「音」
著作者:アイル
その日、少年は壊れた路地の中にいた。
その日、少年は壊れた世界の中にいた。
もう、世界は終わりだ。 死体が、腐った傷口を剥き出しにして。
転がっているんだぜ? 酷い景色だ。 酷い臭いがする。
路地を真っ直ぐ行くと、まだ生きている人間がいた。
でも、そいつらももう狂ってる。
『マシな人間は俺だけか。』 そう呟くと、どこからか音が聞こえる。
どこだろうか。もっと奥だ。 なんだろう。なんの音だろう。
ああ、 立ち止まって気付く。 壊れたピアノの音だ。この世界にぴったりな。
儚い、そして痛々しい音。 誰が弾いている?
俺は急ぐ。 狂った人間をかきわけながら。 何故か。
たぶんそこには 自由があるから。