
2008年41号 第128話
【前回まで】
克巳は真マッハの攻撃をピクルに三発当てた。そのせいで克巳の両手と左足はボ
ロボロに砕けて、残りは右足一本になった。それなのにピクルにほとんどダメージ
はなく、殴られた腹のあたりをさすりながらチョウチョを追いかけて遊んでいる。
「ペイン博士ー! 必勝法プリーズ!」
克巳はペイン博士に泣きついた。ペイン博士はピクル研究の第一人者で、ピクル
を語らせたら世界で右に出るものはいない。ピクルの口に頭を突っ込んだりできる。
「えーとね」
ペイン博士はコンピュータのキーボードを叩いた。チーンと言って答えが出た。
「ピクル、実はけっこう痛いよ。ムリして効いてないフリしているだけ」
「うそマジで!?」
克巳は驚いてピクルを見た。ピクルは頭に氷嚢をおいて布団で寝ていた。実は深
刻な容態だった。
「あと何回攻撃したらピクルに勝てる!」
「うーんと。ちょっと待ってね」
ペイン博士は再びキーボードを叩いた。すぐに答えが出た。
「百回だって」
「百回……」
残った右足で一回、ヒジとヒザは無事なので各一回で四回。あと九十五回攻撃し
ないとピクルには勝てないが、もう攻撃できる部分がどこにもない。
「あるよ。真マッハ頭突き」
「オレが死ぬっつーの」
「そんなのやってみなきゃ分かんないじゃない。やっちゃえやっちゃえ」
「やっちゃいません。アンタ本当はオレを殺したいかバカかのどっちかだろ」
ペイン博士はほっぺたを膨らませて、物凄い速さでキーボードを叩いた。
「バカじゃないもん! だったら刃牙くんにも手伝ってもらうもん!」
「へーい」
刃牙が闘技場に出てきて、ピクルに真マッハ攻撃を九十九発打ち込んで帰った。
「克巳くん、チャンス! あと一回真マッハしたらピクルに勝てるよ!」
「うーん」
こんなんで勝っても大して嬉しくない。それに刃牙にあっさり技をパクられたの
がシャクだった。しかし刃牙は主人公で絶対負けないインチキキャラなので、いち
いち悔しがっていたらキリがない。克巳は気を取り直した。
「わかった! これが最後の真マッハ蹴りだ!」
克巳は右足でピクルの顎を蹴り上げた。同時にピクルが克巳の頭に食いついた。
「ちょっとちょっとちょっとペイン博士ちょっと」
克巳は額から大量の血を流しながらペイン博士の胸ぐらをつかんだ。ピクルの尻
を思い切りつねっているので、ギリギリ食われずにすんでいる。
「ピクル元気じゃん。アンタ、バカの上に嘘つきじゃん。オレ激怒じゃん」
「あれれれれー?」
ペイン博士は目をキョトンとさせて克巳とピクルを交互に見ている。そして手を
伸ばしてキーボードを叩いた。
「あ、わかった。克巳くんの体がオンボロだから、もう真マッハじゃなくてちょい
マッハくらいの威力しかないんだって」
「じゃあどーすりゃ勝てる!」
「頭突きならまだ真マッハでいけるよ」
「だからオレが死ぬつってんだろーが!」
「このままでももうじき死ぬじゃん。克巳くんこそバカでしょ」
確かに、尻をつねる握力も限界に近い。ピクルから手を離したら、その瞬間にピ
クルに脳みそを食われてグッバイになる。克巳は決心した。
「んなろー! もうどーにでもなれー!」
克巳はマッハの速度で頭を振り下ろして、ピクルもろとも地面に叩きつけた。克
巳の頭蓋骨は砕けて脳みそが後頭部から飛び出して、ペイン博士のコンピュータの
上に乗った。
「ペイン博士ー! ピクルはどうなったー! あとオレはどうなったー!」
コンピュータの画面に克巳の顔が映って叫んだ。ピクルは気絶している。
「克巳くん勝ったよ! あと手足をいっぱいに伸ばすといいことあるよ!」
克巳は手足に力をこめた。コンピュータの筐体から四本のアームの手足が生えた。
「オレの勝ちだー!」
克巳の脳を載せたコンピュータは、アームをガチャガチャ言わせながら闘技場を
嬉しそうに走り回った。ペイン博士は克巳研究の第一人者になった。
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