第4章「燃え盛る村での戦い」 栄光を賭けた闘い(仮
The fight to have risked glory

第4章「燃え盛る村での戦い」

―二人は、燃え盛る村…テルトに入った。もう家は焼け、道具屋は無事の様だが…火が移るのも時間の問題だろう。

「せめて…ここだけは守らないと!」
「そうね…。」
「大丈夫ですか?」
「えぇ、どうもありがとう。お礼にこれを…」
「これは…?」
「傷薬です。あなた方に一本ずつお渡しします。どうか…この村を救ってください。」
「分かりました。絶対にこの村をお守りします。」
「ただし…」
「ただし?」
「ここを燃やしている奴は、山賊です。数は少ないですが、強めの敵が居ます。気をつけてください。」
「敵の事を教えてくれてありがとうございます。早く、お逃げ下さい。」
「…頑張ってください。」

―すると、道具屋の店員は門のほうへ消えていった。

「さて…どうしようか。」
「山賊を潰すのが先か、村人を助ける方が先か…どっちも優先順位が高いわね。」
「…分かった。」
「何が分かったのよ?」
「僕は山賊を潰しに行く。君は村人を助けつつ、僕を追ってきてよ。」
「えー!ファー君と一緒じゃないと…」
「ごめん、こればかりは君一人でやってもらいたいんだ。」
「…分かったわよ。…ただ1つ言っておきたい事があるの。」
「何だい?」
「危なくなったらそっちに行くから、覚悟しててね。」
「はいはい、何時もそのつもりですから。」

―そう言うと、二人は握手を交わした後、それぞれの方向へと走り出した。

「さてと…山賊さんはどこかなぁ…。」
「まだ生き残りが居たか!」
「って…そんな近くに居たのか…。」

―すると、ファルは仕方なく腰の柄からロングソードを取り出した。

「ほう、やる気か…今なら命は助けてやっても良いぜ?」
「…気持ちはありがたいんだけど…やっぱり君は山賊だし。それに…」
「それに…何だ?」
「村を焼いた奴等に命を助けてもらう筋合いなんか無い!」

―ファルは剣を向けた。お互いに睨み合う。

「…来いよ。」
「嫌だね。僕は、君には指図されたくないしね。」
「そうか。なら、こっちからやらせてもらうぜ!」
「手斧かっ!」

―山賊の一員が斧を投げる。その斧はしっかりとファルを逃がそうとはしない。

「…。」
「お前の負けだな。」
(何かあったはず。剣じゃ持ちそうに無い…。)
「諦めの印か?残念だったな。お前の一生はここで閉じるんだぜ?」

―ガキィンっ!!

「なんだとっ…!!」
「持って来といて良かった…。」

―ファルはダガーをくるくると回しながら言う。そしてカバーをかけ、鞄の中に戻した。

「お…オレの手斧が…。」
「こう言う物は…頂いておくよ。」
「…くっそおぉぉぉ!!」

―怒った山賊は斧をファルに向けて振り下ろす。しかしそれも空を斬る。

「…ごめん」

―ズバアァッ!!

「ぐぼぉぁ…」
「…まだ、息はある。このまま安静にしておこう。」
「…な…ぜこ…の…オレを…殺…さな…い・・・?」
「ここで言っておこう。僕は父さんと約束したんだ。決して人を殺めない…とね。それじゃ。」

―ファルはもっと奥へ走る。その頃…

「誰か…居ないのかしら?」
「うぅ…ここに…居る…」
「居たっ!」
「この板を…持ち上げてくれ…早く!」
「分かったわ…。」

―ギィ、と持ち上げると痛々しい傷があった。

「なにこれ…酷い怪我…。」
「ぐ…。」

―村人は起き上がろうとしていた。

「!ダメ、まだ起き上がっちゃ!」
「俺の事は良い…早く他の人を…」
「あなたにこれを渡しておくわ。」
「傷薬か…。すまんな。」
「礼はいいわよ。早く逃げて!山賊はまだ居る。さぁ!」
「…分かった。ありがとう。」
「どういたしまして。」

―早く遠くへ…と願いながら他の人の手当てに行こうとした時だった。

「まだ、誰か居ないかしら?」

―バタンッ!

「きゃ…!」

―これから向かおうとしていた道に炎を上げる木が倒れてきた。これでは進めない。

「仕方ないわね…周りこみましょう…。」

―スレイルはその場から急いで立ち去った。早く人を救いたいと願い…。

(山賊の長の下へ…!)
(助けられる村人の下へ…!)

―炎を上げる村。その村の中で、決戦が起きようとしていた。



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