第2章「旅の始まり」 栄光を賭けた闘い(仮
The fight to have risked glory

第2章「旅の始まり」

―今日もファルはいつも通りの時間帯に起きた。

「さてと…。」

―いつも通りの服装に着替え、朝食も食べた後、村の門の近くまで行った。

「しばらくこの村を離れる事になるね…。それじゃ行こう…」
「私を置いて行くつもり?」
「げ…スレイル…。」
「“げ…”とは何ですってぇ…?」
「そのまんまの意味さ。で、君はここに残っている方が良い。」
「えぇ!?何でよ?」
「僕が行くのは、世界を賭けた旅。君を各地の観光気分で連れていく訳には行かない。」
「それでも、私は行くと決めたんだから。それに…」
「それに?」
「後方支援役がいないとね?」
「う…」

―ファルは言い返す事が出来なかった。流石に一人で行くのも辛い戦いになりそうだったのだ。

「わかったよ、無理矢理止めても来るんでしょ?」
「もちろん。」
「もう好きにしてよ。来ても良いし、来なくても良い。」
「やったぁ!」
「ただ、世界救済の旅だから、気を引き締めていこうね。」
「うん。」

―村を出ようとした時に、村長とファルの両親…ラーレルとリィセスが来ていた。そして…。

「あ、父さんと母さん。」
「ほら、ファル、忘れ物だ。」
「っ!?これって父さんの…。」
「お前は剣士として間違った方向には進まない。だから、これをやる。」
「でも…!!」
「いいんだ。精一杯戦って来い。」
「…ありがとう。」
「?あぁ、どういたしまして。」

―ファルは父の扱っていた剣…「テラインセフィル」を手にした。軽いが、頑丈に見える。

「スレイル、行って来い。せいぜい、ファル君の迷惑にならない程度にな。」
「酷いわね…はたからそのつもりよ。」
「後は、これだ。旅先での資金だ。…大切に使えよ。」
「うん!」

―スレイルは、旅先での通貨を手にし、村から出ようとする。

「それでは、行って来ます。」
「頑張って来いよ。」
「父さんだって村の自衛団として頑張ってね。」
「あぁ、それじゃ…」
「今度こそ、行って来い!」
「行ってらっしゃい…ファル。」
「また会いましょう、母さん、村長さん。」
「それではな。スレイルをよろしく頼みますぞ。」
「はい。分かっております。」
「ファー君、そろそろ行きましょう。」
「そうだね、世界救済の旅へ…それではまた。」

―お互いに噛合っていた闇の歯車と光の歯車は回り出した。もう誰にも止められないかのように…。



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