徳陽

四川省の隠れた優良都市

 省都成都、電子工業都市綿陽という個性的な都市に挟まれたコ陽は一見目立たない。外資利用の点でも、近年ようやく注目され始めたばかりである。しかし、今後の西部大開発ではコ陽が重要な役割を果たすことが考えられる。この都市の特徴は、都市中心部のGDPと郊外のGDPの差が小さい。都心は企業城下町を形成し、郊外には郷鎮企業が、ある程度発展している。徳陽は伝統的に酒造業の発展している地域であり、酒造を中心として郷鎮企業が発展している。総生産に占める郷鎮企業の生産割合は蘇州、杭州なみに高い。主な郷鎮企業は、酒造、食肉加工であるが、特に酒造の点では四川は中国最大の酒造地帯であり、そのなかでも、徳陽の生産量はかなり大きい。
 企業城下町の中心となる企業は第二重型機械集団と東方集団で、ともに三線建設の時に機械工場として建設された。そのなかで東方集団は今後の西部大開発において中心的な役割を果たすことが考えられる。中国で大型発電機メーカーとして知られているのは、ハルピン電機集団、上海電機集団、そしてコ陽の東方電機集団である。このなかで、火力発電と水力発電の両方を担っているのはハルピンと東方のみである。西部大開発において、発電はインフラ建設における1つの重要なポイントとなる。地理的な関係から、ハルピン電機集団が関与する可能性は低く、参与しても比率は低いはずであり、事実上発電の点では(海外資本が導入されなければ)東方集団の独壇場になる可能性が高い。
 この点において、徳陽は全国においてもかなりの優勢をたもっている。今後の発展の潜在的な可能性は高いと言ってもよいだろう。現在長江流域に三峡ダムを建設しているが、それでもまだ中国の電力は足りない見込みである。西部大開発では、さらなるダム開発も行われる予定であり、今後徳陽は中国において重視される地域になるだろう。


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