"ドラマ演出"日誌(2001年7-9月期)

01/07/02  ちゅらさん(第14週)(79)

演出:榎戸崇泰(第1週)(2)(7)(11)、遠藤理史(3)(4)(8)(12)、大友啓史(5)(6)(9)(14)、
   高橋錬(10)(13)、藤井靖(11)

この7月2日(月)放送のラストシーンを見て、ゾクゾクしませんでしたか? スーパーボールを見つける佐藤藍子にも、これまでにない温かみのあるニュアンスが感じられたし、そのスーパーボールを太陽にかざしている小西真奈美のショットにも、妙に新鮮な感動を覚えました。

一番すごかったのは、ラストシーンのBGMでしょうか。たぶん、このドラマ初登場の音楽だと思うのですが、ドラマに感動しているのか、音楽に感動しているのか、よくわからなくなっちゃいました。……個人的には「ちゅらさん」名場面ベスト5に入るシーンでした。(^^ゞ この日は、前半のギャグのシーンも面白かったのですが、大友啓史さんの自己主張みたいなものを強く感じます。(^^ゞ


01/07/03  HDDレコーダー購入レポ

先月末に、ビクターから出ているハードディスクレコーダーを、清水の舞台から飛び降りるような気分で買ってしまいました。ドラマとも演出とも関係ない話ですが、ヘビーなドラマウォッチャーなら興味深い話題だと思いますし、このサイトの読者の方々でHDDレコーダーの購入を検討されている人も何人かいると予想されるので、この場を借りて(?)レポートすることにします。(^^ゞ

ただし、書いてみたら、ものすごい分量になってしまったので、別ページに独立させることにします。こんなことにエネルギーを使ってるヒマがあったら、早く「マツジュン金田一SP」の日誌を書け――と叱られそうですが、連ドラまで、まだ2週間くらいあるので、なんとかなりますよ、きっと……。(笑) 最悪じゃん、こういう性格! カードとかで自己破産するタイプ? (*_*;

HDDレコーダー《購入・使用》体験レポート


01/07/03  ウソコイ(1)

脚本:高橋ナツコ、他
演出:水谷俊之(1)(2)、片岡K(3)(4)、横塚慎一(5)(6)(11)、池添博(7)(10)
プロデュース:安藤和久(関テレ)、佐藤直樹(大映)、有重陽一(大映)
助監督:宮村俊正
企画:植村泰之
企画協力:鴻上尚史
制作:関西テレビ、大映株式会社
関東放送枠:フジ・火曜10時

(データのみ。レビューはパスします)


01/07/04  ファイティングガール(1)

脚本:神山由美子
演出:木下高男(1)(2)(4)(6)、松田秀知(3)(5)
プロデュース:中山和記
音楽:中西俊博
撮影:木村祐一郎
主題歌:Time Fellow Ship 「seed」
演出補:小山田雅和
スケジュール:徳市敏之
プロデューサー補:森憲一(フジ)、柳沢典子
制作:フジテレビ、共同テレビ
関東放送枠:フジ・水曜9時

 木下演出が冴えまくる――完璧なドラマ

このドラマを一言でまとめるなら、欠点がない完璧なドラマ――という感じがします。まあ、欠点がないのが欠点と揶揄できなくもないのですが、そのクオリティはメチャメチャ高いです。「お見合い結婚」以降、木下高男さんの演出は冴えまくっています。いったい木下さんに何が起こっているのでしょうか?

とにかく、何から書いたら良いのか、わからなくなりそうなんで、とりあえず、思いつくだけ羅列してみます。

 脚本やキャラクターもバッチリ

【1】 民放の連ドラに久々に登板した神山由美子さんの脚本がスゴイです。「天うらら」と「深く潜れ」を強引に融合させたような作風とコンセプトに頭がクラクラします。日本人論や、世代間の価値観の違いを、コミカルなエピソードにまとめている手腕にも、非凡なセンスを感じます。

【2】 深田恭子やユンソナのキャラ設定がユニークで魅力的。特に2人がケンカしているシーンに強い吸引力を感じました。

【3】 脇役にもおいしい人たちが揃っていて、特に天海祐希は何かをしでかしそうなキャラクターなので気になります。萩原健一は、昨年放映された橋田壽賀子の単発ドラマ「父さん」(演出は木下さん)つながりで安定感があるし、坂口憲二の父親役で泉谷しげるを起用するセンスも渋いです。久世光彦さんのホームドラマにも通じるセンスです。

【4】 平山綾・坂口憲二・安居剣一郎といった若手も魅力的です。特に、このドラマの平山綾には、一皮向けたような魅力と色気を感じます。安居剣一郎という人は初めて見る名前ですが、深田恭子・平山綾と同じホリプロ所属なんでしょうか? この人も良い感じです。あと、深田恭子の暴力に脅える塚本高史も、最近の出演ドラマでは一番良い味が出ていたんじゃないでしょうか。「音無可憐」の頃を思い出します。(^^)

 映像が生み出すドラマ内世界の完成度

【5】 ロケーションとスタジオセットに統一感があって、クオリティの高い世界像を構築しています。何気なく挿入される、京浜急行が見える街並みなども、ドラマ内世界のイメージを印象づけるための、ていねいな演出です。電車内のシーンが多かったのも、ドラマ内世界に生活感を加味する意味で効果的でした。

【6】 木村祐一郎さんのカメラワークもスキがないくらいの完成度。深田恭子や平山綾の表情もヴィヴィッドに捕らえられていたし、カメラワークやカメラ位置も的確でした。そのまま、アイドルビデオで通用するくらいのクオリティだったと思います。また、自宅シーンにおける、ローアングル/ローポジションも、親密感があって良かったです。

【7】 カット割り〜カット編集のクオリティも高かったです。たとえば、万引を追っかけているシーンは、各カットが切り替わると同時に、効果音やBGMも一緒に切り替わっていて、芸が細かかったです。もちろんこれは、あくまでも一例であって、他のシーンでもアイデアがぎっしり詰まっていました。

 ストリート感覚とテクノ感覚

【8】 ドラマ全体の映像に、ホコリっぽい質感がありましたが、そこに下町テイストとアジアンテイストの接点を感じたりします。また、そこに、手持ち撮影風のアクティブなカメラワークを組み合わせることによって、下町〜アジア的なストリート感覚を生み出すことに成功しています。

【9】 音楽は「お見合い結婚」のときと同じ中西俊博さん。今回はテクノ〜ドラムンベース風の作風で、オフィスクレッシェンド的なセンスの良さを感じます。しかも、タイトルバックや、CM入りのときに挿入されるアイキャッチの絵柄も、テクノ的なデザインセンスで統一されています。

――他にも、書き忘れたことが2〜3つありそうですが、このドラマの並外れた完成度であることは、わかっていただけるでしょうか。とにかく、細部に渡って徹底した演出が施されているドラマだと思います。

しかし、ひとつだけ大きな欠点があるのを、今、思い出しました。(^^ゞ それは、深田恭子の格闘シーンに迫力がないこと。カット編集でフォローしようという意図は感じられましたが、いまひとつだったと思います。(^^;;


01/07/04  マリア(1)

脚本:橋本裕志、鈴木勝秀
演出:星田良子(1)(2)(3)(5)(8)(10)、高橋伸之(4)(7)(9)
プロデュース:船津浩一
演出補:森永恭朗
スケジュール:桐ヶ谷嘉久
プロデュース補:森安彩
撮影:川田正幸、白井哲矢
制作:共同テレビ、TBS
関東放送枠:TBS・水曜10時

オープニングは「青い鳥」とか「白線流し」みたいな叙情派風だったのに、浅野温子や岡江久美子が出てきたら、途端にドタバタ風の人情コメディになっちゃいました。しかも、問題なのは、コメディ部分の演出がイマイチだということです。星田さんが過去に演出した作品に、この手のコメディはなかったような気がしますが、それが鬼門だったんでしょうか。面白くも何ともありません。なによりも、シリアス〜叙情派的な部分と、ドタバタ〜人情劇的な部分の、整合性が取れていないような気がしました。

後藤真希は、水川あさみ風の声質を含めて、非常に存在感があるので、上手い具合に軌道修正してほしいものです。お隣さんの東幹久も、嫌み系のキャラにしないで、「お金がない」の頃みたいな爽やかキャラで行ってくれた方が、楽しめるような気がします。第1話の時点では、脚本も演出もチグハグな印象しか受けませんでした。


01/07/04  ビューティー7(1)

脚本:吉田智子、西本洋子(7)
演出:小川通仁(1)(2)(5)(8)、大谷太郎(3)(4)(6)(10)(11)、倉田貴也(7)、北川敬一(9)
プロデュース:池田健司、井上由紀
音楽プロデュース:佐藤竹善、SLT project 「魔力」シングライクトーキング
助監督:山口祐司
スケジュール:北川敬一
(演出補:仁同正明)
AP:村瀬健、畝田光記、梅田玲子
関東放送枠:日テレ・水曜10時

(データのみ。レビューはパスします)


01/07/06  ネバーランド(1)

原作:恩田陸
脚本:砂本量
演出:森田光則(1)(2)、倉貫健二郎(3)、高野英治、田沢幸治
プロデュース:森田光則
音楽:中村幸代
演出補:加藤章一
プロデューサー補:松田礼人
制作:木下プロダクション、TBS
関東放送枠:TBS・金曜9時

 フレーフレー木下プロ!

このドラマは、期待して良いんだか悪いんだか、さっぱりわからないドラマでした。(笑) 原作は「六番目の小夜子」でおなじみの恩田陸さんですが、ドラマ版「六番目の小夜子」を面白くした要因の一つは恩田さんの原作にあったと思います。この「ネバーランド」も学園を舞台にした屈折系青春ミステリーらしいので、今回のドラマにも期待が高まるわけです。

ところが……、制作が木下プロと知った時点で雲行きが違ってきます。木下プロの近年の青春〜アイドル物といえば、「ビッグウイング」とか「ベストフレンド」など、イマイチなものが多かったからです。「変(HEN)」とか「イタズラなKISS」といった佳作もなくはないのですが、どちらもラブコメで、「ネバーランド」の雰囲気とは違います。「ベストフレンド」は屈折系青春ドラマでしたが、爆チュー問題の寸劇みたいなチープなセットに、落胆したものです。この日誌でも厳しいことを書きました。

そんな事情もあったので、あのときの悪夢が再現しなければいいな――というのが、見る前の気持ちでした。しかし、「演出が土井裕泰さんだったら……」などと贅沢を言わなければ、かなり健闘していたと思います。鎌倉〜逗子〜葉山あたりを中心にしたロケーションにも力が入っているし、スタジオセットの仕上がりも、「ビッグウイング」や「ベストフレンド」とは大違い。なかなか風情があります。密室劇的なドラマの内容からしたら、海よりも山(軽井沢とか)の方が合っているような気もしますが、それは大きな問題じゃないでしょう。

 ダイアローグ編集は緻密

ボクがこのドラマを見るにあたって、注目していた演出ポイントは2つあります。ひとつは映像面の演出で、ドラマ内だけに存在する詩的な虚構世界をしっかりと構築できるかどうかですが、これに関してはすでに書いたように、なんとかクリアできていると思います。「六番目の小夜子」のように、映像から絵心を感じることはあまりありませんでしたが、雰囲気自体は悪くなかったです。

今井翼と三宅健が買い出しに出たときの、海に面した駅のロケーションは江ノ島電鉄みたいですが、テレ朝の深夜ドラマ「クロイツェル・ソナタ」(99/12/10放送、演出:久野昌宏)にも、まったく同じ駅が出てきました。ロケ地マニアの視点から見れば、やや安直な選択かもしれませんが、とりあえずはポイントが高いです。

2番目のポイントは、会話シーンのカット割り、いわゆる“ダイアローグ編集”が緻密に組み立てられているかどうかです。このドラマは心理劇だし、セリフに現れない行間のニュアンスをきちんと描けるかどうかで、ドラマ全体の印象がガラリと変わってしまいます。しかし、この点に関しても、なかなかていねいなカット割りになっていたと思います。ダイアローグ編集に限っていうなら、「六番目の小夜子」よりもよくできていたと思います。夕食時に生田斗真が押しかけてきて喧嘩になるシーンとか、三宅健と高島礼子のシーンとか……、望遠系のアップを挿入するタイミングなどに緊張感があって良かったです。

こういうお芝居の演出に関しては、森田光則さんの長い経験がモノをいったのでしょう。手堅い印象を受けます。余談ですが、「プロデューサー 森田光則」で始まって「演出 森田光則」で終わるタイトルロールは、いつものことながら、やはり威圧感があります。(^^ゞ

 ウルトラシリーズの伝統が復活している?

ところで、冒頭の森のシーン/吉本多香美のシーンを見て、「ウルトラマン」シリーズを連想してしまったのは、ボクだけでしょうか。木下プロの飯島敏宏さんは、オリジナルのウルトラシリーズのスタッフだし、「ウルトラマンティガ」では松原信吾さんの演出作品を見たことがあります。ちなみに、ボクが見た松原演出作品は、鎌倉を舞台にした物語で、江ノ島電鉄の風景がふんだんに使われていて、今回のロケーションともダブっています。(^^ゞ

恩田陸さんの原作が、木下プロに眠っていた過去のウルトラシリーズの記憶を呼び起こした――という印象も強いです。今井翼の顔もアニメ〜特撮物っぽいし、子供向けオカルトっぽいシーンも、ウルトラシリーズという流れで見ていたので、あまり違和感を感じませんでした。広角レンズ系のアップではアニメっぽい構図になっていることが多くて、今井翼の顔の特徴とマッチしていたと思います。ただ、何の予備知識もないままで、あのオカルト風のシーンを見たら不自然に感じるかもしれません。(^^ゞ

 その他、気になったこと

原作では中盤まで伏せられているらしい主人公2人のトラウマの内容を、ドラマでは最初っから見せていました。これは「永遠の仔」のときと同じですが、連ドラの場合、早めにネタをばらしてしまった方が良いような気もします。「天国に一番近い男」みたいに引っ張られるのもツライので……。重要なのは、視聴者にだけバラしたネタを、この先上手く展開できるかどうかだと思います。

気になる点をいくつか上げておきます。まず、村上信五の演技が大味すぎて、彼が出ているシーンだけジャニーズのバラエティっぽく見えてしまいました。もうひとつ気になったのは、今井翼と三宅健の印象です。2人ともものすごく地味な感じで、これはこれで意味のある演出だとは思いますが、果たして、こんなんで視聴率は大丈夫なのかと心配になってしまいました。(^^ゞ 三宅健の表情などは、過去のドラマの印象とは違う重々しさが感じられて、それなりに新鮮なんですが……。

――いずれにしても、基本設定は合格ラインに達しているので、木下プロの若手エース倉貫健二郎さんが演出する第3話に期待しましょう。(^^ゞ できることなら、画面上にもう少しエロスとか色気が漂ってほしいですね。この第1話の時点では、山田麻衣子はただのバカ女に見えちゃうし……。(^^ゞ


01/07/06  世界で一番熱い夏(1)

脚本:都築浩、渡邊睦月
演出:福澤克雄(1)、平野俊一(2)、大岡進(3)、吉田秋生
プロデュース:山田康裕
音楽:吉俣良
主題歌:COLOR「翼がなくても」(作詞・作曲:岸谷香)
演出補:加藤新
プロデュース補:三城真一、森雅之、三田真奈美
関東放送枠:TBS・金曜10時

 大映ドラマ的な物語性

今期のドラマは、個人的には、水・金・土に注目だったのですが、このドラマも目が離せない感じです。ただし、このドラマの場合、演出よりも企画・脚本の方に新鮮味を感じます。具体的な作品名は挙げられないのですが、基本的な設定が70年代の日本映画とかドラマに近いような気がします。当てずっぽうで名前を出しますが、佐々木守さんとかに、これに近い設定ってなかったですか?

で、都築浩さんの脚本ですが、バラエティ出身なのにコメディ的な要素を一切入れていない点が斬新かもしれません。現実社会に対するアイロニーみたいな要素はあっても、それを笑いに持っていかないところに強いポリシーみたいなものを感じます。第1話から感じられるのは、今の世相とかメンタリティの描写に重点をおくのではなく、大掛かりで重厚な物語を構築しようとする意志です。

また、総理大臣とホームレスという対比は、大映ドラマに顕著な大富豪と貧乏人の対比を連想させます。大映ドラマは80年代に入ってからギャグになってしまいましたが、70年代の作品は、もっと普遍的な物語性を持っていたように思います。ボクがこのドラマに70年代的なものを感じてしまうのは、大映ドラマ的な要素がギャグになる前の感覚が、復活しているように感じられるからです。ただし、ボクは昔のドラマには詳しくないので、これ以上具体的なことは書けません。m(__)m

 バラエティ関係者のドラマ進出

ところで、脚本の都築浩さんはバラエティの構成作家として有名な人ですが、最近はバラエティからドラマに参入してくる人が多いですね。バラエティ畑の人から見ると、ドラマっていうのは魅力的に見えるものなんでしょうか。たしかに、バラエティというのは、ドラマのように再放送されたりビデオ化されたりすることは少ないし、“バラエティ・アカデミー賞”なんてものも存在しません。自分の仕事を形にして残したい――なんて思うと、ドラマを作りたくなるんでしょうか。ただ、バラエティ畑の人が作ったドラマで面白かったものって、あんまりないんですよね。

ちなみに、これとは逆に、タレントさんではドラマよりもバラエティの方が好きだっていう人が少なくないみたいです。理由はよくわかりませんが、ドラマの収録現場よりも、バラエティの収録現場の方が、タレントの自由度とかライブ感が高いということなのかもしれません。ドラマの収録って、断片的な映像を台本の順番とは無関係に撮影していく作業だから、そんなに楽しいものじゃないような気がします。(^^ゞ

 ギャング映画風、それとも体育会系?

演出の話を書いていませんね。第1話の感じでは、ギャング映画っぽいニュアンスが強かったような気がします。夜のシーンで船の汽笛が鳴っているところとか、岸谷五朗と小野武彦が対決するシーンなんかは、もろにギャング映画でしょう。また、細かいところでは、リアカーに積んであった空き缶が崩れ落ちるシーンなんかも、体育会的な押しの強い演出で、福澤さんらしいなと思いました。もったいぶった演出にしないで、一気にガーッとやる感じです。(^^ゞ

福澤克雄さんは「金八先生」のときも、ギャング映画〜刑事ドラマっぽい演出をしていたのを思い出します。具体的にいうと、好太(森雄介)が屋上から飛び降りようとして失禁するシーン(正月SP)では、意味不明のヘリコプター音が鳴っていました。(^^ゞ あと、健次郎(風間俊介)が補導されるシーンが「特捜最前線」っぽいことは、日誌にも書いた記憶があります。今年の「金八SP」でも、西原幸男(入船力也)が窓ガラスにダイビングしていましたが、これらに通じる感覚が、このドラマからも感じられました。(^^ゞ ニュアンスよりも迫力を重視した演出です。

ラストに出てきたホームレスのシーンは、「よくわかんね〜」と思っているうちに終わっちゃいました。来週以降に期待します。ただし、第2〜3話は福澤さんじゃないみたいだし、秋から「金八」が始まるという噂もあるので、このドラマ自体が福澤カラーの濃厚な仕上がりになるかどうかは微妙です。ただ、このドラマの場合は、演出のトーンに温度差があった方が面白く見れるかもしれません。(^^ゞ

最後に、音楽ネタを2つほど。主題歌を作詞作曲している岸谷香というのは、岸谷五朗と結婚した奥居香のことでしょう、きっと。ちなみに、彼女がV6に提供した曲は「翼になれ」なので紛らわしいです。(^^ゞ 音楽の吉俣良は、一時期hitomiのアレンジャーなどで見かけたことのある名前です。詳しいことはわかりません。(^^)


01/07/06  生きるための情熱としての殺人(1)

脚本:林誠人、田中江里夏
演出:六車俊治(1)(2)(5)(6)、加門幾生(3)(4)
プロデューサー:大久保なみ、吉田由二
ラインプロデューサー:藤原幣吉
チーフプロデューサー:梅澤道彦
助監督:川村浩太朗
プロデューサー補:田中清孝
制作:テレビ朝日、SWEET BASIL
関東放送枠:テレ朝・金曜11時

う〜ん、これはツライです。(>_<) 個人的な好みだけで言えば、演出が六車さんだということ以外に、まったく魅力が感じられません。まず、釈由美子がダメです。特にオタク少年に意識したようなしゃべり方が気持ち悪くって、声だけでNGです。

深夜ドラマ「G-taste」のオープニングトークと主題歌も釈由美子でしたが、思い出すだけでゾゾゾッ…とします。(^_-) ボクの場合、好きではない俳優・女優ならたくさんいますが、積極的に嫌いな俳優・女優となると、ほとんどいません。釈由美子はその中の数少ない1人です。(^^ゞ

その他の出演者や、ストーリーにも、ほとんど面白味が感じられませんでした。「生きるための情熱」などというわりには、陳腐な状況設定です。生きるための情熱というよりは、単なる復讐物語という感じです。快楽殺人者の物語だったら、もうちょっと面白かったのかもしれませんが……、う〜む。(-_-;)

六車さんの演出――特にカット割りなどには意外性や緊張感があって、悪くないと思うのですが、脚本や出演者に面白味がまったく感じられないので、この1時間は長かったです。電車内のシーンで、ドラマ展開と直接関係のない周囲の雑談をていねいにフォローいるところとか、70年代前後のR&B〜ファンク系の音楽を多用していたところが印象に残りました。倉木麻衣の主題歌も良い曲だとは思いますが……。

どうでもいい話だとは思いますが、チーフプロデューサーの梅澤道彦さんの表記が、「早乙女タイフーン」では梅沢道彦になっています。どっちが正しいのでしょうか。――こういうサイトをやっていると、些末なことで悩むことが多くなります。(^^ゞ


01/07/07  早乙女タイフーン(1)

脚本:小原信治
演出:大根仁(1)(2)、保母浩章、二階健
プロデューサー:佐々木基(テレ朝)、陶山明美(オメガ…)、
        山下泰英(オメガ…)、中沢晋(…クレッシェンド)
協力プロデューサー:谷古浩子
チーフ・プロデューサー:梅沢道彦(テレ朝)
音楽:金子隆博(ビッグ・ホーンズビー)
撮影:斑目重友
スケジュール:初山恭洋
アシスタント・プロデューサー:岩崎洋子
助監督:松田康洋
制作協力:オフィスクレッシェンド
制作:テレビ朝日、オメガ・ピクチャーズ
関東放送枠:テレ朝・土曜11時

 個人的には……

世間一般の評価はどうなんだか知りませんが、個人的にはかなり期待していたドラマです。出演者はボクが好きな人ばっかりだし、演出は「トリック」や「怖い日曜日」でおなじみのオフィスクレッシェンド一派。

――加藤晴彦なんて、NHKの単発ドラマとか名古屋放送の深夜単発ドラマ「なんじゃもんじゃの木の下で」(制作:カノックス)なんかもチェックしてるし、一色紗英だって読売テレビで葉月里緒菜をイジメてるのを最終回まで見ていたし(「八月のラブソング」演出:星田良子)、篠原涼子も主要なCDはほとんど持っています。(^^) で、今年に入って急上昇しているのが吉沢悠。オフィスクレッシェンドに関しては、改めていうまでもないでしょう。

要するに、たとえ、どんなにつまらないドラマでも(失礼 ^^;)、最終回まで見ざるをえない顔ぶれなんですね。(^_-) もちろん、そんな心配は杞憂だったみたいで、とうぶんは土曜日の11時が待ち遠しいです。

 映像編集の文法が新しい?

このドラマの見どころはいくつかありますが、もっとも注目したいのは方法論上の新しさです。「セリフ・映像・音楽」の3要素を編集・構成していく文法みたいなものが、従来のドラマのそれとは確実に違っていて、新しいスタイルが成立する現場に居合わせているようなスリルを感じました。特に、音楽の使い方が普通と違っていて、「普通は、そんな風にはしないだろう」と思うシーンがいくつかありました。

ただし、このことを方法論的にちゃんと言語化するのは、ちょっとした重労働なんで宿題とさせて下さい。(^^) 印象的なのは「うるさくない」ことでしょうか。加藤晴彦が子どもを助けに海に飛び込むシーンなんて、普通はもっと派手な音楽を使いたくなるものですが、このドラマでは抑え目の選曲(効果音?)になっていて、そこに新しい感性を感じてしまいます。

全体的にメロディやコード感が希薄で、打楽器系の音楽が多いです。一般的な演出では、盛り上がるシーンでメロディとか和音(コード)がバ〜ンと入ってくるものですが、このドラマではその辺のバランスが逆になっていて、変なところでメロディとか和音が出てきます。(^^ゞ

 大根仁さんの選曲センス

また、堤幸彦さんと大根仁さんの音楽センスの違いみたいなものも感じられて、その違いがそのまま「トリック」と「早乙女…」の違いにつながっているような気もします。大根さんの方が若いというか、ヒップホップ〜アンビエント的なセンスが濃厚です。また、フジテレビの「ビーチボーイズ」あたりと比較してみても、音楽センスの違いが光っています。「ビーチボーイズ」って、嫌いじゃないですけど、山下達郎のパロディみたいなコーラスがガンガン掛かっているシーンに、違和感を感じることが多かったです。(^^ゞ

ところで、大根さんの選曲センスに関しては、過去の日誌でも書いたことがあるような気がしたので、念のために調べてみたら、去年の「トリック」(00/08/18付)や「怖い日曜日」(00/11/26付)でも書いていました。このドラマを見ているときは、そんな過去(?)はすっかり忘れていましたが、「怖い日曜日」第18回(上里亮太)では、――BGMのセンスに新しい演出の可能性を感じる――なんて書いていました。(^^ゞ これまで、大根仁さんというと緑系の色彩感とか、不健康そうな表情を撮るのが上手い人――というイメージが強かったのですが、これからは選曲センスにも注目したいです。(^^)

「トリック」が「ケイゾク」以降の堤ドラマの、ひとつの完成形だったとするなら、この「早乙女…」はその普及版という感じでしょうか。ストーリーやキャラクター設定がシンプルになったせいか、過去の堤作品よりも、アク抜きされているような印象もあります。そこに不満を感じる人もいるかもしれませんが、全体的にポップでスッキリとした印象を受けます。たとえば、NHK教育・土曜6時枠の企画会議で「トリック」みたいなドラマ……などと言ったら、その場でハネられそうですが、「早乙女…」だったら行けそうな感じでしょう。そういうところが普及版なんですよ。(^_-)

 その他、吉沢悠など

「うるさくない」という意味では、今期の「できちゃった結婚」などとも対照的です。これは、加藤晴彦や石井正則の台詞回しに負うところも大きいと思うのですが、主要登場人物の演技・ギャグのニュアンスが過剰にならないで、上手くコントロールされているようです。加藤晴彦がオフィスクレッシェンドのドラマに出るのは今回が初めてだと思いますが、初めてとは思えないほどハマっているのが不思議なくらいです。一色紗英も「お水の花道」のときよりも、いい味出していると思いました。(^^)

とはいえ、今回のドラマでも、もっとも目を引くのは吉沢悠です。「バスストップ」「白い影」「女子アナ。」「新・星の金貨」「早乙女…」と、連ドラ出演が続いていますが、一作ごとに芸風が違っているところが尋常じゃなくて、まさに“いま目が離せない”という感じです。このドラマの吉沢悠は、「踊る…」や「明日があるさ」の柳葉敏郎みたいに、いつも眉間にシワが寄ってます。「星・金」で、ときどき見せていた険しい表情は「早乙女…」に向けての下準備だったんでしょうか。(^^) ちなみにタレント名鑑を引いてみたら、ナベプロ所属で本名は悠(ひさし)と読むそうです。

なお、この日の昼間に放送された番宣は見逃しましたが、先月24日に放送された番宣はちゃんとチェックしました。演出は、ここの掲示板に書き込んで下さったこともある鬼頭理三さんでした。鬼頭さんは「プリズンホテル」の演出をしていましたが、このドラマでは演出をする予定はないのでしょうか。この番宣の主要スタッフもメモしておいたので、ここに書いておきます。(^^;; ――構成:遠藤英明、撮影:杉山紀行、プロデュース:佐々木基・中沢晋、演出:鬼頭理三、制作:テレビ朝日・オフィスクレッシェンド


01/07/09  六本木野獣会(2)

脚本:大良美波子
演出:高橋直治(1)(2)(4)(5)、小笠原直樹(3)
プロデュース:西憲彦、高橋直治、山本俊之(ライジング…)、
       赤羽根敏男(エフプロジェクト)
演出補:小笠原直樹
プロデューサー補:鈴木香織
出演:宮良忍、菅原禄弥、伊崎右典、石川愛理、国分佐智子etc
制作協力:ライジングプロダクション
関東放送枠:日テレ・月曜深夜(shin-D)

 演出意図が明快な色彩処理

最近は深夜ドラマに限らず、色使いが派手なドラマが多いのですが、その中には色使いにあまり必然性が感じられないケースもあります。演出サイドにしてみれば、それなりの演出意図があるのかもしれませんが、それが見ている方に伝わってこなくて、無意味に青かったり赤かったりする――と感じてしまうことが結構あります。このドラマも、かなり派手な色彩処理が施されているのですが、その色彩感がドラマのイメージとぴったりハマっているので、ちょっと感動してしまいました。

このドラマの色彩感を形容するなら、古い雑誌のカラーグラビアが茶色く変色しかかった感じです。図書館などで古い書籍のカラー写真を見ている――あの脱色感覚です。部分的には、脱色っぽくない映像もあったのですが、それでもドラマ全体のレトロっぽい雰囲気を壊すほどじゃなかったです。また、ロケ映像も多かったのですが、“今っぽさ”をていねいに排除しているみたいで、統一感のある世界を作り出していたと思います。

 伊崎右典を素材として使い切った演出

このドラマの2つ目の注目点は伊崎右典(ゆうすけ?)でしょう。名前の順番は3番目ですが、物語の話者は彼だし、カット割りも彼の表情〜リアクションを中心に組まれていたので、実質的な主人公といっても問題ないと思います。セリフは少ないし、傍観者的に突っ立っているだけなんですが、すべての出来事〜映像が、それを見ている彼の表情アップで区切りがつく――というカット割りでした。文章でいえば句読点みたいなもんですね。(^^ゞ で、彼の表情がこのドラマ独特の味になっているワケです。ボクの場合、ドラマより先に、トーマス号さんの掲示板発言を読んでしまったせいか、「ハルモニア」のときの大坂俊介を連想しちゃうことが多かったです。(^^ゞ

高橋直治さんの演出も、俳優としての演技を要求したというよりは、ひとつの素材として使い切ったという印象を受けます。極端にいえば、このドラマで伊崎右典に求められていたのは、演技することじゃなくて、人形に徹することだったんじゃないかという気がします。(^^ゞ 個人的な好き嫌いでいえば、こういう演出は大好きです。俳優の演技に依存しない演出、または俳優をアニメの原画のように扱う演出、と言えば良いのでしょうか。――伊崎右典は新人なので問題ないですが、ベテランの大物俳優をこんな風に演出したら、トラブルになっちゃうかもしれません。(^^ゞ

ところで、演出の高橋直治さんといえば、ここ数年、日テレのドラマでよく見かける人で、「怖い日曜日」「花摘みじいさん」「新宿暴走救急隊」「ゼニゲッチュー」などで、オフィスクレッシェンド〜映像派的なアプローチを試みていました。深夜ドラマとはいえ、今回が初のチーフ演出となります。今後の動向に注目していきたい名前ですね。しかし、この人に関する最大の謎は、以前「中学生日記」を演出していた同名の演出家と同一人物なのか? ……ということです。(^^) 


01/07/14  金田一少年の事件簿SP(再放送)

2001年3月24日(日)に放送された「金田一少年の事件簿SP」(7月14日に関東地区で再放送)の日誌は、こちらをクリックして下さい。

「金田一少年の事件簿・魔術列車殺人事件」

01/07/21  金田一少年の事件簿(2)

脚本:小原信治
演出:下山天(1)(2)、長沼誠(3)、佐藤東弥(4)
音楽:土井宏紀
プロデュース:角田朋子、内山雅博
撮影:橋本尚弘、池田英孝
VE:軒名秀明
照明:佐藤忠
美術:中村桂子
編集:平澤政吾
VTR編集:来栖和成
選曲:仲西匡
アクションディレクター:多賀谷渉
演出補:多胡由章
アシスタント・プロデューサー:榊田茂樹
協力プロデューサー:櫨山裕子
制作協力:オフィスクレッシェンド
関東放送枠:日テレ系・土曜夜9時

 まずは音楽の処理に注目!

ドラマの内容よりも、ネットの反応の方が興味深かった連ドラ版ですが、今回は比較的穏やかな反応のようです。とはいっても、相変わらず否定的な意見も多く目にします。――この話題については後回しにして、まず、スタッフをチェックしてみます。今期は「早乙女タイフーン」もオフィスクレッシェンドだからなのか、春SPとは撮影・VE・選曲・演出補・APなどに変化が見られます。春SPのときはBGMの処理がイマイチだっただけに、選曲が小西善行さんから仲西匡さんに交替したところに注目して下さい。(^^ゞ

堤版「金田一」と下山版「金田一」の違いについては、春SPの日誌に詳しく書きましたが、この点に関しては、この連ドラ版でも違いはないようです。ただし、春SPでは未消化だったアイデアが、この第1話では一つのスタイルとして完成しつつあると言えそうです。このことが、最もよくわかるのは、第1話の放送開始20分くらいに出てきた、金田一の最初の謎解きのシーンじゃないでしょうか。船長は自殺したんじゃなくて殺されたんだ――というシーンです。旧シリーズとは違うリズム感〜メリハリ感を模索した結果、辿り着いたのがこのシーンの演出だったと思うので、具体的に説明しておきます。

まず、「それは違う」とか言って松本潤が話し始めるところでは、“ドッド〜〜ン”というリバーブ(エコーの一種)がたっぷりかかったドラムの連打が、効果音として使われていました。松本潤が船長室に入って説明を始めると、エスノハウス風の音楽がさりげなくスタートして徐々に盛り上がっていきます。そして、「船長は殺されたんだ」というところで音楽がプツッとストップ。ここで、登場人物の顔アップが連続的に挿入されます。旧シリーズなら、“カン!カン!カン!”などと効果音が入るところですが、ここでは効果音は一切ありませんでした。で、「犯人はこの中にいる」というセリフの後に、派手な音楽が短く挿入されて、プツッと切れる。――とまあ、こんな感じ。

音楽がさりげなくスタートしてジワジワ盛り上がるというスタイルは、旧シリーズにはほとんどなかったはずです。春SPの日誌に書いたとおり、旧シリーズのサントラは“出だしの10秒が命”みたいな曲ばっかりだから、さりげなくスタートするなんてことは、めったにありえないわけです。(^_^;) 分かりやすくするために単純化してしまうと、旧シリーズのメリハリ感が“バン!バン!バン!”なのに対して、新シリーズのメリハリ感は“ジワジワ、ジワジワ……、ド〜〜ン!”という感じです。最後の“ド〜〜ン”を無音に置き換えても効果はほぼ同じです。“ジワジワ、ジワジワ……、プツッ!”です。(^^)

 解決シーンに顕著な“引きの演出”

セリフの間とか無音を活かすというのは、今回の演出上のポイントだったみたいで、引き算的な発想でメリハリを付けているシーンは、他にもたくさんありました。特に、音楽をストップ(ミュート?)させてアクセントを作っている場面はかなりたくさんあって、第2話だけでも10回くらい登場しているはずです。ラストの解決シーンでは、2〜3回このパターンが繰り返されているので、録画している人は確認してみて下さい。大事なセリフの前で音楽がピタッと止まります。(^_^;)

ちなみに、このシーンの最後に出てくる「私はそういう女なの」「そんな人じゃない」という部分のみ、正攻法的な音楽の入り方になっています。引き算系のアクセントをしつこく繰り返してきて、一番最後の泣きの場面で、足し算系のアクセントが出てくるという仕掛けです。(^^)

ところで、このシーンではもう一つチェックしておきたい場面がありました。石原良純の「ヨウコは僕の恋人だ」に対して、松本潤が「そういうことか……」とつぶやくシーンです。録音の質感が他と違っていて、息の音とか、口のムニャムニャ音を、マイクがしっかり捕らえていました。このセリフのみ、マイクを口元に近づけて録音されたのでしょうか(だとするとアフレコ?)。シブイですね〜。このように、力を抜いて出演者に肉薄するようなセンスに、下山−マツジュン版「金田一」の新しさを感じます。旧シリーズの「金田一」は、“押しの演出”(?)がメインで、こういう“引きの演出”(?)はなかったように思います。また、このシーンの松本潤の口調は、春SPと比べてもボソボソ度がアップしている感じで、この路線で行くんだという演出家の強い意志を感じました。(^^ゞ

ただ、こういう“引きの演出”みたいなのは、印象が地味になりがちです。ネット上の感想などを見ていても、否定的な意見の大部分は“押しの弱い”部分に対する違和感のようです。芝居がかった要素を排除するというコンセプトは、ボク的にはOKなんですけど、そうじゃない人も多いということでしょう。夕陽をフィーチャーした映像もお芝居やBGMのテイストとマッチしていたし、やはり下山天さんは黄昏の演出家なんだと改めて思いました。(^^ゞ

 リバーブ系の効果音

もう一つ、リバーブ系の効果音が多いのも、新シリーズの特徴だと言えるかもしれません。前述した“ドド〜〜ン”という効果音は、かなりのシーンで使用されていて、このドラマのキー効果音と呼べそうです。“バン!”も“ドド〜〜ン”も大差ないと感じる人もいるかもしれませんが、こうした小さな部品の違いが、ドラマ全体の印象を左右するんだと思います。料理でいえば、ダシとか隠し味みたいなものです。

また、カーテンを開けるようにして画面を切り替えることをワイプと呼びますが、このワイプの際の効果音が“ゴー”という間延びするような感じになっていて、“バン!”みたいな短い破裂音系の音とは違うテイストでした。音の輪郭が不明瞭なリバーブ系の効果音を多用するというコンセプトがあるのでしょうか。ちなみに「人間・失格」(94年)でも、同じような演出(ワイプ+効果音)になっていたのを思い出します。そこでは風を切るような音(たぶん?)が使われていたので、今回の「金田一」に近い印象です。

ところで、第1話の「リンゴは食えない」の後に出てくる、内藤−剣持警部の推理のシーンでは、BGMがトリップ・ホップ風。最近のドラマでいえば「陰陽師」のBGMもトリップ・ホップ風でした。こういうところにも、新しい感性がしっかりと導入されています。効果音にリバーブを多用していることもそうですが、今回の「金田一」の演出はダウナー系といえるかもしれません。松本潤の台詞回しもダウナー系だし。(^^)

 マツジュン金田一のキャラ設定

松本潤の演技も、コメディ系のネタが増えていた点を別にすれば、おおむね春SPの延長線上にあったと思います。解決シーンの語り口が、春SPよりもボソボソ系だったことはすでに書いたとおりです。上に書いたアフレコと思われる録音処理も、こうした演出コンセプトの一環だと思われます。同じことは、「じっちゃんの名にかけて」とか「謎はすべて解けた」といった決めゼリフの処理にも徹底していて、堂本剛がお腹に力を入れて言っていたセリフが全部ボソボソ風の口調になっていました。

「じっちゃん……」を寝言で処理するというアイデアは、感動はしませんでしたが、「そうきたかー」という感じでかなり笑えました。感動したのは、「謎はすべて解けた」のシーンで、時代劇風の効果音(カン!とかバン!)を一切使わない演出になっていて、個人的にはかなり好きなシーンです。特に決めゼリフの前のサイケデリックな映像がすばらしくって、テープを戻して何回も見ちゃいました。(^_^;) ワンショットの手持ち撮影で、ハエみたいに部屋の中をグルグル動くショットでしたが、ドラッグ中毒患者の幻覚みたいで新鮮でした。決めゼリフの後、カメラが引いていってヘリで撮った俯瞰になってしまうショットは、どういう撮り方をしているのかよくわかりませんが、これもちょっと感動しました。ただし、感動したのは本放送の時じゃなくて、予告で見た時ですけど。(^_^;)

 ドラマ全体に漂うサイケデリックなテイスト

サイケデリックといえば、第2話の最初の方に出てきた夢のシーンも比較的サイケデリック風だったような気もします。――今、「サイケデリック」という言葉を使っていて思ったのですが、今回の「金田一」がサイケデリックなら、旧シリーズはハードロック的だとも言えるかもしれません。時代劇とハードロックの共通点は様式美を重んじるということです。(^^ゞ それに対してサイケデリックというのは、曖昧模糊とした雰囲気を重んじているといえます。で、旧シリーズがハードロックで、新シリーズがサイケデリックだとするなら、堂本剛はロバート・プラントで、新シリーズの松本潤はT.Rexのマーク・ボランみたいな感じでしょうか? ……ボクが好きなのはティラノザウルス・レックス時代ですけど。(^_^;)

――なんて書いても、これ読んでる人でマーク・ボランを知らない人がいるかもしれないですね。(^_^;) そういう人は、あんまりお腹に力が入っていなくて、声がヘラヘラしている歌手を想像してみて下さい。しかも、ドラッグとかもやってそうな感じ。(^^ゞ

念のために言っておくと、松本潤がドラッグをやってそうとか、そういう話じゃないですよ。(笑) 堂本剛の金田一少年が迫力系だとするなら、松本潤の金田一は脱力系だという話です。また、先にあげた映像処理やリバーブ多用の効果音なども考慮すれば、新しい「金田一」をサイケデリックとか、ダウナー系と形容するのは、必ずしも見当はずれじゃないように思います。解決シーンのBGMもダウナー系が多かったし。(^^)

映像のことをほとんど書いていないのでちょっとだけ書いておきます。広角レンズを使った手持ち撮影風の映像の多用が目立ちましたが、ゴチャゴチャした印象はあまり感じませんでした。狭苦しい船内の密閉感とスナップ撮影風の臨場感を活かしたかったのかもしれません。船内の汚れた感じを強調していたような印象もあります。画面全体の質感は、旧シリーズの「金田一」よりも、去年の「トリック」に近い感じですが、色彩感が派手になっていたり、プライベート映像っぽい臨場感があるところは、下山天さんの個性が強く出ているところだと思います。

 蛇足:ネットの反応など

ちなみに、ネットの反応を見ると、新シリーズに対する不満はあいかわらず強いようですが、それらに共通するのは「迫力がない」ということみたいです。これはある意味、当然の反応だとも思います。だって、ハードロックを期待している人にサイケデリックロックを聞かせたら、「迫力がない」と感じるでしょう。(^^) さらに言うなら、視聴者が「金田一少年」に求めているのは、時代劇/ハードロックに通じる単純明快な様式美なのであって、サイケデリックみたいなモヤモヤしたニュアンスではないとも言えます。だから、視聴率的なことも考慮するなら、今回の「金田一」は微妙な路線だとは思います。

ただ、ボクとしては、旧シリーズと同じモノをまた見たいとは思わないから、こうした冒険的なアプローチは大歓迎です。春SPに比べたら、完成度だって高いワケだし、視聴率でいったら、「早乙女タイフーン」だって苦労しているわけだから、めげるなオフィスクレシェンド! という話になっちゃいますね。(笑)

それにしても、「金田一少年」のファンというのは、熱狂的なファンが多いのか、普通のドラマファンとは雰囲気が違うような気がしました。そういえば、旧シリーズでも視聴率が良かったのは、ドラマ本編じゃなくて、最終回の翌週に放送されたバラエティ風の特番だったのを思い出しました。櫨山裕子Pが当時の新聞インタビューで、「時間を掛けて作ったドラマよりも、急いで作った特番の方が数字が良いなんて、やはり視聴率は魔物だ」といった趣旨の発言をしていました。

堤幸彦さんも『トリック・完全マニュアル』で、「最終回の後に総集編スペシャルを作ったんですけど、それがまた29%くらいの数字を取ってしまいまして…。なんていうか、ちょっと複雑でしたね」と、言っています。――まあ、ここは視聴者行動を研究するサイトじゃないので、この話題はこれで止めます。「金田一少年」のファンというのは広がりがありすぎてよくわからん……というボヤキみたいなもんです。(^_^;)

 ……とはいえ、残念な部分も

ただし、個人的な期待を言うなら、もう少し旧シリーズのイメージを壊してほしかったという思いはあります。ボクが松本潤で「金田一」というニュースを聞いた時にイメージしたのは、テクノ〜近未来風の世界でした。「西暦2050年、最新のクローン技術で金田一少年がよみがえった!」みたいな感じです。(^^ゞ まあ、ボクのイメージはどうでも良いのですが、美術とかセットの印象にあまり変化が感じられないのは、ちょっと残念な気がします。

また、内藤剛志の剣持警部のキャラが、無難な線に落ち着いてしまったのも残念といえば残念。春SPと比べて、もっとも違っていたのは、剣持と金田一の関係性かもしれません。公式サイトに載っているインタビューによると、2人の関係性については案が3パターンくらいあったようですが、最終的には友達みたいなパターンに落ち着いたようです。内藤剛志は古尾谷雅人よりもヘビーなイメージがあるから、父と息子みたいな関係性にしてみても、面白かったような気はするのですが……。(^^ゞ

最後に、最近見つけたオススメのサイトを紹介しておきます。このドラマの編集を担当している平澤政吾さんのサイトです。撮影した映像をハードディスクに取り込んで仮編集(オフライン編集)する作業を担当しているみたいです。オフライン編集というのは、バラバラに収録された映像が一つの流れになる瞬間に立ち会う作業ですから、とても重要な仕事です。どこを切ってどこを残すか、という重要な判断を下すのもこの工程です。もちろん、判断を下すのはプロデューサーか演出家ですが、日誌などを読んでいると、その辺の事情も少し分かります。それと同時に「金田一」の進行状況までわかるので、なかなか貴重なサイトです。
http://www12.u-page.so-net.ne.jp/zb3/hirasawa/index.html


01/07/27  ネバーランド(4)

演出:森田光則(1)(2)、倉貫健二郎(3)(5)、高野英治(4)(7)、田沢幸治(6)

う〜〜ん、「世界を敵にまわしている」のは三宅健じゃなくて木下プロなんじゃないか――という気がしてきちゃいますね。第1話のときは、まだそれなりに期待を持って見れたんですが、第2話以降のドタバタを見て「ベストフレンド」のときの悪夢がよみがえってきました。(^^ゞ

脚本にしても演出にしても、中途半端にラブコメみたいなところがあって、それがシリアス風のエピソードをぶち壊しています。連ドラ化するにあたって、原作のストーリーを膨らませる必要があったのはわかりますが、なんでそれがこんなドタバタなのか理解に苦しみます。本来なら、共同生活の内側を描かなきゃいけないはずなのに、事件の元はすべて外側から入ってきます。山田麻衣子とか、橘実里とか、山崎裕太とか。

アップが多すぎるという批判も多いみたいですが、心理劇だったらアップが多いのは当然だし、最近のドラマはアップが増える傾向にあるから、そのこと自体に問題はないと思います。問題なのは、真っ正面系のアップが多くて、その演出意図がよく分からないことです。真っ正面系のアップが多い演出家というと、堤幸彦さんや鈴木雅之さんが有名ですが、2人ともコミカルな作風を得意とする演出家です。つまり、真っ正面系のショットというのは、印象がマンガっぽくなってしまうから、シリアス〜恋愛系のドラマには向かないのですが、なぜかこのドラマには多いんですよね。(^^ゞ

あと、日常会話とは思えないようなセリフ(言葉遣い)を、むりやり日常会話風に処理しているシーンも多くて、聞いていて違和感を感じます。このドラマが学芸会みたいに見える理由もその辺にありそうです。学芸会の台本というのは、現実の話し言葉とかけ離れていることが多いのですが、このドラマにも同じような傾向を感じます。第3話には「家族にも賞味期限があるのかな」というシーンがありました。淡々と処理すればそれなりに良いシーンになったような気もするのですが、実際はおおげさな口調になっていて、そういうところも学芸会的だと思いました。(^^ゞ

文句を言い始めると切りがないので止めますが、この第4話はちょっぴり持ち直した感じもします。冒頭のテニスコートのシーンで、今井翼の脳裏に三宅健の言葉がフラッシュバックするところは、サスペンス風のインパクトの強い演出になっていました。イーストの上川伸廣さんが演出した渡部篤郎版「ストーカー」で、同じような手法がよく使われていたのを思い出しました。この他にも、サスペンス風だったり「金田一少年」風だったりするシーンが多かったので、学芸会的なノリが若干改善されました。あくまでも“若干”ですけど。(^^ゞ


01/07/27  世界で一番熱い夏(4)

演出:福澤克雄(1)(4)、平野俊一(2)(6)、大岡進(3)、吉田秋生(5)

この第4話はすごかったですね。基本的な傾向は、第1話のときの日誌に書いたとおりなんで繰り返しませんが、個人的には第1話よりも好きです。管楽器や弦楽器をフィーチャーしたBGMなど、第1話以上に70年代テイストが炸裂していました。ラストのホームレスが集合するシーンなんかは百姓一揆みたいなイメージなんでしょうか。

また、風間俊介が医務室で転倒するシーンは、ガチャーンという転倒音が痛そうで、体育会系テイストを感じました。(^^ゞ ただしボクの場合、このドラマの風間俊介にはあまり面白味が感じられません。器用貧乏に見えてしまうのはボクだけでしょうか?

ところで、平野俊一さんが演出した第2話は、「ケイゾク」みたいな堤幸彦テイストと、福澤さんのテイストの接点を模索したような演出になっていて興味深かったです。平野さんは以前、深夜ドラマ「ルーズソックス刑事」(主演:平山綾)で「ケイゾク」風のアプローチをしていましたが、そのことを思い出しました。――というか、ボク自身はこれまで、堤さんの作風と福澤さんの作風を比較したことがなかったので、ちょっぴりハッとさせられました。(^^ゞ


01/07/28  金田一少年の事件簿(3)

脚本:小原信治(1)(2)、大石哲也(3)、山崎淳也(4)
演出:下山天(1)(2)、長沼誠(3)、佐藤東弥(4)
撮影:市川正明(3)、遠藤慎治(3)
VE:弓削聴(3)
照明:角田信稔(3)
VTR編集:大野球(3)
演出補:小波津靖(3)

第3話は、1〜2話の制作チームとは別チームになっているみたいで、演出家だけでなく、撮影・照明・演出補なども違っています。旧シリーズでも、同じようなチーム編成をしていたようなので、そのこと自体は問題じゃないのですが、この第3話の出来は、かなりツライものがあります。(^_^;)

1〜2話は、迫力はなくても深みがあるという感じだったのですが、第3話は迫力もないし深みもないです。音楽や効果音の使い方は、1〜2話よりも旧シリーズに近い感じになっていて、“バン!バン!”と効果音で押していく場面が多かったです。ただ、こういう演出をするなら、旧シリーズの音楽や効果音の方が向いている――ということは、春SPの日誌に書いたとおりです。音楽や効果音がチープに思えてしまう場面が多かったです。

音楽以外でも、カメラ目線でしゃべったり、わざとらしく犯人を指差したりと、芝居がかった要素が増えていましたが、どうもピンときません。また、決めゼリフのところでカメラがクルクル回るのは、旧シリーズでおなじみの手法なのでちょっと複雑な気分です。その一方で、普通の恋愛ドラマみたいなカット割りもあったりして、演出の方向性が絞り切れてないような印象を受けました。m(__)m

映像に関しても、特に絵心を感じるような場面はなかったし、プライベート映像的な臨場感もありませんでした。松本潤の演技/演出も大味な印象で、吹石一恵の変貌に涙するシーンも、発砲事件の後に壁を叩くシーンも、第2話にあったような情感は感じられませんでした。そうなると、単に迫力がないだけの演技に見えちゃいます。(-_-;)

来週は、旧シリーズでは堤さんよりも担当本数が多かった佐藤東弥さんの演出で、予告を見た感じでは、なかなか派手なカメラワークになっているみたいです。下山天さんの叙情性とはちがった世界を見せてくれそうなので、ちょっと楽しみだったりします。(^^)


01/07/28  早乙女タイフーン(3)

演出:大根仁(1)(2)、保母浩章(3)(4)、田村直己(5)、二階健

1〜2話に顕著だった黄色いカラートーンが抑え目になって、画面全体がクリアな印象になりました。大根仁さんが演出した1〜2話が雰囲気を重視していたとするなら、保母浩章さんの第3話は、ギャグのネタ作りとか、コミカルなカメラワークに力を入れている――という印象です。また、深夜の放送だからなのか、ちょっとグロテスクな映像もありましたが、個人的に一番インパクトを感じたのは、篠原涼子の包帯を巻いた脚だったりします。(^^ゞ

それにしても、このドラマは、ラストの主題歌とタイトルバックが渋いですね。第1話の日誌にも書いたように、ドラマ本編はメロディやコード感を抑えたドライなテイストなのに、ラストの主題歌だけは、それとは正反対で、めちゃくちゃウェットです。この落差の大きさがえらく効果的で、“脂っこい食事の後のデザート”みたいな開放感があります。ドラマ本編が、現在進行形の夏だとするなら、タイトルバックは思い出の中の夏という感じでしょうか。余韻が残ります。

次週は夏祭りのエピソードみたいですが、予告を見たら、篠原涼子や吉沢悠の表情に1〜3話にない情感があるので、とても気になります。ビーチの映像はあまりないみたいですが、夏祭りのシーンをメインに“夜の早乙女タイフーン”が展開するのでしょうか。1〜3話とは違うテイストを感じたので、期待が高まります。


01/08/02  オヤジ探偵(3)

脚本:輿水泰弘(1)(4)(6)、櫻井武晴(2)(3)(5)(7)
演出:和泉聖治(1)(2)(5)(6)、麻生学(3)(4)(7)
プロデューサー:大川武宏(テレ朝)、矢後義和、須藤泰司(東映)
音楽:池頼広
助監督:内沢豊
制作:テレビ朝日、東映
関東放送枠:テレ朝・木曜8時

 「ケイゾク」でおなじみの麻生学さん

オープニングのタイトルバックが「ファイティング・ガール」みたいなモーション・グラフィックになっていて、ポップな印象を受けます。ロケーションやセットに京都っぽい雰囲気が濃厚なのはこの枠の特徴なので、特に新味があるワケではありませんが、それでも、中村雅俊が京都の街並みを自転車で駆け抜けていく映像には、いつもよりポップな躍動感を感じます。(^^ゞ チーフDの和泉聖治さんについては詳しいことはわかりませんが、この枠でよく見かける名前です。(^_^;)

で、この第3話の演出は「ケイゾク」や「新・俺たちの旅」の演出補としても知られる麻生学さん。8時の時報と同時に「8時だよ、全員集合!」という掛け声が入るところからして、いつもの木8とは乗りが違います。(~o~) この他にも、ギャグのネタとか、ロケシーンでのカメラワークなどに、堤幸彦〜オフィスクレッシェンド的なテイストが感じられました。この日のゲストは徳井優でしたが、彼もオフィスクレッシェンドのドラマでおなじみの人です。とはいえ、基本的な構成は人情系の刑事ドラマので、全体の印象は地味だし、遠藤久美子のキャラクターにいまひとつ色気が感じられないところも残念。(-_-;)

 脚本の櫻井武晴さんにも要注目

ところで、この第3話は脚本が面白かったです。殺人事件を追っていくと意外な犯行動機が明るみになるというストーリーだったのですが、非常によく出来ていたので感心してしまいました。違法駐車のために救急車が通れなくて、それが原因で急病の妻が死んでしまった――というのが犯人の動機でした。駐車違反をした人は罰金を払えばお終いだけど、妻に死なれた方は納得できない。しかし、警察は「憎しみだけで動くワケにはいかない」と。

これだけだったら、単なる社会派ミステリーなんですが、このドラマでは、違法駐車をしていた被害者(ホステス)の人生をていねいに描いていたので、物語に厚味がありました。殺されたホステスは、実際は父親思いの善良な娘だったけれど、事件後、マスコミの憶測報道の餌食になってしまいます。つまり、加害者側と被害者側を単純に善人と悪人に分けられないようになっているワケです。

さらに、妻を亡くした犯人と、同じく妻を亡くしている中村雅俊の生き方を対比させることによって、「家族を失ったとき、遺族はその事実とどう向き合うべきか」という問題までも描いていました。ラストのセリフは「殺さなければ、別の解決があったはずだ」というものでしたが、物語の構成が重層的だったからこそ、重みがありました。(^^) 脚本の櫻井武晴さんは、たぶん初めて見る名前だと思いますが、記憶の留めておきたいと思います。

ところで、エンドロールを見ていたら、スタイリストとヘアメイクのところに“片平担当”という文字を見つけてしまいました。専属のスタイリストがついている女優さんというのはめずらしくないそうですが、エンドロールにしっかりクレジットされているのを見たのは初めてです。(^^) なお、中村雅俊の主題歌「あいつ」も、70年代ニューミュージック風曲で悪くないです。作詞:工藤哲雄、作曲:都志見隆というのは、初期TOKIOの楽曲を手がけていたコンビです。(^^)

【追記】
脚本家のデータは「テレパル」を参照したのですが、ストーリー紹介を読んでみたら、第1話と第2話が逆になっていたので、脚本家の担当も逆に直しておきました。それにしても、いくら一話完結だとはいえ、連続ドラマの第1話と第2話が逆になっちゃうなんてことがあるんですね。ちょっとビックリしてます。(^^ゞ ちなみに、第5話と第6話も「テレパル」と逆になっているみたいです。


01/08/04  金田一少年の事件簿(4)

脚本:小原信治(1)(2)、大石哲也(3)、山崎淳也(4)(5)
演出:下山天(1)(2)、長沼誠(3)、佐藤東弥(4)(5)
撮影:市川正明(3)(4)、山内剛(4)
VE:弓削聴(3)(4)
照明:角田信稔(3)(4)
美術:有尾達郎(4)
演出補:多胡由章(1)(2)(4)

いやいや、これは脚本も演出も期待以上の出来でした。女の子が殺されて、金田一少年が泣いてしまうという展開も、ボクが春SPを見た後に期待した路線に近いです。人が殺されたというのに、冷静に推理ゲームをやってるというのは不謹慎な行為なんですが、その辺の問題を巧みに取り入れた山崎淳也さんの脚本は、さすがです。(^^) マツジュン金田一の人間ドラマ的な方向性を発展させたと言えるでしょう。

 佐藤演出はファンタジック

佐藤東弥さんは旧シリーズでもおなじみの名前ですが、今回は入魂の演出という感じで圧倒されました。長く書きたくないので(笑)ポイントだけまとめると、以下の3点にまとめられると思います。

(1) 下山天さんが、船内の汚れた感じとか、手ぶれ映像などで、リアルなテイストや臨場感を追求していたのに対して、佐藤さんはファンタジックな色彩感を追求していたようです。蝶のCG処理などにも、佐藤さんの特撮趣味(?)がよく現れていました。宮崎駿(スタジオ・ジブリ)のアニメみたいな雰囲気もあったような気がします。(^^)

(2) 音楽や効果音よりも、カット割りやお芝居のメリハリ〜リズム感を重視していたようです。下山さんの1〜2話と比べると、望遠系のアップが多くて、お芝居のアクセントとして効果的に使用されていました。このおかげで、音楽なしでもメリハリ感が出ました。音楽が強く自己主張する場面は少なくて、あくまでもお芝居の流れに逆らわない使われ方でした。“ドッド〜ン”みたいな効果音も最小限度に抑えられていたようです。

(3) 音楽や効果音が地味な分、映像上のギミック〜アクセントは派手になっていました。ラストに出てきたムッシューかまやつの貼り付けシーンなどは、これを見た子どものトラウマになってしまうんじゃないかと、心配したくなるほど強烈でした。この他にも、絵的にインパクトを感じるシーンがたくさんありました。

松本潤と女の子のシーンは、ちょっとロリコンっぽい感じもしましたが、これが後半の涙の伏線になるワケです。松本潤とロリコンという組み合わせは意外な盲点ですが、それなりにホノボノとしていて、いい感じだったと思います。(^_-)


01/08/05  恋がしたい 恋がしたい 恋がしたい(5)

脚本:遊川和彦
演出:片山修(1)(2)(5)(6)(9)(11)、吉田健(3)(4)(8)、梶原紀尚(7)(10)
プロデュース:八木康夫
音楽:若草恵
演出補:梶原紀尚
プロデューサー補:木村政和
関東放送枠:TBS・日曜9時

今期のドラマの中では、このドラマが一番最初にスタートしたわけですが、第一印象は、ロケのシーンが多くて、映像の質感がフィルムっぽい――という感じ。まあ、一言で言うと映画っぽいということなんですが、ふたを開けてみたら、他にも同じような傾向のドラマがやたらと多いので、「今年の夏はロケ流行り?」なんて思ってたりします。(^^ゞ

第1話に出てきた学校のシーンなんかは、職員室を含めてロケだと思うし、職員室のエキストラの数もかなり多かったです。さすがに第2話以降は学校のシーンが激減していますが、それでもロケが多いという印象は変わりません。牛丼屋のシーンもロケですよね。(^^ゞ 渡部篤郎の自宅のシーンなどはセットだと思いますが、あんまりセットっぽい感じがしません。――ただし、上にも書いたとおり、今期のドラマは、この手の演出傾向が目立つので、どうしても印象が弱くなってしまいます。

ところで、第2話で水野美紀のことを追い回していた2人組は、『ディーバ』というフランス映画に出てくるギャングみたいに見えましたが、そういえば、渡部篤郎の車もオシャレな感じですよね。――そう思ってみていくと、BGMも含めて、ヨーロッパ映画的なテイストを強く感じます。詳しい人が見たら、具体的にいろいろ指摘できると思いますが、ボクは詳しくないのでパスします。雨の中で傘を差しているシーンなんかも、どこかで見たことあるようなテイストです。(^^ゞ

……な〜んて書きつつも実はあんまり面白くはありません。善良で優柔不断な人々が織り成すファンタジーなのかもしれませんが、BGMを含めて、ボクにはちょっと甘口すぎます。十代の少年少女ならまだしも、「いい歳した大人が何やってるんだー」と突っ込みたくなってしまいます。このドラマで唯一許せるのは十代の山田孝之と、主婦の岡江久美子でしょうか。(^^ゞ 山田孝之は第1話のときはパッとしない印象だったのですが、徐々に良くなっているように感じます。「ちゅらさん」のときも同じような感じでした。(^^ゞ

そうそう……。吉田健さんが演出した3〜4話は、やはりハーモニカ系のBGMが多かったですね。(^^ゞ ……というワケで、このドラマは脱落気味です。


01/08/06  できちゃった結婚(6)

脚本:吉田紀子、山田珠美(10)
演出:武内英樹(1)(2)(5)(7)(9)(11)、羽住英一郎(3)(4)(6)(8)(10)
プロデュース:杉尾敦弘
音楽:金子隆博、Face 2 fAKE
演出補:七高剛
プロデュース補:柴田圭子
脚本協力:山田珠美
関東放送枠:フジ・月曜9時

武内英樹さんは「カバチタレ!」でアメリカン・ショービズ・スタイル(?)の演出を試みていましたが、このドラマはその「カバチタレ!」のギャグの部分を発展させたような趣です。「ルパン3世」みたいな乗りもあるかなと思っていたら、エンディングのタイトルバックに「ルパン3世」みたいな車のシルエットが出てきました。(^^ゞ ただ、主役の2人は、単にうるさいだけに思える部分も多いし、第2話のときは面白かった千葉真一も、だんだんネタ切れっぽくなってしました。

演出面で気になるのは、集団ギャグのシーンの制作過程です。お芝居のライブ感を活かした部分(マルチで同時撮影)と、リズム感を編集工程で人工的に作り出したと思われる部分(1カメで個別撮影)が、複雑にミックスされているようです。実際はどういう手順になってるんだか知りませんが、ちょっと注目したい部分です。

セカンドDの羽住英一郎さんは「踊る大捜査線」のスタッフとして、一部のマニアに知られている人で、「オーバータイム」や「伝説の教師」などで演出をしていた人です。セカンドDとしてコンスタントに演出を担当するのは今回が初めてだと思いますが、とやかくコメントできるほど細かく見ていません。ざっと見た感じでは、武内さんの担当回とさほど違いがないように感じます。(^_^;)

 hitomiの主題歌に、ちょい注目っ!

このドラマで、もう一つ気になるのはhitomiの主題歌。今期のドラマはエンディングの主題歌にいい曲が多くて、この他にも「ファイティング・ガール」「熱い夏」「早乙女」などのエンディングでジ〜ンとしてます。(笑) 特にラストのストリングスっぽいインスト部分が耳に残ります。「ファイティング…」や「ビューティ7」のエンディング曲もストリングスっぽいフレーズが印象的なんですが、最近の流行りなんでしょうか?

もちろん、大事なのはそのことじゃなくて、ラストのインスト部分が長めにオンエアされていることです。具体的にいうと、第1話のときは15秒くらいだったインスト部分が、最近の回では30秒くらいになってたりします。ドラマの主題歌というのは、ドラマ用に短くエディットされていることが多く、AメロとかBメロが大胆にカットされているケースも多いのですが、インスト部分を長めに流しているというのは、その部分を聞いてほしいという意図があるのでしょう。CDではどうなってるのか知りませんが。(^^)

このドラマに関しては、ちょっと脱落気味なので、これでお終いです。見ればそれなりに楽しめたりするのですが、ボクの視聴意欲が他のドラマで残量切れになってます。(^_^;)

01/08/07  救命病棟24時(6)

脚本:福田靖(1)(2)(3)(4)(6)(8)(10)(11)(12)、橋部敦子(2)、飯野陽子(3)、秦建日子(5)、田辺満(7)、林宏司(9)
演出:田島大輔(1)(2)(5)(8)(11)(12)、水田成英(3)(4)(6)(10)、樋口徹(7)、山本一男(9)
プロデュース:和田行、中島久美子、樋口徹
音楽:佐橋俊彦
演出補:山本一男(1)〜(6)(8)、高木健太郎(7)(8)(9)〜
プロデュース補:菊地裕幸
制作協力:FCC
関東放送枠:フジ・火曜9時

1〜2話を見た時点では、まあまあくらいの印象だったのですが、水田成英さんが演出した第3話を見てから、グッと印象が良くなりました。複数の事件(患者)がドキュメンタリー風に同時進行するスタイルが確立したのも第3話くらいからだと思います。これを書いている時点でボクは第7話まで見ていますが、1〜2の方が異質に見えちゃいます。(^^ゞ 視聴率が悪かったら、病院内の権力抗争とか、江口&松雪の恋愛モノにシフトする予定だったが、視聴率が良かったので群像劇に方にシフトした――ということなんでしょうか?

それにしても水田成英さんの演出がとても良いです。第3話の冒頭10分くらいを見た時点で、田畑智子の表情が妙に色っぽく感じたのですが、後半になってから彼女のエピソードがメインになったので、さすがだと思いました。田畑智子に限らず、水田さんは全体的に表情の捕らえ方がていねいです。特に、セリフの前後の表情のニュアンスを手を抜かないで細かく撮っているので、登場人物の心理描写に深みがあります。

たとえば、第4話に出てきたレスキュー隊長の小木茂光なんて、言動だけ追っていったら、単に子どもっぽいだけのバカ男なんですが、お芝居の間や、表情のニュアンスに重みがあるから、バカ男に見えないんですよね。同じことは、第6話の青木伸輔(ボクサー)にも言えます。本当の病名を知った時のシーンでは、青木伸輔のヒザの動きで心の動揺を映像化していました。ちなみに、ボクサー引退が決まったとたんに周囲の態度が冷たくなるというエピソードは、芸能界の比喩みたいにも思えました。性格の悪いタレントは人気がなくなると捨てられる……みたいな。(^^ゞ

第6話は誰が演出なのかわからないで見ていたのですが、見ているうちに水田さんだと分かりました。特徴をいくつかあげてみると……、

(1) 治療のシーンは細かいカット割りでアングルがコロコロ変わる。
(2) ギャグや休憩のシーンでは、広角系の引きのショットが多めで、ダラダラしたニュアンスを強調している。
(3) 望遠系のアップが多くて、表情のニュアンスに深みがある。
(4) セリフの前後の間と、表情のニュアンスを重視している。

……という感じでしょうか。このうち(1)と(2)は、田島さんや樋口さんが演出した第5話や第7話にもあてはまる傾向なんですが、それでも、水田さんが演出した3〜4話で、このドラマの基本的な方向性が定まったように思います。特に、水田さんの場合はカット割りの緻密さが尋常じゃなくて、アイデアと手間ヒマを惜しまないで撮影に臨んでいるという感じがします。ある意味、中江功さんに通じるような気迫が伝わってきます。ただし、第3話以降はセット(巨大セット?)のシーンが多くなっているので、その分、お芝居の演出に時間がかけられるという事情があるのかもしれません。第1話なんて特撮ドラマみたいだったし……。(^^ゞ

第6話で、小児ぜん息の女の子を演じていた井上結菜は、「太陽は沈まない」で滝沢秀明の妹役、「カバチタレ!」で陣内孝則の娘役をやっていた子です。ちなみに、松雪泰子もそうですが、第4話の小木茂光も「太陽…」に出ていました。もちろん、「太陽…」や「カバチタレ!」のセカンドDは水田さんです。(^^ゞ ――ベッドの上の井上結菜の横顔を、望遠レンズで捕らえたアップが渋かったですね。


01/08/17  おふくろのお節介

脚本:中村恵子
演出:林徹
プロデュース:中曽根千治、金丸哲也、?
制作:フジテレビ、東映
関東放送枠:フジ・金曜PM9:00〜10:54

「おふくろシリーズ」の第17弾だそうです。まったくノーチェックだったのですが、当日のスポットCMを見て、ちょっと気になりました。そこで、演出を調べてみたら林徹さんだったので、あわてて録画予約を入れてしまいました。(^^ゞ 去年見た小原裕貴のやつは、かなりイマイチでしたが、林徹さんなら期待できると思いました。――実際見てみて、その予想はバッチリ当たっていました。

全体的にカット割りがていねいで、適度にユーモラスな映像も含まれていたので、気持ちの良いリズム感がありました。シリアスシーンにおける屋良朝幸・余貴美子らの表情もいい感じでした。どのシーンでも、「これは気合いが入ってるな」と思わせるカットが必ず出てくるところに、制作チームの気合いの強さを感じてしまいます。(^^) たとえば、ラストシーンで、母親を見送る屋良朝幸の横顔とかが印象に残っています。

感心したのは、屋良朝幸の資質とドラマ全体のトーンがピッタリと合っていたこと。屋良朝幸の太い声質とか、あまり二枚目過ぎないところなんかが、このドラマの明るいリズム感とよくマッチしていたと思います。浜木綿子はいい意味でも悪い意味でもワンパターンなんですが、このドラマの場合、屋良朝幸の明るさに引っ張られているようにも思えました。脚本的のは突っ込みたいことがいっぱいありましたが、演出がよかったのであまり気になりませんでした。むしろ、未知数の屋良朝幸を、ここまで使い切った演出を評価したいです。この人って「伝説の教師」でイジメられてた人だよね。(^^ゞ

どうでもいいことですが、このドラマが放映された17日はレギュラーの連ドラ3本のほかに、「少年たち2」とこのドラマを一気にチェックしたので、深夜まで約6時間連続でドラマを見る羽目になりました。さすがにこれだけの量を一気に見ると、頭がボーッとしてきます。(笑)


01/08/18  少年たち2(3)

脚本:矢島正雄
演出:中村高志(1)、磯智明(2)、岡崎栄(3)
制作統括:三井智一、土屋秀夫
共同制作:NHKエンタープライズ21
関東放送枠:NHK・木〜土PM7:30〜8:45

同じ週の月〜水に再放送されたパート1を含めて、6夜連続で見てしまいました。このホームページの更新作業が遅れてしまった理由の一部はこのドラマにあります。結論からいうと、パート1の方が面白かったです。(^^ゞ パート1は、相葉雅紀・山下智久・吉野紗香・高橋一生の持ち味を十二分に活かされていて、今改めて見てみても、現時点における彼らの代表作といってもいいクオリティだと思います。まあ、高橋一生の場合は、ちょっと別かなという気もしますが、他の3人に関しては「少年たち」の印象を超える作品を見たことがないです。(^^ゞ (98/12/12・19の日誌も参照して下さい)

で、このパート2なんですが、パート1以上にエピソードを詰め込んでいるみたいで、消化不良のまま終わっちゃっいました。特のひどかったのは三觜要介のエピソードで、結局何をやりたかったんだかサッパリわかりません。(-_-;)

アイドルドラマ的だったパート1に比べるとキャスティングも地味だし、離婚調停や児童虐待などの家事事件が多かったので「少年たち2」というタイトルも不自然に思えます。唯一面白かったのは、上川隆也と中本奈奈のシーンで、特に上川のデタラメ手話がおかしかったです。中本奈奈は、初めて見る人ですが、結構印象に残る顔をしてますね。(^^ゞ

――ところが、岡崎栄さんが演出した第3話を見たら、若干印象が変わりました。それまで、いまひとつ親しみが感じられなかった出演者が急に身近に感じられるようになりました。「少年」役の高岡蒼佑や浅見れいなはもちろんのこと、茶髪パパの北村有起哉にも親しみを感じてしまいました。こういうのを演出の差というのでしょうか。お芝居とか表情のニュアンスが微妙に違うということなんでしょう。BGMの使い方なども、ジワジワとさりげなく盛り上げていくのが上手いです。(^^)

まあ、嫌いな曲でも何回も聞いていると好きになっちゃうから、何回も見ているうちに出演者に慣れちゃっただけなのかもしれませんが……。(^^ゞ とりあえずここでは、超ベテラン岡崎栄さんのアイドルドラマ的な(?)才能に注目しておきましょう。(^^)


01/08/20  フレーフレー人生!(8)

企画原案:遊川和彦
脚本:横田理恵
演出:森一弘(1)(2)(5)、冨塚博司(3)(4)(7)(9)(11)、竹綱裕博(6)(8)(10)
プロデュース:今村紀彦、井上竜太、大森美孝
演出補:竹内秀男
演出助手:早坂泰彦
プロデューサー補:渡辺茂、市瀬恭子、佐藤めぐみ
制作協力:日本テレビエンタープライズ
制作:よみうりテレビ
関東放送枠:日テレ・月曜10時

 子ども役の4人に注目!(^o^)

第1話を見たときは、いまいちピンとこなかったのですが、第2話を見たら「セカンドチャンス」を連想してしまう要素が多くて、結構気に入ってみています。ボク的には、このドラマの主人公は子ども役の4人ですね。(^_^;) 具体的にいうと、石田純一の子ども役の森廉、山岸リサ、松崎駿司と、赤井英和の娘役の宮崎あおいです。(^o^)

個人的には、久しぶりに見る森廉の変貌ぶりが興味深いです。子役というのは思春期を迎えると顔付きがガラッと変わってしまうことが多いのですが、森廉の場合は、貧乏臭い内向少年になっちゃいました。(^^ゞ とはいえ、これはこれで独特のオーラがあるので、子役卒業後も活躍できそうな感じです。松田洋次も十代のころは、こんな雰囲気だったような気がします。ちなみに森廉の横顔は、よく見ると石田純一にソックリだったりするので笑えます。(^^)

子ども役の4人に注目してしまうのはボクだけじゃないみたいで、実際、回が進むにつれて、演出(カット割り)におけるこの4人の比重がどんどん高くなっています。録画があるのなら比較してみてほしいのですが、表情のニュアンスの捕らえ方なんかも、細かくなっていて、1〜2話と最近の回では、まったく違います。1話ごとに進化しているという感じです。(^^) 特に最近の回は、この4人を積極的に撮っているように感じます。(^^ゞ

ただし、松崎駿司に限っていうなら、同じような貧乏臭い役の多いので、ちょっと食傷気味ではあります。イジメられてるシーンとか、松下由樹が乗ったパトカーを追いかけるシーンなどは、過去のドラマで見たことがあるようなデジャヴ感覚におそわれます。(^_^;)

 ロケ感覚に「IWGP」の影響?

このドラマの演出でもう一つ注目したいのは、手持ち撮影の多用とロケシーンの多さです。エンドロールなどを見ると“スーパーハッピー”という店は実在しているみたいだし、第1話にたくさん出てきた列車内のシーンもロケだったように見えました。ぼろアパートのシーンはセットだと思いますが、それでもセットぽさを排したデザインになっていて、ドアの開閉の際に見える緑なども細かく作っていたようです。

第7話では、海辺を歩く山岸リサと松崎駿司を映したショットが後退していくと、旅館の窓に座っている森廉になる――というカメラワークが出てきました。これなども、ロケ感覚を強調したいという意図があったのでしょう。また、夜の歩道橋を歩く宮崎あおいを俯瞰で映したロングショットにも、ドキュメンタリーっぽい臨場感を感じました。

また、ロケ地がどこなのかが、視聴者にはっきりわかるような演出になっているのもポイントです。たとえば、第2話では「井の頭公園前駅」「吉祥寺駅」、第7話では「新宿駅」など、駅名表示をしっかり画面に映していましたが、こういうところにも、ドキュメンタリー的な映像を志向する演出意図を感じます。――このドラマを見て「池袋ウエストゲートパーク」を連想する人は少ないと思いますが、このドラマのロケ感覚には「池袋…」的な発想や方法論の影響があると思います。実際問題として、かなりゲリラ的に撮影しているような印象を受けます。

第8話は、色処理が派手になった上に、逆光系の映像も激増していて、ドラマ全体の印象が“映像派”っぽくなっていました。特に、石田純一が死んだ後、病院のロビーが夕陽で真っ赤になっているシーンは、演出家が暴走しているような印象もあって、妙なインパクトがありました。夕陽の逆光をバックにマツジュン金田一少年が登場しそうな雰囲気でした。(^^ゞ 第1話しか見ていない人には理解できない話題ですね。(^_^;)


01/09/14  ネバーランド(11)[終]

演出:森田光則(1)(2)(11)、倉貫健二郎(3)(5)(8)(10)、高野英治(4)(7)(9)、田沢幸治(6)

最終回は森田光則さんが再登板しましたが、一つの画面の中に2〜3人の表情が入っているアニメっぽい構図の使い方など、それなりに完成度は高いと思いました。特に4人(今井・村上・山田・周防)で会話をするシーンでは、2ショットを交互に切り返しながら物語を展開させていましたが、今井翼と村上信五の表情の差を一つの画面の中でしっかり説明していて上手いと思いました。――ただ、このドラマのテイストに合っていたかというと、そうでもなくて、やはり森田さんの演出は「イタズラなKISS」みたいなラブコメに向いているみたいです。

それにしても、「ネバーランドに逃げ込む」など、日常会話としてシックリこない言い回しがやたらと多いドラマで、脚本家の言語センスの悪さを強く感じます。毎週のように山田麻衣子をかくまっているところなんて、今だったら「お前らはタリバンか!」などと突っ込んでいることでしょう。(^^ゞ

ところで、8月頃に神田の三省堂書店に行ったとき、1階フロアに原作本が平積みになっていて、そこのPOPに「三宅くん、ガンバレ! ガンバレ!」と書いてあるのを見かけました。ボクには、ファンの悲鳴のようにも見えましたが(笑)、たしかに三宅健はこのドラマで一番がんばっていたと思います。涙声で話す演技には、過去の出演作からは感じられなかった技を感じました。そういえば、朝日新聞のTV欄にも三宅健が良いという投書が載っていたような記憶があります。なんか、三宅健だけじゃなく、三宅健ファンのガンバリも目に付いたドラマでした。(^^ゞ


01/09/15  金田一少年の事件簿(9)[終]

脚本:小原信治(1)(2)(8)(9)、大石哲也(3)、山崎淳也(4)(5)、浪江裕史(6)、平田研也(7)
演出:下山天(1)(2)(6)(8)(9)、長沼誠(3)、佐藤東弥(4)(5)、南雲聖一(7)

下山天さんが再登板した第6話あたりから、若干演出のテイストが変化したようです。音楽や効果音に新曲が増えていたみたいで、全体的に押しの強い感じに仕上がっていました。松本潤の謎解きシーンもハキハキしたしゃべり方になっていました。――この頃から「テレビドラマデータベース」の掲示板で、松本潤の演技が良くなったという発言を見かけるようになりました。(^_-) ただ、個人的には第2話での湿っぽいテイストが一番好きです。

下山さんが演出した回では、松本潤の表情に面白味を感じることが多かったです。第6話でいえば、ラストのいしだあゆみとのシーンなどがそうです。鈴木杏の場合、前半は出番が少なかったので、比較はできないのですが、後半はそれなりに良い味を出していました。

最終回ラストの高遠(藤井尚之)との対面シーンは、非現実的な映像処理など、アニメっぽいシーンだなと思いました。単発でも良いから、続編を見てみたいですね。(^^ゞ

尚、第7話を手がけた南雲聖一さんは、「ラビリンス」や「バーチャルガール」の演出で見覚えのある名前で、最近では「ルージュ」の3話と5話も演出しています。どちらかというと映像派の演出家だと言えそうです。北川敬一さん(「ロシナンテ」(8)、「ビューティー7」(9)など)にも言えることなのですが、構図の選び方に絵心を感じたりします。野犬が走りまわるシーンでは、「望遠レンズ+手持ち撮影」と思われる映像が細かく編集されていて、視神経が疲れました。(^^ゞ 手持ち撮影のセオリーは広角レンズですが、あえてセオリーに逆らって、映像的なインパクトをねらったのでしょうか。


01/09/19  ファイティング・ガール(12)[終]

脚本:神山由美子
演出:木下高男(1)(2)(4)(6)(8)(10)(12)、松田秀知(3)(5)(7)(9)(11)

第1話以降、まったく日誌を書いていないのですが、今期のベストはもちろんこれです。第1話の日誌では、音楽のことを「テクノ〜ドラムンベース風」と書きましたが、テクノっぽいのはモーショングラフィックだけで、音楽自体はフュージョンに近い感じです。それ以外は、第1話に書いた印象のままです。自宅の町工場のセット(オープンセット?)は、本当に良い味を出していたと思います。

後半、セリフの中に「ロミオとジュリエット」というのが出てきて、安居剣一郎が物干しを見上げているシーンは、それのパロディ(オマージュ?)だというのが分かりました。

また、小夜子(深田恭子)はマドンナのファンだという設定だったみたいで、携帯の着メロなどもマドンナの曲になっていました。このドラマのヒロインは、マドンナとは違って少女マンガ的な可愛さがありますが、物語の骨格にはマドンナのヌード写真集に通じる“反ロマンティシズム”があったように思います。“闘う女”というタイトルも、マドンナをイメージしていたんでしょうか?

また、後半に登場した野村宏伸をあまり悪人っぽく描かなかったところも反ロマンティックだと言えます。彼を悪人として描いてしまうと、善人と悪人が登場するロマンティックな物語になっちゃいます。

ところで、「テレビドラマデータベース」の掲示板によれば、ユンソナの役名の亜美というのは、鈴木あみの本名だそうで、亜美→鈴木あみ→「深く潜れ」の香美……という風に解読できるそうです。(^^ゞ まあ、ボクの場合、「深く潜れ」の物語には興味がないので、何とも言えませんが……。(笑)


01/09/20  氷点2001(10)[終]

原作:三浦綾子
脚本:中園ミホ(1)(2)、相内美生(3)(5)(6)(8)(9)(10)、小野沢美暁(4)(7)
演出:阿部雄一(1)(2)(5)(10)、今井和久(3)(4)(6)(7)(9)、植田尚(8)
音楽:羽毛田丈史
プロデューサー:杉山登(テレ朝)、志村彰、次屋尚(MMJ)
助監督:植田尚
AP:上田直彦
制作:テレビ朝日、MMJ
関東放送枠:テレ朝・木曜9時

ボクは、原作を読んだこともないし、過去のドラマ化されたものも見たことがありません。そんなボクから見ると、物語もキャラクターもまったく理解できませんでした。リアルな内面描写を目指しているのか、大映ドラマみたいな虚構を目指しているのか……、よく分からないまま終わっちゃいました。この家族の中で、一番マトモに見えたのは、近親愛に走る鳥羽潤でしょうか。(笑) 近親愛が一番マトモに見えるっていうのが、このドラマの良く分からないところですね。(^^ゞ

演出も1〜2話を見たときは、いまいちピンとこなかったのですが、今井和久さんの3〜4話でガラッと変わりました。カメラワークやBGMが派手になって、末永遙や鳥羽潤もアイドルドラマっぽい色気が感じられるようになりました。今井さんといえば、今はなき月8枠でおなじみの演出家ですが、さすがです。(^^ゞ 最近はチーフではなくサブDとして参加するケースが多いですが、「ルーキー」でも今井さんが演出した回が一番良かったから、“スーパーサブ”という感じがします。「氷点」の場合も、チーフDよりセカンドDの方が担当回数が多いという、めずらしいケースになりました。

――というワケなので、末永遙&鳥羽潤を見るためだけの理由で最終回まで見てしまいました。(^^ゞ 80年代の大映アイドルドラマとか「青い鳥症候群」(99年)を見るような気持ちで見ていたのですが、特に良かったのは第6話でしょうか。末永遙が雨の中、別荘の外で一夜を過ごすシーンなんてアイドルビデオみたいだったし、その後の入浴シーン(約10秒)なんて、ストーリー展開上はまったく必要性がない展開でした。(^^) まあ、そういうところ以外に見どころがあるワケでもないし、「入浴シーンをやろう」という監督の一声に、「意味がない」などと反対するスタッフは一人もいなかったんじゃないでしょうか。(笑)

第6話はラストシーンも秀逸でした。末永遙が鳥羽潤に抱きつかれて動揺するところを浅野ゆう子が目撃するという、ベタベタの展開なんですが、主題歌が大音量でド〜ンと入ってくるところが、大映チックで好きでした。(^^ゞ あと、第9話では、2人が旅館に一泊して、再び鳥羽潤が熱くなる(?)シーンがありましたが、TVの前で思わず「行けー!」とか言ってしまいました。(笑)

それにしても鳥羽潤って、NHKではマジメそうなキャラなのに、民放のドラマでは不健全な恋愛ばっかりしています。高島礼子とか、川島なお美とか、今回の末永遙とか。「彼女たちの時代」のときも健全とは言い難いし……。でも、末永遙を見つめる、思いつめた表情とかは、けっこう様になっていたと思います。末永遙は、演技に子役劇団の優等生みたいなところがあって、最初のうちはそれが鼻についたのですが、だんだん気にならなくなりました。


01/09/20  非婚家族(12)[終]

脚本:高橋留美
演出:光野道夫(1)(2)(5)(6)(12)、木村達昭(3)(4)、若井水男
プロデュース:小岩井宏悦、林知幸
音楽:松本晃彦
演出補:若井水男、吉田使憲
プロデュース補:浅野澄美
スケジュール:里内英司
関東放送枠:フジ・木曜10時

木村達昭さんは「ムコ殿」に続いての連投ですが、光野道夫さんが演出した回よりも、お芝居にコミカルな要素が強くて、そこが面白かったです。

このドラマの場合、どこに注目して見るのかによって、評価が大きく分かれてしまうように思いますが、ボクの場合は社会派的な問題を題材にしたコメディとして楽しみました。途中から登場したMAKOTOは「サイコメトラーEIJI2」にも出ていた人ですが、ボクにとってはお笑い系のキャラでした。あの眉間のシワとか。(笑)

意外な発見としては、前クールで「危険な扉」でチーフDをしていた吉田使憲さんが、演出補として参加していたこと。吉田さんは「ぽっかぽか」の演出もしているようです。――手抜きの日誌ですみません。m(__)m


01/09/21  生きるための情熱としての殺人(11)[終]

脚本:林誠人、田中江里夏
演出:六車俊治(1)(2)(5)(6)(9)(11)、加門幾生(3)(4)(7)(8)(10)

第1話を見たときはツライものがあったのですが、第2話以降はストーリー展開が速くなって、活劇的な面白さが強くなりました。釈由美子アレルギーのボクとしては、ドラマでは久しぶりに見る立川宣子が、あっけなく死んじゃったのが残念でした。あのウサン臭い感じが結構好きだったんですけど……。(^_^;)

しかし、このドラマの白眉は、サイコホラー風の演出が圧巻だった第9話じゃないでしょうか。六車俊治さんの才能を再認識させられました。怖いんだけど、色っぽさもある――というところが非凡です。最終回では、鈴木一真の落下シーンが凄かったですが、六車さんが演出した「仮面ライダーアギト」の第5話とかを連想しちゃいました。(^^ゞ あと、BGMに60〜70年代の洋楽が多いのも六車さんの特徴ですね。

釈由美子のナレーションなど、人間ドラマ的な部分には何の興味も湧きませんでした。ただ、最終回で釈由美子が着ていたTシャツに、南米の革命家チェ・ゲバラがプリントされていたのが気になりました。どういう演出意図だったんでしょうか?


01/09/22  早乙女タイフーン(11)[終]

演出:大根仁(1)(2)(6)(7)(11)、保母浩章(3)(4)(8)(9)、田村直己(5)(10)

う〜ん……、篠原涼子が死んじゃう第7話から、急にどうでもいいドラマになっちゃいました。それまであった乾いた空気感みたいなものがなくなってしまったし、ブラックライフセービング社が登場して、「浜を守れ」みたいな展開になっちゃうのも陳腐です。中村雅俊の青春ドラマみたいな暑苦しいシーンが増えた反面、ギャグの部分はネタ切れっぽい印象を受けました。

物語が進行するにつれて内部の対立が解消してしまい、最後に外敵が登場して内部を守る――というのは、連ドラの王道パターンなんですけど……。(-_-;) 「ショムニ」とか「ストレートニュース」とか「女子アナ。」とか「HERO」とか「私を旅館に…」とか「救命病棟」とか。そういう意味では、ウダウダしたまま終わっちゃった「ビーチボーイズ」(脚本:岡田惠和)はスゴイな……なんて、改めて感心してしまいます。

演出的には、このドラマのピークは第6話だったんじゃないかと思います。海の家での飲み会(このシーン大好き!)、花火をバックにした告白、地方駅のプラットホーム、東京の海……といった新要素がバンバン登場した上、登場人物の心理描写にも新展開が見られました。極端に言えば、1〜2話と第6話を見れば、このドラマのおいしい部分/新しい部分はほとんど分かるような気もします。逆にいうと、第8話以降は新味に欠けるように感じました。オフシーズンが出てくる第10話の後半と11話の前半くらいでしょうか。

ところで、番組発表時、オフィスクレッシェンドのメールマガジンでは、演出スタッフに二階健さんの名前があったのですが、結局、二階健さんは登板しませんでした。残念。


01/09/28  キッズ・ウォー3〜ざけんなよ〜(45)[終]

脚本:畑嶺明
演出:小森耕太郎(第1週)(2)(5)(9)、西村信(3)(6)(8)、堀場正仁(4)(7)
音楽:桑原研郎、井沢洋
主題歌:「secret bace〜君がくれたもの〜」ZONE
プロデューサー:山本恵三、大羽秀樹
演出補:黒川和憲
プロデューサー補:二村久美子
企画協力:たむらプロ/千野榮彦
出演:井上真央、小谷幸弘、宮崎真汐、金澤匠、斉藤祥太、浅利陽介etc
制作:中部日本放送(CBC)
関東放送枠:TBS・ドラマ30(月〜金1:30)

 期待ハズレ!

今年の夏は、TBSの昼ドラが熱くて、「大好き五つ子3」と「キッズ・ウォー3」が夜ドラを超える高視聴率を記録しました。

しかし、この「キッズ・ウォー3」……、1年前の「キッズ・ウォー2」のときから、ずっと心待ちにしていたドラマだったんですが、みごとに期待はずれな出来でした。「テレビドラマデータベース」の2000年ベスト投票のときも、脚本賞に畑嶺明さんを入れたのですが、今となっては全部なかったことにしたい気分です。(^_^;) ボクがこのシリーズを見始めたのは、パート2の途中からですが、そんなボクですら、このパート3は同じエピソードのしつこい反復に見えてしまいます。

とはいっても、まったく変化がなかったわけでもないです。全体的にコメディ〜下ネタギャグの要素が弱くなっていて、恋愛やイジメなどのシリアス系のエピソードが増えていました。問題なのは、シリアス系のエピソードに進化(深化?)が感じられないところで、コメディ色が強ければ許せるようなエピソードも、シリアス色が強くなると、いろいろ突っ込みたくなってきます。

こうした方向性の変化は、主題歌とタイトルバックにも現れていました。パート2のタイトルバックが、アップテンポの主題歌にマンガっぽいイラストを組み合わせたポップな作風だったのに対して、今回は主題歌もタイトルバックもノスタルジック&しっとり系の作風。タイトルバックの内容も、前半は従来通りのホームドラマ風なんですが、後半は井上真央と斉藤祥太の恋愛ドラマみたいになっていたので、第1話を見たときは、「パート3のコンセプトは脱ホームドラマか?」なんて思っちゃいました。――結果は大ハズレだったんですけど。(^_^;) また、主題歌だけでなく、劇中音楽も宮本一さんから、桑原研郎、井沢洋の両氏に代わっていたようです。

 井上真央と斉藤祥太

とはいえ、井上真央と斉藤祥太は、それなりに見ごたえがあったと思います。2人とも、パート2のときからストイックな感情表現に味があったのですが、顔や声が大人っぽくなっても、相変わらずインパクトがあります。このドラマの最大の見どころは、第3話あたりに出てきた井上真央と斉藤祥太の再会シーン。このシーンのみが、パート1〜2に出てこないオリジナルの(?)エピソードでした(あたりまえですが)。あと、「ファイティング・ガール」の深田恭子と違って、井上真央の場合は“蹴り”の演技に迫力があるのが良いです。(^^ゞ

念のためにパート2のビデオを見直してみたのですが、パート3では、井上真央の切ない表情のアップは10倍ぐらいに増えていると思います。まあ、公式サイトを見ても、井上真央の写真のオンパレードだから、井上真央のPRドラマとしては充分に成功しているといえるのかもしれません。ちなみに、井上真央の役名が今井茜で、斉藤祥太の役名が紺野翼なので、ボクはこの2人のことを“今井・翼コンビ”と呼んでいます。(笑)

 “急場しのぎ”っぽい演出

物足りないのは演出も同じで、既存のセットと手近なロケーションで急いで撮った――という印象でした。さすがに最終回は、初出のロケーションやら手の込んだカメラワークが多かったですが、その他の回はインスタントなシーンばかりが目につきました。こうした演出から予想するに、今回のパート3はスケジュールがキツかったんじゃないでしょうか。

30分×45話というのは、プライムタイムの連ドラに換算すると2クール強の分量があるワケですが、それだけの素材を短期間に撮影しようと思ったら、手の込んだ演出や脚本にトライしている余裕はないかもしれません。公式サイトによれば、撮影が終了したのは8月末だったというから、夏休みに集中的に撮影された可能性は高いです。しかもこのドラマは名古屋で撮影されているというから、ますますスケジュール調整が難しそうです。(^_^;)

ちなみにこのドラマ、昼ドラだというのに、9月11日には視聴率17.2%を記録しています。TBSの朝番組「エクスプレス」で紹介された時には「パート4も決まっている」とコメントされていました。とはいえ、内容的には不安が残ります。井上真央が出演した「はなまるカフェ」によれば、彼女は現在中3で、来年は受験だとのことなので、そうしたこともスケジュールに響いているのかもしれません。だとするなら、来年はもう少し余裕を持って撮影に望めるのでしょうか。――どうでもいいことですが、ドラマ本体よりも、「はなまるカフェ」の方がビデオ保存する価値があるような気がします。(^_^;)

ただし、上にも書きましたが、主題歌とタイトルバックは悪くなかったです。実際にZONEの主題歌はヒットしているし、「secret bace」(秘密基地)というタイトルもノスタルジーとエロスが同居している感じで渋かったです。

 中部日本放送はアイドル好き?

ところで、この“ドラマ30”という枠は、中部日本放送(CBC)と毎日放送がほぼ交互に制作しているのですが、中部日本放送の作品にはアイドルドラマ的な作品が多くて、社会派っぽい作品が多い毎日放送と対照的な感じもします。

ちなみに小森耕太郎さんが過去に演出した作品では、「直子センセの診察日記」(1999年)に三輪明日美が出ていました。また、今年の2〜3月に放送された「幼稚園ゲーム」は、「キッズ・ウォー」と同じく“たむらプロ”が企画協力をしていて、タイトルバックなどは「キッズ・ウォー2」とソックリでした。ちなみに、たむらプロのホームページには「キッズ・ウォー」専用の掲示板などがあるので、ファンの人は定期的にチェックする価値があります。パート4の情報も、ここが一番早いんじゃないでしょうか。
http://www1.odn.ne.jp/tamura-pro/index.html

話をCBC制作のドラマに戻すと、上記の2作品以外では、「しおり伝説〜スター誕生」(1999年、演出:柴田敏行)の前田亜季、「コンビにまりあ」(2001年、演出:堀場正仁)の北川弘美など、やはりアイドルドラマっぽい作品が目につきます。さらに、5〜6年前だと思うのですが、星野真里(当時は星野真理)もこの枠のドラマに出ていたと記憶しています。

【追記】
星野真理が出ていたドラマは、「詐欺・狙われた実印」(1995年1月30日〜3月31日 出演:浅茅陽子、鳥越マリ、白竜)です。

 出演者に関する情報

井上真央は1年前に「父さん」という橋田壽賀子の単発ドラマに出ていました。出演は萩原健一や桜井翔で、演出は木下高男さん。井上真央は桜井翔の妹役でした。「はなまる」出演時の話によれば、NHKの「蔵」にも出ていたみたいです。松たか子の子ども時代でしょうか。

斉藤祥太は双子の弟の斉藤慶太と一緒にNHK教育の「インターネット情報局」(火曜14時)という番組に出ています。弟の慶太の方は、今年の1〜3月期に放送された「ココだけの話」(テレ朝)の「コンドーム」という作品にも出ていました。で、兄の祥太が「キッズ・ウォー3」に続いて「金八6」に出演予定なのはご存知の通り(?)です。それにしても「金八」での役名が今井っていうのは、単なる偶然? (*_*)

長男役の小谷幸弘は、ちょっと前に関東で再放送されていた「びんぼう同心御用帳」(98年・テレ朝)に出ていました(このドラマには錦戸亮や笠原秀幸も出ていました)。また、タイトルは忘れてしまいましたが、MMJ制作でTBS放送のオムニバスドラマでも見かけたことがあります。片平なぎさ・渡辺えり子・藤山直美の3人が主演していて、小谷幸弘は藤山直美のドラマにちょこっと出ていました。

一平役の浅利陽介は有名なので省略しますが、今回のキャラはイマイチだったように思います。その他の出演者は、名前だけ書き記しておきます。イジワルな里香役は宮崎真汐で、その里香をイジメてた3人組は高橋祐月・古賀美智子・吉田ゆかり。内気な弟は金澤匠で、そのガールフレンドで親に虐待を受けていたのが伊原茉莉花。小谷幸弘が想いを寄せる生意気な優等生が杉本友莉亜、茜の幼なじみで、カツアゲされていたのが濱嶌瑞樹、シンシア役をやっていたのグレーシーです。

で、一平(浅利陽介)の不良仲間をやっていたのが川本貴則・醍醐直弘で、一平の弟の和也役は鈴木駿。どうでもいいことですが、「ちゅらさん」で和也(恵里の息子)をやっていたのは鈴木翔吾――紛らわしいです。(笑)――この中から、次世代のスターは生まれるのでしょうか。ボクのオススメは高橋祐月と鈴木駿あたり……かな? (^_^;)

ちなみに、斉藤祥太と宮崎真汐は、加藤あいや倉沢桃子でおなじみの(?)ムーン・ザ・チャイルドに所属してます。井上真央の所属はたむらプロですが、このドラマの場合、たむらプロの俳優が多くて、他にも宇崎慧(茜の実父)、島かおり(おばあちゃん)、真夏竜(サンドイッチ屋)らがそうです。で、なぜか大和田伸也(校長先生)じゃなくて大和田獏がたむらプロに所属してたりします。(^^)


01/09/29  ちゅらさん(第26週)(第156話)[終]

演出:榎戸崇泰(第1週)(2)(7)(11)(17)(20)(23)(26)、遠藤理史(3)(4)(8)(12)、
   大友啓史(5)(6)(9)(14)(18)(21)(24)(25)、高橋錬(10)(13)、藤井靖(11)、
   渡辺一貴(15)(19)(22)、堀切園健太郎(16)

 やっと最終回 (^^)

全話視聴はもちろんのこと、全話録画も無事(?)達成してしまいました。とにかく疲れました。良い子の皆さんはマネしないようにしてくださいね。(^^ゞ

で、最後は楽屋落ちみたいな最終回でした。「今の恵里があるのは誰のおかげか?」という、ちょっぴり哲学的な問いかけを含んでいるところがミソなんでしょうか。松任谷由実の「どうして僕らは出会ってしまったのだろう」と同じような視点ですね。(^^ゞ しかし、このシーンの会話には一番重要なことが欠けていることに気がついた人はいるでしょうか。物語のすべての始まりは、死んだ和也(遠藤雄弥)のところに小浜島のチラシが降ってきたことにあるワケでしょう。「結局あれは何だったのだろう……人生は謎だらけだ」というのが、この最終回のシリアスな(?)解釈になるのかもしれません。(^_^;)

このドラマの場合、高橋錬さんが演出した第10週前後がターニングポイントだったみたいで、それ以降は「音無可憐」〜月8的なコメディが前面に出てきて、全体のテイストがドタバタ風になりました。その分、人間ドラマ的な深みがなくなっちゃった面もあるのですが、こういう選択もありかな、と思います。村田雄浩の「似ている!」シリーズなども、朝ドラとしては画期的な試みでしょう。(^^ゞ

 恋愛系のエピソードがイマイチ

個人的には、ストーリー性が強いエピソードよりは、キャラクターで押していくようなエピソードの方が面白かったです。特に、恵里(国仲涼子)の失恋〜結婚に至る数週間は、甘ったるくて嫌でした。恵達(山田孝之)が文也(小橋賢児)を殴るシーンなんて、興醒めもいいところで、やっぱり岡田さんは恋愛ドラマに向かない――という思いが強くなりました。(^^ゞ 終盤の病気ネタも???です。胃がんで意識を失って東京で意識が戻る……っていうのは医学的に説明可能なんでしょうか。 実は単なる胃炎だったというオチでもあるのかと思ってしまいました。(^^ゞ

逆に面白かったのは、占いだけで強引に余貴美子と村田雄浩を結婚させちゃうところ。第何話か忘れちゃいましたが、あの回は朝ドラ史上に残るナンセンスなエピソードだと思います。……岡田さんといえば、10月から始まる「アンティーク」の脚本も担当されています。当初は恋愛ドラマになる予定だったのが、キャスティングが上手くいかなくて変更になったそうです。良かった、良かった。\(~o~)/

 大友演出に漂う色気?

演出面では大友啓史さんの演出が、個人的には一番好きでした。コメディの部分に関してはあまり差がなかったと思いますが、情感が漂うシーンなどは大友さんの手腕が光っていました。14週あたりに出てきた「どうして大人になっちゃうのかね?」なんていう、恵里と恵達の会話のニュアンスが微妙に良いんですよね。また、恵里を始めとして出演者の表情が色っぽく感じられることが多かったです。

大友さんの場合、照明に対するこだわりが強いみたいて、第25週でも、一風館の人たちが沖縄にいった恵里を心配しているシーンでは、ロウソクの光がファンタジックな雰囲気を醸し出していました。音楽に関しても、こだわりらしきものが感じられました。あと、第何週か覚えていませんが、一風館を出ていった島田さん(北村和夫)の手紙を読むシーンも印象に残っています。恵達の名前が出てきたところで、椅子に座っていた恵達が立ち上がる――という演出にセンスの良さを感じました。この後、クラシックのレコードを聞く恵達の表情が渋かったのも印象に残っています。また、大友さんの場合、夜のシーンで、恵里の表情が汗ばんでいるように見えることが何回かあって、過去の朝ドラにはなかったセクシャルなテイストを感じました。(^_-)

本当は、劇中で歌われた恵達の曲をリストアップしてみたい気もするのですが、そんなことをやっている余裕はありません。(^^ゞ たしか第14週で、バンド仲間を捨ててプロデビューする恵達が「この歌はもう歌わない」とか言って歌う曲があって、その曲が一番良い曲だったような気がします。これも、大友さんの趣味でしょうか。プロデビューしてから、歌番組で歌ってた曲はカスですね。(笑)ラブ・サムバディ〜〜とかいうの。(^^;)


01/09/30  8〜9月の単発ドラマ

▼▼8/18「最後の夏休み」(日テレ・24時間テレビ)
演出は吉野洋さん。安部なつみってあんまり興味ないんですが、そういう部分を差し引いてもイマイチ。演出に新鮮味が感じられません。同じ白血病なら後藤真希の方が色っぽいし、保田圭や石川梨華にしても、匿名的な女子高生キャラで、女の子だったら誰でも良かったんじゃないかと思えるキャスティングでした。――この手の闘病〜夭逝モノでは、春にやった山下智久のやつ(演出:国本雅広)が一番良くできてると思います。

▼▼8/25「丘をこえて」(北海道テレビ)
早送りでざっと見ただけで、まだテープの中で眠っています。m(__)m

▼▼8/27「明るいほうへ明るいほうへ・童謡歌人金子みすゞ」(TBS)
ロケ映像とセットの映像をCG合成したような画面がチープ。(^^ゞ 大半シーンはセットでしたが、映像にもう少し陰影とか深みがほしかったです。ラストの三宅健の「てるちゃ〜〜ん!」も興醒め。(^^ゞ ただし、清弘誠さんの演出は、お芝居の間を重視した落ち着いたトーンで統一されていたので、気持ちよく見れました。清弘さんはこういう演出が上手いですね。実在の金子みすゞは、もっと癖のあるキャラだったんだと思いますが、松たか子&三宅健のコンビもちょっぴり今風で悪くなかったと思います。物語も興味深かったのですが、展開が早すぎるのが難点で、できれば2時間×2夜で見たかったです。

▼▼8/27「占有家族」(NHK)
今年の正月に山本未来のドラマを演出していた大森青児さんが演出。吹石一恵はまあまあだけど……、あんまり面白くなかったです。

▼▼8/31「“おっはー”は世界を救う!2」(フジ)
演出は澤田鎌作さん。特にないのですが、お祭りのシーンでのエキストラの多さに圧倒されました。まさかCGじゃないよね。(^^ゞ

▼▼9/4「夏休みのサンタさん」(日テレ)
安達祐実のキャラが「ファイティング・ガール」の深田恭子にソックリだったのが可笑しかったです。ただ、カメラワークやカット割りが「FG」ほどポップじゃないので、そんなには笑えませんでした。あと、悪役じゃない石垣祐磨を見るのも初めて。(^^ゞ 「明るいほうに…」と同じように、全体的に落ち着いたトーンの演出になっていたのは、渡哲也のせいなのかもしれませんが、ロケーションとの相性は悪くなかったと思います。物語のオチは???でしたが。演出は細野英延さん。

▼▼9/8「山田太一スペシャル・再会」(中部日本放送)
名古屋近辺のロケーションがちょっと新鮮でした。演出は山本恵三さん。

▼▼9/23「愛は終わらんバイ!」(テレビ西日本)
一応見ました。(^_^;) 演出:高岡亨樹

▼▼9/24「プラトニック・セックス・17歳の青春編」(フジ)
演出は永山耕三さん。全体的に雑な感じがしました。小室哲哉のBGMはウルサイし、星野真里の演技もおおげさなわりには単調な印象が残りました。

▼▼9/25「憧れの人」(関西テレビ)
このドラマは、同じ笠置高弘さんがプロデュース&演出した「キャッチボール日和」(99/11/19、宇崎竜童、栗山千明、竹内勇人)と、内容が酷似しています。特に小栗旬の風貌が竹内勇人とソックリ。――ロケーションは東京23区内の住宅地だと思いますが、自宅内のシーンと街並みのシーンに統一感ある情感があって、好感が持てました。ただ、物語の後半はかったるかったです。そういうところも「キャッチボール日和」にソックリ。(^_^;)

▼▼9/25「NO KISS」(フジ)
深夜に放送された堤幸彦さんの作品で、静止映像だけで構成された1時間のラブストーリー。ボクとしては、静止画像よりも、堤さんがラブストーリーをやったということの方がショッキングです。(^^ゞ 堤さんは、ラブストーリー風の演出は恥ずかしいから嫌だ――という趣旨の発言をしていたことがありますが、今回は、静止画像を使うことによって“恥ずかしさ”を排除していたみたいです。静止画像には、お芝居の間とか、時間が流れる感覚が存在しませんが、堤さんがいう“恥ずかしさ”というのは“時間が流れる感覚”と結びついているのではないでしょうか。小品ですが、そこに秘められた可能性は大きいと思います。ディレクターとして、丸毛典子さんの名前もクレジットされていました。

▼▼9/26「ブラック・ジャック3」(TBS)
堤幸彦版「ブラック・ジャック」の第3弾ですが、いまだに試行錯誤しているという感じで、何を目指しているのか、ボクには良く分かりません。ギャグもヒネリすぎていて、かえって意味不明になっているような……

▼▼9/27「君ならできる」(テレ朝)
演出は新城毅彦さん。「太陽は眠らない」や「リップスティック」など、既発のドラマ音楽が使われていました。ロケーションに力が入っていましたが、外国での練習シーンは国内ロケなんでしょうか? だったらスゴイです。(^^ゞ ただ、CMに登場する本物の高橋尚子の方が表情に暴力的なインパクトがあるんだよな〜〜。――どこまでが実話なのか良く分からないという意味では、「プロジェクトX」と良い勝負かもね。(笑)

▼▼9/28「プラトニック・セックス・20歳の純愛編」(フジ)
衝撃的なラストに大ショック!! (笑) 親子の和解のシーンなんですが、時折挿入される弟役の牧野紘二のアップに、やたらと気合いが入っていて、なんでだろうと思ってたら、彼のナレーションで終わっちゃいました。(@_@) 展開は予想外でしたが、演出的には「太陽は沈まない」のパロディみたいにも見えました。そういえば、牧野紘二は「太陽…」に出てました。
――うるさかった前編に比べると中江功さんの演出は抑えた感じになっていて、小室哲哉の音楽も少なくなっていました。原作はどうなっているのか知りませんが、龍居由佳里さんの脚本は、恋愛依存症の少女が家族の愛に目覚めるというコンセプトだったみたいです。愛(星野真里)の生き方を批判する佐野史郎のセリフがカッチョ良かったです〜。(^○^)

▼▼9/28「みそじ魂」(テレ朝)
テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞の第1回受賞作だそうですが、どこが面白いのかさっぱり分かりませんでした。(^^ゞ 演出の久野昌宏さんは意欲的な演出をしていたと思いますが……。

▼▼9/29「フードファイトSP・深夜特急死闘篇」(日テレ)
演出が猪俣隆一さんに代わっていました。宴会芸みたいなネタが満載でしたが、対決シーンの演出に限って言うなら、春SPの方がクオリティは高かったと思います。終盤の2人(榎本加奈子・萩本欽一)はネタがなかったので、テンションが下がっちゃいました。まあ、泉ピン子とかは面白かったですけど……。(笑)


トップページに戻る