「星」
皆が寝静まった夜更け、私が窓から夜空を覗くと、幾つかの星が瞬いていた。
人工の光で照らし出された街の中で見える星というものは、とても儚いイメージで、私の心の中に小さな陰を落とした。
空に儚く瞬く、大昔の恒星の光たち。
そこには、一つ一つに見えないドラマがあったのかもしれず、ただ、私は見えないイメージを頭の中で想い続けていた。
そして、私は軽く瞳を閉じる。
瞼の裏に果てしない無限の闇の中。
小さく瞬く無数の星たち。
そして、何よりも強く感じられる、私の内なる宇宙の広がり----。
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「ユメの国」
ユメの国はとても遠く、幼いボクの足ではとてもたどり着くことなんて出来なかった。
遙か遠くに見えるユメとゲンジツの狭間の中で、身動きなんてとれないままに、ただジカンだけがゆっくりと流れてゆく。
ただ、幼いボクの紡ぎ出すコトバは意味を得る事も無いないまま虚ろに響き。
やがて、ジブンの殻の中にすべてをフウインした。
あれから月日が経ち、ボクは大人になったけど。
ユメの国は未だ遠く、たどり着くことなんて出来なくて。
ただ、ジカンの流れは幾分速くなったけど。
相変わらず、ボクの紡ぎ出すコトバは意味を得る事もないまま、虚ろに響き。
あの頃フウインしたジブンの殻を破く事が出来ないままでいた----。
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「仮面」
鈍い痛みを感じていた。
想いは伝えられないままに、胸の奥で少しずつと大きくなってゆく。
叫びだしたくなる衝動を必至で抑えながら、友達という仮面を無理矢理張り付ける。
こんなに側にいて、手を伸ばせば触れる事だって出来るのに、仮面を被った私に出来るのは、ただ、友達という立場を演じ続けるだけ。
あなたの笑顔を見ているのが好きで。
あなたの声をずっと聞いていたくて。
ただ、あなたを見ているだけで、本当に幸せだった。
だけど、どんなに側にいても、私はただの友達で。
私の想いはあなたに伝えることができなくて。
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「物語」
草原の大きな木を背もたれにして、私は大きくのびをした。
傍らで二匹の犬がじゃれ合い、もつれあうようにして走り回っている。
私は、木陰から覗く太陽の暖かさを感じながら、緑の香りを胸一杯に吸い込んだ。
持ってきた荷物の中からお気に入りの本を取り出して、しおりの挟んでいる場所を開くと活字をゆっくりと目で追い、私は物語の世界の中へと少しずつ入り込んでゆく。
そこは、日常の中では体験出来ないような、ワクワクするような冒険や、ドキドキするような出会いが沢山詰め込まれているのだ。
やがて、私は本を閉じ、軽く瞳を閉じると物語の続きを考え始める。
それは、本を読むよりも楽しくて。
そして、私は世界を作り始める----。
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「雪」
大きなぼたん雪が時折吹き抜ける冷たい風にあおられながら、まるで舞い踊ってでもいるかのように、ゆっくりと空から降りてくる。
掌で受け止めた雪の結晶は音もなく溶けて、心の温度を少しずつ冷やしていくようだ。
少しだけ視線を上げると、街灯のスポットライトを浴びた雪が、まるで宝石のようなきらめきを放ちながらキラキラと輝いていた。
物音のしない静かな街の中は、いつもと同じ見慣れた筈の景色の筈なのに、白いデコレーションを施されていて、まるで、全く見知らぬ自分の知らない世界に迷い込んでしまったかのような錯覚に陥ってしまう。
それは、繰り返される日常の中の、ほんの小さな出来事。
だけど、瞳に写る幻想的なこの景色を、いつまでも忘れたく無いと思った。
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