月経痛や過多月経、月経不順、不正性器出血などは、日常の生活の質を下げるだけでなく、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患の可能性があります。
現代女性は、初経年齢が早く・高齢妊娠・出産が増えた影響で、昔の女性に比較して生涯に経験する月経の回数が多く、子宮内膜症の患者さんが増えたと言われています。
子宮内膜症は、月経困難症・不妊・卵巣がん、妊娠高血圧症候群・前置胎盤・早期産と関連があると言われています。
現在使用されている低用量ピルは、中学生より安全に服用が可能です。月経困難症・過多月経による貧血・月経前緊張症候群(PMS)などにより、中高生の学業や部活・スポーツ等へのがある場合には、本人の意見や希望をよく確認した上で、適切に低用量ピルを服用する事が勧められます。
月経痛を軽減する治療なので、月経痛の原因の治療にはなりません。また消化性潰瘍などの副作用がある為、出来れば他の治療方法との併用が望ましいです。
鎮痛剤は、「出来るだけ飲みたくないので、ギリギリまで我慢する」と効果が下がるので、適切な使用方法を指導させて頂きます。
当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遙散を中心に、抑肝散、女神酸、温経湯などを症状に合わせて使用します。
期待される効果としては…
・月経痛の軽減
・月経周期の安定化
・過多月経の改善
・子宮内膜症の治療・予防
・多嚢胞性卵巣(PCO)の治療
・月経前緊張症候群(PMS)の治療
・避妊効果
副作用としては、頭痛・吐き気・不正性器出血などが飲み初めに生じる場合がありますが、継続する事で収まることが多く、安定的に効果を実感できるのに通常2〜3か月程度かかることがあります。
年令・体重・喫煙習慣・血栓症の家族歴・前兆のある片頭痛の方などは、低用量ピルは血栓症のリスクが高いので、黄体ホルモン製剤やミレーナ(LNG−IUS)をお勧めします。
黄体化ホルモンの作用により子宮内膜を薄くする事で、月経困難症・月経時の出血量を減らす効果があります。
内服初期に不正出血がある事がありますが、血栓症のリスクが少ないので、低用量ピルが内服出来ない場合にも使用できます。
子宮内に挿入する避妊リングの一種で、ノボゲストレルと言う黄体ホルモンを放出するため、子宮内膜が薄くなるので、高い避妊効果と月経血の減少、月経痛の軽減・改善効果があります。
月経困難症・過多月経の場合には、保険適応があります。
子宮にだけ作用するので、低用量ピルが服用できない方でも使用が可能です。
卵巣から分泌されるエストロゲンの作用を抑制する事により月経を止める方法で、偽閉経療法と言われます。
子宮内膜症や子宮筋腫の手術前の治療や閉経までの逃げ込みに使用する事があります。
従来のGnRHアゴニスト(リュープリン・スプレキュア)に比較して、更年期障害などの副反応が少ないです。