第5章「戦いの灯火」
栄光を賭けた闘い(仮
The fight to have risked glory
第5章「戦いの灯火」
―二人は、燃え盛る村…テルトに入って、山賊達と攻防を繰り返していた。
「先を急いでいるんで、ごめん…。」
「ぐぁっ!?」
―ファルは敵をなぎ倒しながら奥へ奥へと進んでいった。
「ここで行き止まりか…」
「小僧一人でここまで来れるとは、俺達カロト山賊団もなめられた物だな。」
「…あなたがこの村を焼き払った…即ち山賊の長ですね?」
「…確かに。俺はカロト山賊団のボス…「カロト=デリファース」だ。」
「山賊はあらかた倒しましたが…。最後はあなた次第ですよ。直ぐに村から立ち去ってくれるだけで良いのです。」
「俺はボスなんだぞ?一般の田舎者に指図される筋合いなど無い!!」
「やはり…やるつもりですか。なら…」
「お前もやるのか?」
―お互いに武器を構える。ファルの手には「テラインセフィル」があり、カロトの手には鋼鉄製の斧が。
「…剣は軽くて斧は重い…なら。」
「何をするつもりだ?」
(この近くになにか相手の攻撃に邪魔になりそうな所…。無かったかな?)
―そう思い、走りながら障害物を探す。
「おい、待ちやがれ!」
「無理だね。君と僕は敵同士。…違うかい?」
「ただ…お前は一つのミスをした。」
「それは何だい?」
「お前の逃げ道は…もう消えた。」
「そんなのは、初めから予測していたさ。だから…もう君も逃げられない。」
「何だと?」
―そう言うと、ファルは剣を思いきり振った。標的は…燃える家の柱。
「くそ…俺もはめられたのか?」
「これで、僕と君だけの戦いが出来る。でも…」
「でも…何だ?」
「間接攻撃は君にしか当たらないんだよ!」
―すると、カロトは前に進もうとするが…逃げられない。目の前にはファルが、背後には炎がある。その頃…。
「さて…と。」
「ありがとう。これは…僕からの感謝の気持ち。」
「どう致しまして。」
「じゃ、村が復旧したらまた来てね。」
「分かったわ。また…ね。」
―スレイルは子供から2000フェスを貰い、奥へと急いだ。話をファルに返すと…。
「…ビンゴ。」
「馬鹿な…攻撃が当たらないなんて…。」
「でも…流石、山賊の長。防御が固いなぁ…。」
「しかし、斧がさっきから当たらないとは…」
―その時の事だった。ビュン、と何かがカロトの肩の横を通って行った。
「これが僕の仲間…スレイルの実力さ。」
「スレイル…だと?」
「スレイル=ウィングビレッジ。ウィングビレッジ村長の娘。…知っているかい?」
「小娘と小僧が…この俺を…。」
「…ここで降伏してくれると言うのなら、君の命は助けよう。しなかったら…」
―ガキィン!と金属が激しくぶつかり合う音がした。ファルはカロトの斧を予知していた様に剣を構えていたのだ。
「言っても無駄か…。君には悪く思っているけど…。」
「任せておいて。」
「やっぱり君は…馬鹿だよ。僕は…もう決めたんだから。」
「良くて軽い記憶喪失、悪くて致命傷って所かしら?」
「君も、まだ死にたくは無いでしょう。でも…僕に攻撃をした時点で僕の腹はくくった!」
「なっ…」
「君には…少し眠ってもらう!!」
―ファルは言った時には、カロトの背中の皮を軽く引き裂いていた。
「ぐわぁあつッ…!」
「僕も…こんな事はしたくなかった…。」
「ファー君、なかなかやるじゃない!」
―カロトは、その場に崩れる様に倒れたと同時に、山賊団は慌てて村から逃げ出して行った。
「…終わった…。」
「えぇ…。」
―燃える盛る村での最後の一言だった。
/次の日/
「ありがとうございます。」
「いやいや、礼を言うのはこちらの方だ。村を救ってくれてありがたく思っているよ。」
「それでは、私達は旅を続けます。時間があったら、また来ます。」
―ファル達は別れの言葉を告げた。
「それより…。あなた達はこれからどこへ?」
―村人の一言で、ファル達は、村長に聞いてみた。
「ん〜…僕等は地図と言っても、ここ周辺のしか持っていなくって…。」
「村長さん、ここから東向きで、一番近い集落はありますか?」
「だったら…この世界地図を持っていくと良いだろう。それに…ここだ。」
「えーと…城下町“セドク”ですか?」
「ここからは結構近いわね。行ってみましょ!」
―そして、今度こそが別れの時だった。
「それでは、またお会いしましょう。」
「さようなら!」
「気を付けてな!」
―光差す方向へ、二人の旅人は1歩ずつ、確実に歩み始めていた。
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