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風が頬をすり抜けた。 それは、とても冷たい風。 まるで、僕の心の奥底を切り裂いていくみたいだ。 こんなに悲しいのに。こんなに胸が痛むのに。 だけど、不思議と涙はあふれてこなかった。 まだ、泣けたとしたならば、どれほど楽だろう。 感情は黒い塊になって、僕の中で渦をまく。 風は鋭利な刃物のように、僕の心を切り裂いてゆく。 ただ、流れ出すのは血ではなくて、風化した想い。 塵のようにつもって、どす黒く乾ききってしまった想い。 もし、気持ちが素直に伝えられたのなら----。 それでも、僕は想いを言葉に紡ぐことができなくて。 だけど、涙を流すことすら叶わなくて。 気持ちはいつも、誰とも、すれ違いを繰り返して。 人を傷つける事を恐れていた。 それ以上に自分が傷つく事を恐れていた。 それでも、いつかは、誰かに僕の想いが伝わるという事を信じていたくて----。 |
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暗い部屋の中にぽつんと座っていると、ちっぽけな自分を嫌と言うほど実感できる。 |