Short Story2





Story Index
「涙の滴」

「風鈴」

「水たまり」

「生=死」

「夢>現実」

「闇」



[Back] [Up] [Next]

[Home]




「涙の滴」


 きらり、きらりと、光り輝く涙はとても美しい。
 悲しみ、喜び、色々な時に、私達は一粒の涙に感情を凝縮させて、弾け散る。
 ただ、それは、濃縮されて、弾ける時に信じられない程の輝きを放つ。
 どんなに美しい宝石でさえ、色あせる、涙の滴。
 溢れる、流れる、感情をのせて。
 弾ける、ポップコーンのように。
 凝縮された想いは、飛び散る。
 悲しみは、涙で薄れる。
 喜ぶ事は、涙で膨らむ。
 だから、泣く事を恐れないで。


「風鈴」


 田舎の祖父の家は、凄く立派で、手入れの行き届いた庭がある。
 浴衣になり、庭を眺めていると、風鈴の音が涼しげに鳴り響いていた。
 都会では、感じる事の出来ない一瞬だった。凄く、澄んだ気持ちになれた。
 目まぐるしく変化の在る都会の暮らしの中で、余裕を持てず、空回りしていた自分に気が付いた一瞬だった。
 鈴虫の鳴き声。コオロギの鳴き声。蚊取り線香の煙の香り。
 光に集まるかげろう、そうして、風鈴の心に染み渡るような、悲しい音色。
 忘れていた。夏の情景。センチメンタリズム。
 言葉では、文字では表せないイメージ、感情。
 でも、時間は流れ、私は都会の喧騒へと戻る。
 そうして、この情景は思い出となる。
 風鈴の音と共に、思い出せる、言葉に表せない情景に。


「水たまり」


 夕立の後の、信じられない位美しい、夕焼けと虹。
 そうして、その美しい風景を、反射する水たまり。
 何でも無い風景なのかもしれない。日常的な風景。
 日常的、非日常的。イメージと映像。文字と言葉。
 伝えようとする、想いと、受け取られるイメージ。
 綴り続ける。文字を。想いを。イメージを。全て。
 だから、目に焼き付ける。心に刻み込む。美しさ。
 全てを映し出す、自然の鏡。水たまり。私を写す。
 混乱するイメージ、そして、全ては混沌とした塊。
 美しい、風景。美しい、虹。そうして、水たまり。
 伝えたい。伝えたい。伝えたい。ただ、伝えたい。


「生=死」


 死ぬことができるのなら、私は死にたい。
 生きることができるのなら、私は生きていたい。
 相反する考え----。
 私は死に憧れ。
 私は生に憧れた。
 「死」をもって「生」に転じることができるのならば。
 「生」をもって「死」に転じることがずきるのならば。
 私は喜んで受け入れるだろう。
 まったく正反対のことがらだけど。
 私にとって、それは同じ位に大切なことなのだ----。


「夢>現実」


 微かな声----ささやきが聞こえる。
 今は夢と現実の狭間。
 ざわざわと言うざわめきが聞こえる中の、ささやき。
 これは夢、これは現実。
 ささやきは、私に何を伝えたいのか。
 繰り返すささやき----。
 聞こえないけど。
 繰り返すささやき----。
 それが私の夢の中。
 それが私の現実への入口。


「闇」


 私は闇の中にいる。
 一筋の光りも無い真の闇の中だ。
 闇の中で、私は気配を感じた。
 闇の気配。
 その瞬間、闇から闇へと暗転する。
 それは、本当の闇。
 さっきの闇が闇と感じれない位の闇。
 そんな事を幾度となく繰り返していた。
 闇、闇、闇----すべてが闇。
 私は闇に心を食われ、闇の中を闇から闇へと深く----深く潜って行くのだ。





[Back] [Up] [Next]

[Home]
ご意見・ご感想はtink@ah.wakwak.comまで