日本人女性の閉経年齢は平均50歳前後といわれていますが、この前後約10年間を更年期、またこの期間に起こる心身の不調を「更年期障害」と言います。
一般に閉経後に女性ホルモンのエストロゲンが低下すると、多くの身体的・精神的な症状が出やすくなります。
特に40歳未満で閉経となった場合には、早発閉経と言って、将来病気に関するリスクが高くなります。
ホルモン補充療法(HRT)
低下した女性ホルモンのエストロゲンを補うことで、身体的・精神的な症状を改善させる治療法で、更年期障害には第一選択の治療方法を考えられています。
・不定愁訴:のぼせ・ほてり・発汗・動悸・不眠
関節痛・抑うつ・イライラ
・萎縮性膣炎・性交痛・頻尿・膀胱炎
・骨粗鬆症
・脂質異常症(高LDLコレステロール血症)
治療開始初期には、乳房痛や不正性器出血などが見られる事がありますが、継続すると多くの症状は軽快していきますので、更年期障害の症状の改善と副反応を考慮しても、最低3か月前後は経過を見ていきます。
エストロゲンは子宮体がん、プロゲステロンは乳がんとの関連があると言われています。
しかしながら、エストロゲンはプロゲステロンと適切に併用することで、プロゲステロンは天然型プロゲステロンの使用により、がんの発症率の上昇を防ぐ事が可能です。
・閉経後10年以上経過、または60歳以上でHRTを開始した場合、心筋梗塞などの心疾患の発症リスクが増加すると報告があるので、可能であれば閉経後早期に、出来れば閉経後10年以内、あるいは50歳までに始められる事が良いでしょう。
・50歳未満に閉経になった方は、まずは50歳まで継続しましょう。エストロゲンの低下により骨密度が低下し、骨粗鬆症のリスクが高まります。このために、50歳未満で閉経となった場合には、骨粗鬆症の予防のためHRTをお勧めします。
・50歳以降に閉経なった方は、HRTによる骨粗鬆症の骨折予防効果は60歳以下で高いため、60歳前後まで継続する事をお勧めします。
当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・加味逍遙散・抑肝散・女神散などを、症状によってお勧めします。
エクエル(乳酸発酵エクオール)
大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た化学構造を持つため、加齢により分泌が低下したエストロゲンの不足を補い、更年期障害など症状を軽快する効果がある事が知られています。
摂取した大豆イソフラボンは腸内細菌によってエクオールと言う物質に代わることによりその効果が出ますが、日本人の約50%は大豆イソフラボンからエクオールを作る腸内細菌を持っていないと言われています。つまり大豆イソフラボンを摂取しても、50%の人はその効果が期待できないことになります。
エクエルは、合成・抽出・濃縮などを行わずに大豆を乳酸菌で発酵させて作られたエクオールです。
エクオールは体内で蓄積されずに1〜2日で体外に排出されるため、毎日大豆を食べ続けなければなりませんが、エクエルの摂取により、エクオールを作れる人も作れない人も一日に必要なエクオールを摂取する事が可能となり、更年期障害などの症状の軽減・改善が期待されています。