがオチだよ…。」
「グアァっ!!」
「うわっ、飛びかかってきた…でも、やらなくちゃ!」
―すると、ファルの視界に黒い影が飛びこんできた。
一瞬、鳥かと思ったが、影の形が違うのだ。それを人だと認識した時には、魔物は倒れていた。
「…。」
「!?…君は…。」
「…何よそ見している。お前の背後の魔物は…爪を降ろそうとしていた。」
「…ありがとう。」
「…馴れ合うのは好きではない。…行くぞ。」
―そう言うと、魔物の群れに飛びこもうとした。
「えっ!?あ、ちょっと…。」
「…何をしている。急げ。」
「いや…ちょっと、君の名前も聞いといた方が良いかな、って。」
「…ソラ。ソラ=カナタだ。」
「ソラか。僕はファル。ファル=スターダスト。これから宜しく。」
「…それより、まずは前の魔物を倒さなくては…。」
「了解、じゃ、行きますか!」
―そう言うと、スレイルの援護へ向かった。
「僕の仲間…スレイルもそう簡単には死なないはずだけど?」
「…そのスレイルは何処にいるんだ?」
「…あそこだっ!」
―ファルが指を差すところには魔物が寄って集っていた。
「…分かりやすい動きだな」
「まぁね…って早く助けなくちゃ!」
「…分かった。」
「少しは片付いてきたけど…やっぱりまだ数はあるわね…。」
―そう呟きながらも、一体一体、確実に仕留めて行った。その時だった。
「スレイル、助けに来たよ!」
「ファー君!あれ、そのお隣の黒い鎧の人は…」
「…積もる話は後だ」
「わかった!」
―ファルが答えると、武器を取り出し、魔物と睨み合った。
「はっ…」
「ソラ…?」
「あれを見て!」
―ソラがレイピアで素振りをした様に見えたが、スレイルの指差す方向では、大分時差が会ったが、魔物が倒れていた。
「…今、何をしたんだい?」
「…軽く“かまいたち”を放って見た…。」
「そこまで威力がある物なの?」
「…使い手によってだと思うのだが…ここまで威力が出るとは…」
―そう言いながら武器を握りなおすと、一斉に飛び掛った。
「ったく…一体ずつ相手にしてやりたいけど…仕方ないから…吹っ飛べっ!!」
―そう言うと剣を思いっきり振って、ファルに寄っていた魔物は遠くへ吹き飛ばされた。時間稼ぎの為なのだろう。
「さて、この位ならどうにかなるかな…。」
―そう言うと、剣を構えて、睨み合っていた。
「…来い。」
―そう言うと、ソラはレイピアを構えた。
「やるね、アンタ達。」
「え…魔物が…喋った?」
―ファルは唖然とした顔でその魔物を見た。
「喋れるんだよ!喋れる魔物がいて何が悪い!(怒」
―するとその魔物はキレた。よほど気に障ったのだろう。顔を真っ赤にして怒っている。
「…」
「…緊張感無いわね。(呆」
―彼等が目の前にする光景は、一人のエルフと、一体の魔物が口喧嘩している、何ともシュールな光景だった。
「…早く始めるぞ」
「そろそろ良いか。俺の名はゾルド。冥土の土産に言っておいてやる!」
―そう言うと、魔物…ゾルドは、槍を持つと、目付きを変えた。
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