「おや、あれは」
ラーメンを食べながら歩いていた烈海王は、遠くの横断歩道をミスターが走
っているのに気がついて声をかけようとした。
「おーい」
足下のマンホールの蓋が開いていた。烈は真っ逆さまに転落して、下水に群
れていた野生のワニの餌食になった。
「破ー!」
と思ったら無事だった。素早く寄り合わせた長い麺を真上の木の枝に結びつ
けてぶら下がっていた。
「む!」
ほっとしたのも束の間、烈の体がだんだん下に落ちていく。命綱の麺がのび
てしまっているのだ。
「なんの!」
烈は麺を口に加えて思い切り吸った。烈は再び浮上した。
「まずい!」
のびた麺はおいしくなかった。烈は麺を吐き出してマンホールに落っこちた。
ワニが一斉に烈に襲いかかった。
「このラーメンを作ったのはキサマらかー!」
と思ったら逆だった。烈の怒りは収まらず、逃げまどうワニをどこまでも追
いかけていくのであった。そう、あの海の向こうまで。
つづく
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