ドッポリア家に、血の花が咲いた。
怒れる江田島に八つ裂きにされた田沢を介抱しながらも
ドッポリアの愚痴はとどまるところを知らない。
ホモ呼ばわりされた位で、あのオッサンも大人げねーな。
田沢の侮辱発言、まだまだあるんだぞ。全部教えてやったら
どうなったかな。今度匿名で手紙でも出してやろう。そういや
江田島が親父に何の用だったんだ?いつまで寝てんだ、死に損ない!
死線をさまよう田沢を叩き起こし、説明を要求した。

ドッポリア家の財源は、ドッポリアのリース料である。
小さなボディに搭載した計測器、コンピュータ、重機機能が
業界関係者のニーズに見事応えた結果である。同時に
子供のいない老夫婦への貸し出しも行い、無職で学生の田沢を
なんとか養っている。
レンズの吹っ飛んだ眼鏡をかけ、這うようにドッポリアの背後に
回った田沢が、震える手でドッポリアの右肩を軽く叩く。
ドッポリアの瞳孔が拡散する。眼球のシャッターがゆっくりと
開き始め、奥から小さな銃口がせり出した。
お、目からビームか。こりゃまたポエムな武器を仕込んでくれるじゃ
ないの!と関心しかけたドッポリアの目から発射されたのは
反重力砲だった。一条の光が窓ガラスをつき抜け、向かいのビルを
包み込んで大爆発した。跡地は巨大なクレーターと化していた。
あっぶねえよ!せめてタバコに火がつく位の威力にしておけよ!
ドッポリアの抗議には取り合わず、田沢が口を開いた。
一国を滅ぼすほどの軍事力を有するドッポリアを、このまま
野放しにはしておけない。処分せよ、との江田島塾長のお達しだ。
頼むドッポリア!日本の未来のために、死んでくれ!

ここで死ななきゃ男がすたる。感激屋のドッポリア、一も二もなく
了解した。その夜は田沢と一緒の布団で寝た。最後の親子のふれ合いである。

処刑当日の朝がやって来た。


つづく


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