AZ−CON2漫遊記 戻る

第五章.終らない宴・再び

 即売会終了後、しばしのインターミッションを挟んで、合宿企画へと移行する。本来なら即売会の行われた広間で行われる予定だったのだが、翌朝急遽そこで葬式がとりおこなわれる事になり、本堂の方へ場を移すことになったのだ。新しい会場は、元の即売会場より広く、会場としては申し分ない。興正会館の入り口で微笑んでいた、ちー2氏製作によるあずきちゃんポップも会場入りし、セッティングも完了した。合宿企画といっても、枕投げなどをやるのではない。とりあえずは酒宴から始まる辺り、20歳以上が大多数をしめる集団のお決まりといったところか。
 きたまこと氏のご子息、たっくんの乾杯の音頭によりAZ−CON2第2部が始まった。まずは、自己紹介からである。50名に及ぶ面々が次々と名乗りをあげて行く。馴染みの顔もあれば、お初の方もいる。まだまだ、その熱冷めやらずと言った所か。
 宴会は滞りなく進んでいった。各人が持ちよった酒類やあずきオーレなどが振る舞われ、あずき話(あるいはその他の話)が盛り上がる。酒のつまみは、話が一番だ。(といっても、私は下戸だが)
 さて、この宴会でも企画が用意されていた。クイズ大会である。今回は予選と言う事で、ペーパーテストから始まった。情けない事に、私は2.5点しか取れなかった。上位10名が選ばれ、決勝戦が行われる。すでにお気づきの方もいるだろうが、今回のクイズ大会でも、前回同様の光景が繰り返されたのだ。選ばれた10名は、いずれ劣らぬツワモノぞろいで、どんな問題でも答えてゆく。周りで見ている我々は、答えを聞いても、全然思い出せないような問題ばかりだというのにだ。時間は過ぎでゆくが、クイズ大会は、一向に終了する気配はない。そして、恐れていた事が起こってしまった。合宿には参加せず、宴会のみの参加者の門限が来てしまったのだ。時間は時間である。彼らは、宴会の途中、クイズ大会の結果すら知らぬまま、会場を去る羽目となってしまった。
 彼らが帰った後、なおもクイズ大会は続く。我々、傍観者はおしゃべりする事すら禁じられ、ひたすら終了を待った。クイズ大会が終了したのは、日付が変わろうかと言う時間だった。
 合宿用に用意されたほかの企画もキャンセルされ、ようやくフリーの時間を得た我々だが、すでに何かをしようとする体力、気力は残っていなかった。用意された布団で休む者、仲間内で談笑に興じる者、学級新聞(会場内で各人が書き込んだ壁新聞のようなもの)を書いているもの、思い思いの時間を過ごす各人だが、そろって口数は少ない。私もこの時間を利用して、学級新聞にイラストを描く。そして、会場内に設置されたTVでは、満月氏編集によるテレビアニメのオープニング・エンディング集が上映され始めた。
 さて、このアニメのオープニング集、各人それぞれに思い入れが有るのだろう。今まで、無関心を装って、知らんぷりしていたような方々が、特定の曲になると、いきなり身を乗り出し、興味深く見入っている姿が、あちこちで見られる。各人ともあずきにたどり着くまでに、様々な経路をたどってきたのであろう、懐かしいかつての自分に、思いをはせているようだ。
 するとその時、自分の後ろでも誰かが起き出した気配がした。すでに会場半分に敷き詰められた床に潜り込み、あずき色の夢の世界に旅立った方々がいたが、思い出の曲が流れ始めると、ムクリと起き上がり、よろよろとテレビへと向かって歩み寄ってくる御仁が多数見受けらる。その様は、あたかもゾンビの一シーンを見るかのようだったが、自分の後ろの気配もそういったアニメゾンビ(いやな言い方だな)の一人かと思ったのだ。しかし振り返った私は、思わず自分の眼を疑った。浴衣姿のご婦人が、シナをつくっている姿が眼に入ったのだ。確か、合宿には女性はいなかったはず。私は多少近眼であり、すでに夜半を過ぎたこの時間、かなりの眠気をもようしていた。わずかに残っていた理性は、自分の眼と判断能力に警告を出し、再度確認を取るように脳に司令をだした。目をこすり、もう一度眼を凝らして見てみると、それは髪を下ろした魅衣呼氏だった。幸いなことに、ほとんど形骸化していた私の理性は、はだけた浴衣に意識を取られ、確認を怠ったまま次の行動に移ることを、阻止することに成功したようだ。ホッとだが、あ〜ぁだか何ともつかない感情の中、意識をテレビへと戻す。しかし、不安は残った。この合宿は、成人男子の集まりである。(二十歳すぎばかりなのに、既婚者は少ない)しかも、アルコールが回っている人もかなりいる。幸い、朝までなんら間違いは起こらなかった。なにより、無事、これ名馬である。

第六章につづく

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