「卒業写真」


 卒業アルバムのページをゆっくりとめくる。
 君はいつもそこで微笑んでいる。
 僕にはその笑顔が天使の微笑みようにさえ見える。
 君はいつもここにいるもんね。
 いつまでも変わらない美しさのままで----。

          ☆

 突然の別れだった。
 卒業式の帰りに君は僕の目の前で、死んだ。
 どうすることもできなかった。
 僕に、少しの勇気でもあれば、突進してくる車に立ち向かえたかもしれない。
 だけど、ぼくは君が車に跳ねられるのを、ただ、なにもできずに見ていることしかできなかった。
 ぼう然と立ちすくみ、ただ、どうすることもできずに、血だらけの君を見つめていた。
 綺麗だったよ----。
 不思議にそう思った。
 血が真っ赤なルージュのように、君の唇を朱に染めている。
 君は僕に何かを言おうとしたの?
 僕の方を見つめ、軽く唇をひらき、そして血を吐いて動かなくなった。
 ぼくは君が好きだったんだよ。
 言えなかったけど。
 君は僕のことをどう思っていたの?
 聞けなかったけど。
 ただ、最後に僕の方を見て息を引き取った時、軽く瞳で微笑んだような気がした。
 それだけがただ嬉しくて。
 突然の別れと、突然の喜びが、僕の頬を濡らして行く。
 君の美しさを、いつまでも瞳に焼き付けていたいと僕は思った----。

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