HDDレコーダー
《購入・使用》体験レポート
2001.7.3 up (7.10追記)


 1.連ドラ・ウォッチャーは毎日がストレス

1週間に10本以上のドラマをチェックしている人にとって、ビデオデッキの操作/テープ管理というのは、かなり頭の痛い問題なんじゃないでしょうか。デートシーンが印象的な「ラブストーリー」第7話を間違って上書きしてしまったとか、「嫁はミツボシ。」最終回のラスト1〜2分がテープ切れで入っていなかったとか――。ドラマウォッチャーと呼ばれる人なら、この手のトラブルは日々経験していることでしょう。ボクの場合、深夜物などを含めると1週間に20本くらいの番組をチェックしていることになるのですが、毎日がパニックみたいな気分です。“自転車操業”という言葉がありますが、“自転車テープ管理”という感じです。(^^)

――というワケなので、HDDやDVDのレコーダーに関しても、かなり前から関心があったのですが、マシンの値段が高い上、保存用メディアの規格や単価にも問題点が多すぎるので、手が出せない状態でした。ところが、kakaku.comなどを見ていると、最近は10万円以下で買えるようになってきたようなので、今回思い切って買うことにしました。(^^ゞ ボクは衝動買いをするタイプじゃないし、買い物でストレス解消をする習慣もありませんが、今回の10万円に限っていえば、ストレス対策みたいなもんですね。ほんとに。(^_-)

 2.HDDレコーダーの現状

HDDレコーダーはすでに4〜5社から発売されていますが、kakaku.comで10万円以下なのは、ソニーの「クリップ・オン」シリーズ(SVR-515)と日本ビクターの「ハイブリッドレコーダー」(HM-HDS1)の2種類です。ソニー機の方はHDD専用なのに対して、ビクター機の方はHDD機とS-VHS機が一体化した、いわゆるダブルデッキ仕様になっています。

他にも、東芝からHDDとDVD-RAMが一体になったマシンも出ていますが、実勢価格が20万前後の上、1枚3000円くらいするDVD-RAMの最大録画時間が4時間程度なので、コスト面で割が合いません。最近CMで見かけるパナソニックのDVDレコーダー(DMR-E20)は、価格も10万以下で、最高で12時間(片面6時間)くらいの録画ができるようですが、1台だけだとダビング(デジタルコピー)もできないし、メディアの互換性にも不安が残るのでパスしました。ただ、HDDを通さないで直でDVDに録画するという選択肢も悪くはないと思います。また、予算が20万円あるなら、ソニーのHDDレコーダーとパナソニックのDVDレコーダーでダビング(アナログコピー)するという手もあります。東芝のマシンを買うよりは、コストパフォーマンスが良くなります。

それから、これも重要な情報だと思うので書いておきますが、ソニーがアメリカで販売しているHDDレコーダーは定価が500ドルで実勢価格が300ドルくらいだそうです。この分だと日本でも、4〜5万で買えるようになる日は遠くないはずです。いずれにしても、状況の変化が激しいので、待つ余裕があるのなら、急いで買う必要はないと思います。ボクの場合、あと3回くらい録画ミスを犯したら、頭がおかしくなりそうだったので、急いで買う必要がありました。頭がおかしくなって、このホームページが閉鎖になっちゃったら、困るでしょう? そうか、ボクはこのホームページを読んでくれているアナタのために、10万円投資したようなもんですね? エライじゃないですか。褒めて!(笑)

話を元に戻すと――、ディスク系録画機器のメリットを最大限に活かすためには、一時的な録画(タイムシフト機能?)と、保存用の録画は、分けて考える必要があります。とりあえずガンガン録画しておいて、そのあとでダビング〜整理する――という風に二段構えのスタイルを構築しないと、日々のストレスからは解放されません。AVマニアの人たちというのは、画質や編集機能ばかりを問題にして、こうしたことには比較的鈍感です。大量の番組を効率的に視聴するというニーズを切実に感じているのは、AV派の人じゃなくてドラマ派の人なんでしょう。(^^ゞ

 3.ビクター機を選んだ理由

そんなこんなで、ボクが選んだのはビクター機です。HDDとS-VHSが一体になった“ハイブリット・レコーダー”です。最初にこのマシンを知ったときは、デジタルで録画した物をアナログで保存する――という部分に抵抗感を感じたのですが、いろいろ検討した結果、過渡期のアイテムとしては無難な仕様かもしれない、と思うようになりました。理想を言えば、HDDで一時録画して、長期保存する物を他のディスクメディアにデジタルコピーするのがベストだとは思います。しかし、その環境が現実的になるには、あと2〜3年はかかると思うので、それまでは、HDD→VHSというのが現実的な選択なんでしょう。

もちろん、今は買わないで2〜3年待つという選択肢もありますが、ボクにはその余裕がありません。(-_-;) また、ソニー機のアメリカ版(SVR-2000)が300ドル程度で売られていることを考えると、現時点でのHDDレコーダーの購入はどう考えても損です。それでもあえて買うとなれば、出費は最小限に抑えるのが次善の策でしょう。この点、ビクター機はS-VHSデッキとセットで10万円弱なので、コストパフォーマンス的には一番です。ボクはS-VHSデッキを持っていないので、なおさらそうです。1年後くらいに、ソニー機が4〜5万で出ると思ったら、中途半端にHDDの増設や換装をするのも得策ではありません。

AVマニアの掲示板などを見ると、画質などはソニー機の圧勝のようで、内部回路などもソニー機の方がしっかり設計されているそうです。ちなみに、ソニー機(SVR-515)は40GBで最長録画が26時間ですが、ビクター機は20GBで20時間です。これだけでも画質の差は歴然でしょう。ただし、使い勝手という点ではビクター機に優れている点が多いです。「ビクター機の最長録画モードは3倍モード以下だ」なんて声もありましたが、「人生には画質よりも大切なことがたくさんある」ということをよく分かっているのはビクターの方だと思いました。(人生にはドラマや演出よりも大切なこともたくさんありますけど……^^;)

HDDレコーダーの使い方というのは、ガンガン録画してガンガン消すか、ガンガン録画してガンガンダビングするか――のどっちかなんですが、ソニー機は後者の面が弱いです。その点、ビクター機の方は一体型のメリットが活かされています(事項で詳述)。ただし、ソニー機の方もソニーにしては生活重視の設計になっているみたいなので、ダビング(長期保存)のニーズが低いなら、ソニー機にも捨てがたい機能がいくつかあるようです。

――いずれにしてもボクはビクター機を買ってしまったので、以下は、ビクター機を実際に使ってみた印象を、具体的に書いてみます。画像が一切ないので、わかりづらいかもしれませんが、その場合は、参考サイトに掲げた「Phile-web magazine」の体験レポートを見ていただけたら、良いかもしれません。

 4.電源を入れると自動的に仮録画

これはビクター機の最大の特徴のひとつですが、電源を入れると、受信しているチャンネルを自動的に記録(仮録画?)してくれるので、ビデオのモニターで番組を見ていれば、いつでもリプレイ(巻戻し)可能です。この機能をオンにするとHDDのスペースが少なくなってしまうため、購入時はオフにするつもりでしたが、ニュース番組を見るときなどに便利なので、結局オンにして使っています。料理のレシピとかお店の電話番号をメモするときに便利です。

ただし、チャンネルを換えてしまうと、記録データが消去されてしまうので、うかつにチャンネルが換えられなくなったりします。(^^ゞ ちょっだけ裏番組に浮気したいときは、テレビの方のチャンネルを使いましょう。また、仮録画しているためか、ビデオのチャンネルが切り換わるのに1〜2秒かかるという欠点もあります。仮録画の時間は「3H・1H・30分」の中から選べますが、HDDのスペースに影響するので、ボクは30分にしてあります。記録時間が30分を過ぎると、古い部分から消去されます。どっちにしても、チャンネルを換えたら消えちゃうようなデータですから、30分でも、おつりがきます。(^_-)

ただし、仮録画された映像を、ちゃんと保存したくなった場合は、ちょっと面倒です。正規なHDD録画に切り換えることは不可能なので、テープ側に手動でダビングするしかありません。この際、うかつにチャンネルを切り換えてしまうと、記録データが消えてしまうので、かなりの注意力が必要です。一度やってみましたが、心臓がバクバクしました。(^_-) ――保存する可能性が少しでもある番組は、その場で録画ボタンを押してしまいましょう。その方が精神衛生的にも良いです。HDDに録画したものを、あとから消すのは楽ですから。(^^ゞ

 5.テレビにまつわるライフスタイルが変わる?

当然ですが、HDD録画の方は頭出しとか、残量チェックといった煩わしさは一切ありません。録画した番組は一覧画面に画像付きで表示されるので、そこから選択すれば即再生できます。また、HDDの残量(予約分を差し引いた録画可能時間)も表示されるので、予約の際にテープの残量を推定するような煩わしさもありません。無理な予約をすると、その場で警告されます。

HDDの再生は、サーチなどのレスポンスが俊敏なのでCMを飛ばしたりするのが楽です。ボタンひとつで30秒後の映像に一気にジャンプします。さらに、1.5倍速再生は音声付きなので、忙しい人には重宝します。AVマニアの掲示板によれば、1.5倍速再生はソニー機よりもビクター機の方が良いそうです。ただし、VHSの方は1.5倍速再生ができません。これはかなり残念な点です。(T_T)

一体型の強みが出ているのがダビング機能です。ワンタッチで複数番組のダビング処理ができて、しかもナビゲーション情報も一緒にコピーしてくれるので、テープ管理という点でも優れています。簡単にいうと、HDDの時と同じような操作性を、テープの方でも実現しているワケです。一覧画面から、番組を選択すると、自動的に頭出しをして再生するというわけです。

ナビゲーション機能について少し具体的に説明すると、テープにはコード番号が付けられて、ナビ情報自体はHDDに保管されます。ナビ情報の内訳は、録画日時・チャンネル・任意に付けるタイトルなどですが、加えて見出し用の静止映像なども自動で登録されます(手動で変更可能)。で、HDDに保存されたナビ情報を一覧表示・検索することができるので、ビデオテープのデータベースとして使用することも可能みたいです。ただし、現時点では、この機能を使用していないので評価は控えます。

【追記】
VHSにダビングする際に注意しなければいけないのは、頭出しに利用されるVISS信号のことです。ビクター機の場合、一括ダビング機能を使えば、自動的にVISS信号を入力してくれるし、ダビングが終われば、VHS側の録画も停止します。しかし、一括ダビング機能を使わないで、手動でダビングする場合は気をつけなければいけません。1番組ずつダビングしていくのであれば、問題はないのですが、複数の番組を一括でダビングする場合、VISS信号は入力されません。もし、ソニー機を買っていたとしたら、手動で外部デッキにダビングすることになるのだと思いますが、その際に、同じ問題が生じると思います。この点に関してはビクター機が断然優れています。VISS信号のことを考えるようになったのは、ビクター機を買った後なんですが、ビクター機を買って正解だったと思っています。


話をHDD再生に戻しますが、いわゆる“追っかけ再生”というのも、実際に使ってみるとかなり便利です。たとえば、6月29日の「天国に一番近い男」の最終回。この日のボクは、9時からシャワーを浴びて、9時20分から追っかけ再生(1.5倍速)で視聴開始、つづけて「昔の男」の追っかけ再生に突入して11時頃に視聴終了――という具合です。これは、上に書いた自動記録にも言えることなんですが、テレビに向かって「ちょっと待った!」と言うことが可能なんですね。だから、HDD録画というのは、使い方しだいで、テレビ視聴にまつわるライフスタイルを変えてしまうような可能性を感じます。

――ボクは画質のために10万円も出す気はありませんが、生活上の時間配分を効率化するためなら、10万円は高くないと思います。1日10分節約できたとして、1年間で60時間の節約になります。(笑) ボクの場合、テープ操作やダビングの煩雑さを考えたら、1日あたりの節約時間は10分以上になると思います。

 6.見ない番組を録画するメリット

ドラマを保存する基準というのは、人によって違うと思います。出演者で決める人なら見る前に判断できますが、ボクの場合「見てから決まる」ことが多いので、とりあえずハードディスクに入れておくというやり方が非常に便利です。連続ドラマでも、全話保存することは滅多になくて、面白かった回だけ保存するケースがほとんどなので、ハードディスクに一時録画する方法が一番合います。

後述しますが、ボクの場合、最長録画モードでも画質に問題を感じないので、ドラマも最長録画モードで、20時間=約1週間分をハードディスクに溜めておくことが可能です。現実問題としては、1週間の間にまったくビデオを消化しないというケースは少ないので、20時間でもやりくりは難しくないと思います。

最悪の場合、ハードディスクを空けるためにダビングすることもあるかもしれませんが、ダビングする時点で、整理・選別することができるので、後で見るときも楽だと思います。少なくても、テープの頭に第4話が入っていて、ラストに第3話が入っている――なんて、マヌケな状態にはならないでしょう。こういうときも、ダビング作業の手軽さが物を言います。あと、VHS側の方にもHDDと同じような、映像付きのナビ機能が付いているので、これも上手く使えばかなり便利です。

HDDの場合、《毎週予約》と《月〜金予約》は上書きになるので、使い方を工夫すれば、かなり便利です。1週間のドラマを12本くらい予約しておけば、テープをセットしなくても自動的に録画してくれる上、上書きなので使用するディスクスペースも一定です。もちろん、他の大事な録画を勝手に上書きしちゃう心配もありません(野球延長には対応できませんが)。あとは、放送後1週間以内に見る(またはダビングする)習慣を身につければOKです。ただし、予約件数の上限が16件なので、そちらのやりくりの方が難しいかもしれません。(^^ゞ

HDD録画の良い点は、見ないかもしれない番組でも、手軽に録画・消去できることです。たとえば、「はなまるカフェ」とか「スタジオパーク」を《月〜金予約》しておいて、見たいときだけ見る――なんてことが可能になります。この2番組は、夜になってから新聞を見て「失敗した!」と思うことが多いですが、HDDの《月〜金予約》ならこの問題を回避できます。歌番組なんかも《毎週予約》しておいて、見たい時だけ見れば良いわけです。上書き保存だから、放っておいてもディスクスペースがなくなる心配がありません。

ちなみにボクは「ちゅらさん」の全話録画保存を実行中ですが、これは上書きされては困るので、VHS側に直接録画しています。(^^ゞ また、見ない番組をバンバン予約するとなると、予約件数の上限(16件)とハードディスクの容量が問題になります。(-_-;)

【追記】
もうひとつ、重宝するのは、単発ドラマ対策です。特に昼間に放送される単発ドラマは、テレビ雑誌などで情報をつかんでいても、放送日が近くなると忘れちゃうことが多いです。テープ録画の場合、テープをセットしなれればいけないので、放送日の1週間前に予約を入れてもあまり意味がないのですが、HDD録画は違います。テレビ雑誌を見た時点で予約を入れておけば、あとは何もする必要はありません。予約後にボクが死んでしまったとしても、デッキの方はちゃんと録画してくれます。(^^ゞ ――実は、7月3日の夜に、予約した覚えのない番組が録画されているのを発見しました。「誤作動かな?」などと思って、中身を見てみたら「金田一少年の事件簿」の再放送でした。デッキを買った直後に、試しに予約を入れておいたのですが、その後、そのことをすっかり忘れていたというわけです。(^^;; HDDレコーダーのおかげで、6年前の窪塚洋介(ヨースケ)を見ることができました。(笑)


 7.HDD録画の画質について

画質は思っていた以上に良いです。最長録画モード(SEPモード)で録画しても、3年前に2万円で買ったSANYO機の3倍モードより数段良いです(3年間、毎日フルに使用したデッキなので、ヘッドの摩耗も半端じゃないと思いますが……)。アナログテープ特有の揺れとかノイズがまったくないので感動します。AVマニアの人たちは色の再現性などを問題にしているのかもしれませんが、2万円前後で売っている普及型のVHSデッキを3倍モードで使っている人なら、まったく気にならないと思います。

ただし、デジタル圧縮画像の画質というのは、映像の内容によって差が出てくるので、その点には注意する必要があります。一言で言うなら、データ量の多い部分(シーン)で画像が荒れます。具体的にいうと、絵柄が複雑で動きが激しい部分で画像がボロボロになったりします。ボクがここ数日間に最長録画モードで録画した番組でいうと、「ミュージックステーション」が一番ひどかったです。特にジャニーズJr.とか10人祭(モー娘)みたいに、大人数+ダンス+派手な照明+高速のカメラワーク――といった要素が重なると、画面がグシャグシャになります。もちろん、こういう場合でも、顔のアップになると画面がクリアに戻ったりします。

逆にいうと、ドラマの場合はあまり問題がないようです。画面が荒れるのは、1時間の中で1〜2ヶ所あるかないかくらいだし、アップ系の映像で荒れることはまずないので、特に違和感は感じません。7月スタートの新ドラマには、ジャニーズJr.やモー娘もたくさん出演するようですが、彼らが原因で画像が荒れるワケではないのでご心配なく。(笑) ちなみに、「下山天版・金田一少年」は、CM映像を見た感じでは、映像の色彩感がかなりきれいだったので、高画質モードで録画しても良いかなと思っています。

 8.ダビング後の画質

もうひとつの画質問題は、HDDからVHSにダビングしたときの画質です。これに関しては、いろいろなパターンで実験してみました。(^^) 結論をいうと、HDDのときは気にならなかった画質もVHSにダビングすると気になります。VHS側で直に録画したものと比較してみても、違いは明瞭に感じ取れます。ただし、これはHDDの録画モードよりもVHSの録画モードを変えることによってかなり改善します。

ビクター機には、“S-VHS ET”といって、普通のVHS用のテープにS-VHS方式で録画する機能があるのですが、これをオンにするとモワッとした感じがなくなって、許せる画質になります。VHSの標準よりもS-VHS ETの3倍の方が断然良いです。まだ実験していないのですが、S-VHS専用テープを使えば、もっと良い画質になるはずです。なお、S-VHS ETで録画したテープは、VHSのデッキでは再生できませんが、S-VHS簡易再生機能を備えたVHSデッキなら(VHS並みの画質で)再生できます。最近のVHSデッキはS-VHS簡易再生機能を備えているものが多いので、互換性の心配はあまりないと思います。

ボクの場合、S-VHS機を持っていなかったので、今回のHM-HDS1を購入することによって、HDDと一緒にS-VHSを買ったことになります。画質を求めてこのマシンを買ったわけではありませんが、結果的には、以前のVHSライフよりも高画質の環境を手に入れることになりました。AV系の掲示板によれば、このマシンのS-VHSもあまり評判は良くないようなんですが、普通のVHSより良いのは確かでしょう。(^_-)

 9.録画をめぐる諸問題

ここまでは、良い話ばっかりになってしまいましたが、当然、問題点・不満点もあります。HDDの容量もそうですが、これに関しては、日常のこまめな管理とダビングで、ナントカなるような気がします。少なくても、これまでのテープ録画に使ってきたエネルギーに比べれば、微々たるものです。いわゆるドラマ派の人なら、毎日ビデオデッキを操作しているハズなので、HDDを管理するのはそんなに苦にはならないでしょう。むしろ、普段あまりビデオを使わない人の方が「録画しようと思ったらHDDがいっぱいだった!」なんてトラブルに直面する可能性が高そうです。

使ってみて一番不満に感じたのは、2番組の同時録画ができないことです。HDDに同時録画することができなければ、HDD側とVHS側とで同時録画することもできません。厳密にいうと、後者は不可能ではないのですが、チューナーが1つしかないので事実上不可能だという意味です。つまり、BSと地上波なら同時録画が可能だし、外部入力と地上波の同時録画も可能です。だから、外部デッキから地上波放送の映像をライン入力すれば、地上波の2番組の同時録画が可能です。

実は、7月2日の月曜9時は、この裏技(?)でNHKとフジを同時予約録画しました。そんな面倒なことをするくらいなら、直接外部デッキで録画すれば良いのですが、ボクが持ってる外部デッキは普通のVHSなので、ビクター機のS-VHS ETで録画した方が画質が良い――というワケです。(^^ゞ ただし、外部デッキの方は電源を入れっぱなしにしておくか、ダミーのテープを入れて、録画予約を入れておくかしないといけません。また、録画した後のナビゲーション情報のチャンネル表示が外部入力になっているので、気になるなら修正しなければいけません。ナビゲーション情報には、タイトルも付けられますが、アルファベットしか使えません。ただ、いちいちタイトルを付ける必要性を、ボクは感じませんが。(^^ゞ

 10.ダビングをめぐる諸問題

このマシンには編集機能も一応あります。だから、CMをカットしたり、順番を並べ替えたりもできますが、編集結果をHDDに落とすことができません。テープにダビングするだけです。そのため、編集ダビングする場合は、複数の番組を一括ダビングすることはできません。たとえば、6時間分の番組を一括でダビングしたい場合は、CMカットなどの編集を断念しなければいけません。多分、この点に関しては、ソニー機の方が上かもしれません。ただ、ボクの場合は、CMも情報のひとつだと思っているので、CMをカットしたいと思うことはありません。むしろ、つまらないシーンをカットしたいと思うことの方が多いです。「仮面ライダーアギト」だったら、戦闘シーンを全部カットするとか。(笑)

不思議なのは、HDDの録画しながらHDDの再生はできるのに、HDD→VHSのダビングをしながらHDD録画ができないことです。これはかなり不便です。たとえば、深夜に録画予約が入っていたりした場合、一括ダビングのボタンを押して寝ちゃう――なんてことができません。(^^ゞ ただし、再生だけなら録画もOKなので、プログラム再生を指定して、外部デッキで手動ダビングするのであれば、可能かもしれません。ただ、そんなことをするくらいなら、予約した深夜番組を別デッキで録画した方が良いような気がします。

念のために書いておくと、ワンタッチで一括ダビングできるのは、HDD→VHSのときだけで、ナビ情報のコピーも同じです。ただし、手動ダビングであれば、VHS→HDD、外部入力→HDD、外部入力→VHSなども可能です。配線さえきちんとしてあれば、そんなに面倒ではありません。ただ、ナビ情報はダビング時の情報になってしまうので、気になるようなら手動で訂正する必要があります。

 11.操作になれるまでが大変かも?

もう一つ、意外な落とし穴なのがマニュアルのわかりづらさです。知りたいことが、どこに書いてあるのか、見つけるのに苦労することが多いです。2冊あるマニュアルに目を通して、実際に操作してみて、基本的な使い方(予約録画やダビングなど)が分かるようになるのに、最低でも6時間はかかると思います。これは、マニュアルだけの責任でもなくて、HDD録画という新しいシステムを習得することに対する抵抗感もあるんだと思います。パソコンとかメカが苦手な人には、オススメできません。

まあ、初めてパソコンを買ったときの手間に比べれば、大したことないのかもしれませんが、未知のアプリケーションを使うときと同じ程度の学習が必要です。特に、ビクター機はHDDとVHSが一体になっているから、その分、操作システムが複雑になっているようです。HDDとVHSの違いが感覚的に分かるようになるには、時間がかかります。たとえば、HDD録画中に一時停止ボタンを押しても、画面表示が止まるだけで録画は止まらない――とか、最初のうちは生理的に納得できないことがあります。

あと、普及型のデッキよりもサイズが二回りくらい大きいので、置き場所に困るというのもあります。また、アンテナの配線が複雑になりすぎて、テレビ画像が汚くなってしまうという問題もあります。HDDがアンテナに影響することもあって、ボクの場合でも、最初は電源を入れると、テレ朝の画像が汚くなるという障害がありました。これについては、後部の配線を整理して、アンテナケーブルを他の配線から離すようにしたら治りました。

 12.生活改善マシン

長くなってしまいましたが、HDDレコーダーは“生活改善マシン”(?)として、今後かなり早いペースで一般に普及していくと思います。普及の原動力となるのは“画質”じゃなくて“便利さ”でしょう。HDDレコーダーの便利さを身に染みて感じることができるのは、AV派/画質派の人じゃなくて、ドラマ派の人だと思います。特に、このホームページを読んでるような人。(^^ゞ

価格や機能も急速に改善されていくと思うので、フツーの人はあわてて買う必要はないかもしれませんが、ビデオ周りに日々ストレスを感じている人なら、検討してみる価値はあるかもしれません。ただし、くりかえしになってしまいますが、1年くらい待てば、4〜5万で買える可能性があるので、熟慮して下さい。

パソコン録画については、まったく振れませんでしたが、価格・使い勝手・安定性といったことを考えると、まだまだハードルが高いような気がします。

 参考サイト一覧

【価格情報サイト】
●¥価格.com¥
 http://kakaku.com/
●GAZ
 http://www.gaz.co.jp/index.html
●BestGate
 http://www.bestgate.net/index.html

【製品情報】
●VICTOR ハイブリッドレコーダー 【HM-HDS1】
 http://www.jvc-victor.co.jp/video/hybrid/HDS1/A.html
●SONY【クリップ・オン】
 http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/HDR/index1.html
●Panasonic DVDレコーダー【Dream】
 http://www.panasonic.co.jp/dvd/ad/e20/product/index.html

【レポート記事/比較記事など】
●Phile-web magazine(体験レポート)
 http://ongen.econ-net.or.jp/magazine/victor-report/index.html
●ASCII DIGITAL BUYER(HDDビデオレコーダ研究)
 http://db.ascii24.com/buyer/review/ce/hddrec/2001/05/28/print/626358.html

【AV機器系の掲示板】
●Homer-C 音と映像とAV機器
 http://www.homav.com/
(なお、「価格.com」にも、製品別掲示板があります)


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