「千年杉のひとり言」
著作者:吉国瑞穂

今夜は月が出ているな。
昔は、月とおんなじに星もきれいに見えたもんだが、
近頃はネオンとやらのせいで、見つけるのが難しくなっちまった。
空気もまずくなったなあ。
人間どもが出すスモッグとかいう臭えもんのせいだ。
どうしてこう人間は変なもんばっかり出すんだ?
近頃じゃ、山のあちこちにでっけえ穴を掘って、
いろんな物を捨てやがる。
お陰で水がまずくって仕方がねぇ。
昔はよかったなぁ。
あの頃の人間は額に汗して働いて、俺達を大事にしてくれた。
近頃の人間ときちゃあ、俺達を使うだけ使って後はほったらかしだ。
毒でも出してやろうかと思っても、俺達にはどうすることもできねぇ。
ま、俺達が無くなったとき分かるだろうよ。
もっともその時には、この星が駄目になってるかもしれねえが。


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