第7章「魔の槍」 栄光を賭けた闘い(仮
The fight to have risked glory

第7章「魔の槍」

―全員、睨み合ったままで動かなかった。

「…。」
「…来な。」

―ゾルドの挑発に乗る事もなく、全員固まったまま動こうとしない。

「…誰も乗らないか。なら、こちらから行かせてもらうぞ!」
「…来た…!」
「…構えろ…!」

―そう言うと、全員武器を構え、応戦の体勢を取っていた。

「ほう…意外とやるじゃないの!!」
「…貴様に誉められても嬉しくは無い…。」
「僕等は一体…どうすれば…」

―そう言いかけた瞬間、コウモリのような魔物が飛びかかってきた。

「そう言う事か…。」
「ッ!?」

―そう言い放つと、コウモリを一振りで斬り捨てた。

「じゃ、こちらもやりますか!」

―そう言うと、矢筒から、数本の矢を取りだし、連射した。
真っ直ぐに飛ぶ矢は魔物を確実に射落としていった。

「さて、かなり減ったわね…。」
「うん。でもさ…第二軍が来るかもよ?」

―その頃。

「…いい加減構えたらどうだ?」
「俺は指図されるのは好きじゃないの!」
「…そうか。なら…」
「なら…どうするっつーんだ?」
「…こちらから行かせてもらう…!!」

―そう言うと、凄い気迫でゾルドに近づいた。ゾルドは急いで構えた。そして…

「…フ」
「げッ!?…や、槍が…」
「…俺の戦い方は…“武器を使わせぬ状況に置く”事から始まり…」

―そう、ソラは槍を蹴飛ばしたのだ。そして一気に押し倒し、今、足でゾルドを抑え付けている状況なのである。

「そして、第二の作戦は“確実に片す”までしかない。」
「!!」
「…終わりだ」
「っ!」

―そう言うと、レイピアを下に落とした。

「…まだまだ甘いようだなぁ…。魔物は不老不死なんだよっ!!」

―そう言うとソラを吹き飛ばそうとした。だが…。

「なら…本体を叩くまでだ。」
「何?」
「これだろ?」
「そっ…それはっ…!?」
「お前の闇水晶だ。生命力…能力…意識等…全てがこれに詰まっている…。第一、上等な魔物にしか闇水晶は付いていないがな。」
「それを…どうする気なんだ…?」
「…破壊するほかに無いのは熟知の上だろう?
「言ってくれるな…」
「…そして、お前の進む道で、その先に存在する物は…」

―そう言うと、ソラはその水晶を真上に放り投げて、突き刺した。

「…死だ
「くそッ…俺は…まダっ…やリタいこトガ…アルノニッ…くっそおおぉぉぉぉっ!!
「…悲しい結末だったな。」

―ゾルドは、ゆっくりと消えて行った。死んだのか、どこかに行ったのかは分からないが。

「終わったんだね。」
「あっけなさ過ぎじゃないかしら?」
「いや、そんな問題ではないと思うけど…」
「…早く行くぞ」

―レイピアをしまうと、ソラは踵を返して歩き始めた。

「ちょっと、何処に向かう気よ?」
「…仕事が終わった。セドクの酒場へ伝えに行く。」
「僕らもセドクへ向かっているんだ。一緒に着いて行かせてくれない?」
「…来たければ来い。」

―ソラは答えると、歩調を早めて進む。

「どうしたの?」
「…急げばセドクには日が暮れる前に着く。お前等は宿を探して来い。俺は酒場に行かなくてはならないのでな。」
「分かった。じゃ、城下町に着いたら別れようか。」

―そう言っている間に、町に着いてしまった。

−城下町 セドク−

「…着いたぞ」
「やれやれ…ギリギリだったね。」
「私はくたくたよ…」
「…それでは…な」

―ソラは、仕事の終了を伝えに酒場へ、ファル達も宿を探しに、夜の街の闇に消えていった。



←BACK/NEXT→
別の作者の小説を読む別の小説を読む別の章を読む