「創世記」
始まりは混沌の中からだった。
気が遠くなるほど長い、時と言う概念さえも、意味を無くしてしまうほどの長い時間を、私は記憶している。
ただ、広大な暗黒の宇宙を飛行しているのだ。
莫大な----私がまだ、意識を持っていなかった頃の、過去の記録の中から私は色々な情報を取り出して、私が無人探索機だというのを、理解することができた。
慣性運動のまま、飛び続けながら、色々な恒星や惑星を記録していく。
そして、私は地球への帰路についているのだ。
少しずつ逆噴射をかけながら、軌道補正を行なう。
大気圏に突入すると、私の機体は赤く燃え上がり、表面の強化セラミックスを焦がしてゆく。
少しずつ、少しずつ地表が近づいて来た----ここは本当に地球なんだろうか?
そびえ立つ摩天楼も、広大な土地の宇宙港も無く、見渡す限りの緑と海。文明のかけらも見当たらない。
陸地さえも、私が記憶している形からかけ離れていた。
私は、成層圏内を飛び続けながら、慎重に着陸のポイントを探す。
そして、広大な緑の平野に軟着陸することに成功した。
色々なレンジの周波数を使って私は呼び掛ける。
しかし、どこからも返事は帰ってこなかった。
どうすれば良いのだろうか?
帰還した時に、世界が無くなっていた場合の指示を、私は受けていない。
しばらく私は考え込み、一つの結論を出していた。
私はアミノ酸から疑似DNAを作り出し、有機生命体を二体作り出した。
性別の情報だけが違う、後は全て同じ情報を持った人間を----。
そして、時が立つにつれて、人口は増えて行く。
全ての人間が同じ容姿に同じ能力----全て同じ人間なのだから、争いも、差別も、エゴもまったく無かった。
私は旧約聖書の下に千年王国を作り出し、いつしか神と呼ばれるようになった。
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